お邪魔虫
血盟の屋敷。猫のキグルミ姿で朝食を食べながら、ステータスをチェックしている。狩りに行っても、俺はLvをカンストしてるため意味がないのだ。そこでサブクラスに挑戦しようと思っている。カンスト特典で、サブクラスへの経験値ペナルティもなし…どころか2倍、サブクラスの全スキルも取得可能なのだ。
うんうん、さて、問題は…どのクラスにしようかな?
戦士だったら、難攻不落の要塞みたいなヒーラになれる! だけど攻撃力がないから、回復ばかりでジリ貧になりそう。
ならば、盗賊や狩人みたいに攻撃も出来て、トラップなども回避できて、速度アップや脱出にも長けている職がいいのかな? 一応キープ。
次は…魔法使い? パラメータもMAXだし、超攻撃力高そう…。いやいや…まてまて…駄目だ。技や魔法なんて使ったら、サブクラス持ちだってバレてしまうじゃないかっ!
ではスキルなしでも強い? 戦士になのか? いや…違う。パラメータもHPもMAXじゃない? 意味がないよね…。
ならば…召喚師? いいんじゃない? 隠れて召喚しておけば問題ない? なるほど、なるほど…上位クラスや最上位クラスで、あんな感じ、こんな感じの別れるのか…。
そんな事を考えていたら、アクセルの顔が目の前に出現する。近い、近すぎる!!
「ニーナちゃん! お腹いっぱいになったかな? こいつらが俺の弟分だ。お前ら、ニーナちゃんのLvきっちり上げてこいよ? ごめんね、ニーナちゃん。俺、緊急クエストが入っちゃったんだよ」
紹介されたメンバーは、戦士、剣士、魔法使い、ヒーラ、盗賊の5人だった。この世界のパーティの上限は6名まで。あと一人に私が入るのか。
「えっ。お断りっす。だって、Lv1ですよね? 俺は、パワーレベリング嫌いっす」剣士の男がアクセルに楯突いた。
食堂は一瞬にして、シーンと静まり返った。
「はぁ? ざけんなよ、糞ガキが!!」アクセルは血管がブチ切れそうなほど青筋を立てて怒る。
食堂で食べていた他のメンバーも参加して、10人がかりでアクセルを抑える。
「おい、アレン! アクセルさんに謝れよ!」と魔法使いの男が叫ぶ!
「ま、待って下さい!! わ、私のために、喧嘩しないでください!!」俺はアクセルとアレンの間に入って二人を制す。あれ? これって!!! ドラマみたいじゃね? 一度はやってみたいシーンBEST10に入るやつだろ!!
「アレン。あんたが悪いよ。あんただって、アクセルさんに散々パワーレベリングしてもらってたじゃないか」と盗賊の女が言った。
「わかったよ、すいません、アクセルさん。この猫と狩り行ってくりゃ良いんでしょ」と不貞腐れながら、アレンがため息混じりに言うと、俺の手を掴んで食堂を出て行く。
「あ、あれ? わ、私、き、キグルミなんですが…」一応、買ってもらった清流の杖は持ってますが!
その後、パーティは雰囲気が最悪なままギルドでクエストを受けると、高レベルの狩場へ向かうのであった。