332.クッキーと女子会
ブイヤベースとパンを食べ終わり、その後はデザートタイムになった。
まだ夜になって間もないし、甘い物を食べても大丈夫なはずだ。
ルルとフォードは夕食後、ソファーでのんびりとしていた。
「ふきゅ〜」
「おいしい、ルル?」
「きゅっ!」
だるんだるん。
ルルはソファーに深く収まっていた。
そんなルルに、フォードはエミリアの買ってきたクッキーを食べさせていた。
「はーい、次のクッキーだよー」
「きゅーい」
エミリアもセリスとリビングでゆっくりしながらクッキーを食べる。
薄いココア味のクッキーで、しっとりした出来栄えだ。
単体としては主張が強くない。紅茶やコーヒーと組み合わせる前提のクッキーと言えた。
「きゅいきゅい」
も……きゅ、もき……ゅ。
ルルのくちばしの動きは遅かった。
すでにねむねむモードに入っているのだ。
しかしそれでも甘い物は食べたい。因果なものである。
セリスとエミリアは向き合いながら、今日のことについて雑談をする。
試験のこととか、試し合いのこととか……。
「イセルナーレの大学では、そこまでルーンを学ぶんですねぇ……大変そうです」
「消去についてはウォリスのほうがレベル高そうではあったけどね」
ウォリスでは精霊魔術に繋がる消去術は重視される。
その辺りが関係しているのだろう。
そしてふと思ったことをエミリアは口にしてみる。
「セリスも先生になれそうだけどね……」
エミリアはセリスの魔力を高く評価している。
今日会ったルールーと比べてもセリスの魔術能力は遜色ない。
「いいえ、私なんかはまだまだで……。むしろ大学に入り直すのもいいかなーと」
「それはもったいないわっ!」
エミリアがクッキーを頬張りながら止める。
さすがにセリスのレベルだと大学の講義は退屈だろう。
体感、それほどの差があるのだ。
「きゅい」
ルルがふにっと頷く。
が、そこからルルの体勢がかなーり前のめりになって……。
フォードが前のめりになったルルを抱きとめる。
「おっと〜……ルル、眠いのー?」
「きゅーい?」
ルルはフォードの身体に抱かれながら、頭を振った。
いや、かなり眠そうな仕草のような。
「きゅ……」
ぽりぽり、ぽり。
ルルはフォードの持っているクッキーに吸い寄せられ、食べている。
ほとんど無意識なように見えるのだけれど。
「もしかして食欲で……?」
「あり得ますね。ルルちゃんなら……!」
「うん、そうだと思う」
フォードもルルは半分寝ていると判断したようだった。
手元のクッキーのうち、1枚をルルにあげると残りを皿へと戻す。
そして、うつらうつらしているルルをフォードは抱えた。
「ルルと寝る〜」
「そうね、そうしましょ」
エミリアとセリスはさすがにまだ眠くない。
フォードはルルがいればすぐに眠れるので、先にふたりの寝支度を整えて
ベッドへと寝かしつけた。
「おやすみなさーい」
「……きゅ」
ルルのくちばしが若干もにょもにょ動いているが、これは消えたクッキーを求めているのだろう。
でもそろそろ食べ過ぎではある。
摂取カロリーの重さは、命の重さ。
たぷみとなって身体にのしかかってくるのだ。
フォードとルルが寝息を立てたことを確認して、エミリアとセリスはリビングに戻った。
そこでまた紅茶をのみのみ、クッキーをぽりぽりしながら女子会を続行する。
「残念ね。あなたにも教職は合うかもと思ったけれど……」
「そうですねぇ、先生も興味はありますが……」
イセルナーレ魔術ギルドの仕事は基本的にスポットが多い。
まぁ、エミリアとセリスには相応の事情があるのでやむを得ないのだが。
「身体を動かしたい気持ちやスレイプニルに乗りたい気持ちもあって、騎士なんかもいいかなーと」
「…………」
なるほど。
セリスの実家の大公家は武人として名高かった。
馬に触れ合うには、やはり騎士。
しかし馬に乗りたいのなら――。
「いえ、でもそれなら大学でもいいんじゃ? 動物学とかもあるわよ」
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