337.繋がるもの
(この話は……まぁ、してもいいか。フォードを不安にさせる要素は省かないとだけど)
とはいえ、この話はガンツの言葉に繋がる。なので聞かないわけにもいかない。
エミリアはさきほど、ルルと繋がった時の話をガンツたちに話した。
「そんなことが……」
ルールーもさすがに眉を少しひそめる。いくらなんでも聞いたことがないという顔だ。
「うーむ、それは――しかも、その男は……」
ガンツの目には懐かしさがあふれている。
エミリアの語った壮年の男性。
さらに彼が口にした「ガンツ」という人名。
「少しアレかの。しゅっとして頬のこけた男だったか? 背は高くて美形で」
「ええ、そうでした」
エミリアはロダン以外の男を格好良いと思ったことはないが、客観的に見てあの男の人は美形だろう。
「うーむ。だとすると、その男はダイトかもしれん」
「やはり……」
なんとなくそんな気はした。
セリド家特有の黒髪と虚ろな雰囲気とエミリアの記憶にない……つまりは昔の人物だということ。
それに今、ルルと関係する人物はガンツしかいない。
「きゅーる?」
今、ルルはフォードの膝の上に移動して、ぽよぽよしていた。
「不思議なことがあるもんじゃのう。いや、しかし必然ではあるかの」
ガンツは寂しげな目でルルを見つめた。
「精霊魔術は深く究めると精霊の記憶と繋がる。それはより精霊の力を引き出す業じゃ」
「それは私も知りませんでした」
「ダイトが非常に得意としていたが、その曾孫に繋がっておらんとは……だが、あやつも真面目な男じゃのぅ……」
ダイトはガンツのことを気に病んでいた。彼の空虚さの中で、それだけが人としての感情を強く感じさせていた。
「ウォリスの貴族が王国政府に逆らえるわけもあるまいに。むしろ責務を負わせてしもうたのは、わしのほうじゃのに」
「ガンツさん……」
「政府がわしの家の領地を取り上げるのに、セリド公爵家を使ったのは……意図があるんじゃろう。わしの領地をよく知っておったし、忠実に働くかどうか確かめたかったのだろうて」
「その面はあるかもしれません」
貴族家が不始末をした時、そこと親しい貴族家にも疑いの目が向けられる。
それらが結託した場合、王国政府にとっても厄介なことになるからだ。
(踏み絵を踏まさせられるのよね)
嫌な話だが、貴族社会にはこのような側面がある。
ガンツがルルからエミリアへと視線を戻した。そこには懐かしさと親しさが見受けられた。
「精霊魔術はどれほど深く繋がれるかの業じゃ。エミリアさんの技量は年齢に比べても極めて高い。精霊魔術の教職としての資格は十二分にあるじゃろう」
「……! ありがとうございます……!」
なんか、すんなりと決まった気はする。
「話は聞いておる。カーリック伯爵ともやりあったとな」
「…………」
エミリアが心の中で唇をへにゃっと曲げた。
(うおー! こんなところにも……!)
「カーリック伯爵は間違いなく当代随一の魔術師じゃ。それと互角にやりおうたのなら安心できるというもの」
「いえ、あれは試し合いで決闘でもないのですが……」
「えっ……」
ルールーがぎょっとして少し引いた。
ううん?
カーリック伯爵の名前に恐怖を抱いているようだ。
「カーリック伯爵と決闘だなんて、そちらのほうがヤバくないですか?」
「…………」
「心をへし折られるか、五体満足で帰れなさそうな」
とんでもない言われようである。
ロダンは紳士なので手加減はしないが、心はあんまり折らない。
感情の少ない男なので、勝てばよかろう精神なのだ。それ以上のことはあまり気にしない。
どちらかというと、心を折るのが得意なのはエミリアのほうであった……!
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