334.採点へ
翌日と翌々日にも試験があり、エミリアはその補佐をして。
ようやく大学の試験期間が終わった。
学生はそのまま冬季休みだ。
無論、成績不良者には再試験やら補習やらが待っているが。
エミリアにとっても初めての試験が終わった……だが、仕事はまだある。
採点などだ。
採点も正確かつ慎重にやらなければならない。とはいえ、ピリつく学生と一緒にいなければならない試験本番に比べれば気は楽である。
なのでその日、エミリアは人のがくんと少なくなった大学に来て、採点を行なっていた。
あまりの少なさに隙間風が寒いくらいだ。
(なんだか寂しくもあるわね……)
採点は基本的に持ち帰り不可。大学内で教職員がやる必要がある。
しかしどこで、ということはない。
自分の研究室や講義室を借りて行って良い。いつも人のいるところの人がおらず、がらんと人口密度が少なく感じる……。
「今日は人が少ないねー」
「きゅるん」
ぽてぽて。
本日はセリスがお仕事。
なので、フォードとルルを連れてきていた。
「きゅきゅい」
ルルと手を繋いでフォードは歩いていた。
今日はお散歩Dayも兼ねている。
人がいないからこそゆったりルルのぽよぽよペースで進めるのだ。
(あとは……ルルをガンツに紹介しないとね)
精霊魔術の教職という魅力的な話。そのためにはガンツの前で精霊魔術を使うのが一番だ。
というのを前回話したので、それも含めてのルルである。
ぽよぽよ。
フォードとルルを連れて、採点作業をする講義室へ。
山盛りの解答用紙を袋に詰めて持ち込み、作業をする。
「たかいたかーい」
「きゅーん」
フォードとルルはふたりで遊んでもらっている。
今は脇を持たれたルルがフォードにぐいーんと掲げられていた。
「きゅいーん」
いつもと違う場所で高い高いされて、ルルは楽しそうだ。
掲げられるたび、きょろきょろとしている。可愛い……。
ふたりの様子を見ながら、エミリアは採点作業を進めていく。
(ふんふーん……♪ これは落第ね)
ご機嫌で可愛いルルを眺めて心安らかなのと、採点の厳格さは別である。
自分の作った問題への解答なので、中身に迷うことはない。
数は多いが……。
(記述問題がなくて良かったわね)
エミリアの試験問題は一学年向けというのもあり、選択式と実技だけ。
記述問題はないので、採点に迷う要素はほぼない。
機械のように正確に、早く。
さらさらさらーと採点しては用紙に記入して次の解答用紙と棒へ。
それなりの速度だと思うが、やはりひとりあたり少々の時間がかかる。
諸々にひとり5分として、それが数百人分。
計1500分はかかるだろうか。
(数日かかるわねー)
小一時間ほど採点をしていると、約束していたガンツとさらにはルールーがやってきた。
「よう、お邪魔するぜ」
「お邪魔いたしますー」
「どうぞよろしくお願いします……!」
ルールーと約束はしていなかったが、ガンツの親族だからか。
あるいは……ガンツの採点をお手伝いしているのかも?
教職員であれば採点の手伝いも特に問題はない(むしろ聞くところによると、採点作業が極めて不得手な教授も存在するとか……)
私のあとにフォードがふたりへ元気よく挨拶する。
「フォードです! よろしくお願いしますっ!」
「きゅーい!」
ルルは羽をぽにっと掲げた。
ふにふにふに。
掲げた羽をくいくい動かすファンサ付きだった。
「わー! ペンギンの精霊さんですね。可愛い〜!」
ルールーが屈んでにっこり微笑む。
(これはもしや――ルル目当て!?)
しかし気持ちはよくわかる。
精霊はもっちり可愛い。ガンツから話を聞けば、見に行きたくもなるだろう。
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