359.とびきりの甘い朝を
「きゅうー」
ルルはいつまでも寝たい民なので、朝遅くまで寝てることもよくある。
「ふゆー」
フォードもルルと顔を寄せ合い、スリスリしながらまだ寝ていた。
が、社会人の悲しい性か。
昼前くらいにはエミリアの目はかなり覚めていた。
(うー、あたまがガンガンするぅ)
まぁまぁ、これだけ飲んだにしてはあまり残ってはいない。
ロダンと何時間飲んだ……??
多分、5時間くらいのーんびり飲んでいたのでその分、悪酔いはしていないのだ。
「んふふ……」
ただ、エミリアの身体に巻き付いたロダンの腕は確かな感触だ。
それが嬉しい……。
(顔、見れるかな?)
ロダンは今もエミリアの後ろにいる。
そしてフォードとルルはエミリアから少し離れてもふっと寝ていた。
ルルの寝相は悪めなので、ベッドの上をスライドしているのだ。
なので起こす心配はない……。
んしょっと軽く力を入れて、身体をロダン側に向けようと試みる。
「きゅい」
「!」
顔を動かして視界の端にルルを捉える。
ルルはくちばしをあんぐり開けて――もにゅもにゅしていた。まだ夢の中のようだ。
そーっと身体をズラしていくと、ついにロダンと正面から向き合う形になる。
(うーん、いいわね)
エミリアも高身長だが、ロダンはそれよりさらにずっと背が高い。
胸に頭を寄せる……。
「エミリア……」
「起こしちゃった?」
「……二度寝していたような、そうでないような感覚だった」
ぼんやりとした声に、少し胸が躍る。ほとんど常にしっかりしているロダンの隙が嬉しい。
「今日で今年も終わりね」
「ああ、そうだな……」
ロダンの手がエミリアの黒髪をすくう。耳にかかった黒髪が払われ、繊細なロダンの指先が耳に触れた。
「……ロダン?」
「素敵な髪だ」
眠そうなロダンの声と仕草。
だからこそ心からの本音のように感じられる。
この世界でも親しくなければ髪に触れるのはタブーだ。
いや、貴族制度が残っているのでさらに厳しいかもしれない。
だからこそ、触れてくれるロダンが愛おしい。
「私の髪、好き?」
「好きだ」
「どういうところが?」
「とても濃い色をしている」
ロダンの髪は白銀で、瞳は青。
エミリアのような黒めいた色はない。
だけど、エミリアにはロダンの指しているものが色以上に思えた。
貴族社会の事情に流され、カーリック家を継いだロダン。息子を守るため、己を通して祖国を後にしたエミリア。
エミリアも自分の黒髪は好きだった。
ふっとロダンの手がエミリアの顔を持ち上げる。
吸い込まれそうな深い海色のロダンの瞳。
ロダンの顔が動いて、エミリアの頬にそっと口付ける。
とても穏やかで温かい。
「……幸せ」
「俺もだ」
「今日もずっといられる?」
「フォード君やルルの負担にならないなら、そうしたい」
「フォードは大丈夫……物知りな人が好きで、あなたのことを気に入っていると思う」
感情を押し込める癖のあるフォードだが、エミリアの目にはある程度わかる。
まぁ、正直あまり人にはこだわらないとも思うけど……。
フォードが好ましく感じるのは穏やかで、知的な人物だ。その意味でロダンは最適と言える。
「ルルもあなたなら大丈夫よ。器用な人が好きだし」
「器用?」
「撫で方的にね」
「そういうことか。まぁ、手先は繊細なほうだが……ペンギンに満足してもらえるかは、修練を積まないとな」
「ふふっ、そうね」
エミリアはロダンの頭に手を回し、彼の頭を肩に寄せる。
話しているうちに頭も回ってきた。
「そろそろ起きようか」
「そうね。お腹も少し空いてきたし」
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