表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
姜伯約の北伐政策  作者: はくりなのい
第四章 姜伯約の特攻戦略
39/141

結晶の囚人~崩壊~

「……本当に、ありがとう。姜維殿、劉備様」

 これで危機を取り除けた。しばらくは大丈夫だと思うわと安堵する笑みを広げる元姫。彼女曰く核はまだまだあるらしいが、一つの場所に続けて出る事はないらしい。ならばしばらくは休養に努められるなと姜維は理解する。

「にしてもこの剣凄かったぞ。何で最初から出してくれなかったんだ?」

 姜維の右手に握られている日本刀。光に包まれたかと思うと、反りのある剣に戻った。この日本刀が最初から出ていれば苦労しなかっただろうに。

「ああ、それは限られているのよ。その武器は、僅か数分しか出せない。私が力を全て使い切って出す日本刀だから。更に五分程度しかもたないわ」

「つまり、私に賭けたのか」

「ええ、賭けだったわ。あなたの勝利を信じたの」

 あなたが勝つ事はわかっていたけれどねと綺麗な顔に小さな微笑みを携えられ、姜維は少し照れ臭くなっては顔を逸らした。表情には見せないが。

 そして、そんな時に劉備が疑問に思っている事を告げる。

「ん、ならどうやって戻るのだ?」

 劉備の発言に姜維と元姫は双子のように首を左へ傾げた。

「いや、元姫殿は力を使い果たしたのだろう? なら私達はどうやって帰るのだ?」

 確かにそうですね、と姜維は言葉を紡ぐ。哀姫を転送したときは元姫に力があったからだ。しかし今、元姫には力がない。使い果たした。ならば、別の方法を使うのだろう――と思っていれば元姫は焦燥感溢れる表情で、額に手を添えていた。

 何も考えてないわ、という顔である。

「おい、元姫殿、まさか……」

「しっ、仕方ないじゃない! 倒す事に必死で、帰る事を忘れていたの!」

「じゃあ何だ、私達はこのままか」

「そうね」

 腕を組んで自信満々に告げる元姫。姜維はその小さな頭に左手で手刀を落とした。血が彼女の頭に付着したが最早気にしない。

「じゃあどうするつもりだ。今すぐ考えろ」

「無茶言わないでくれるかしら。力がないなら無理ね」

「ふざけるな。それを考えるのがあなただろう。私と劉備様は専門外なのだからな!」

「わかっているわ。けれど、この空間で、何を考えつくと言――」

 轟音が数度響き、地面が揺れ姜維達は体勢を崩した。敵襲ではない。ジエジンは倒し消え去った。左の空間を見れば何やら亀裂が入り、今にも破壊されそうな勢いだ。

「ッ、走りましょう! この世界が壊れるわ!」

「壊れたらどうなると言うのだ?」

「――取り残されて、外部の干渉も受けない空間を漂い続けます」

 つまりは死。それだけは許されない。急がなくては、と一歩踏み出し姜維はその場に崩れ落ち座り込む。劉備も同じく崩れ落ちている。気が抜けて、痛みが戻って、激痛が身体を襲う。そもそもこの状態で戦えていた事がお互いおかしいのだ。元姫から力を貰っていたという事もあるだろうが。

 元姫に左手を引っ張られ、劉備は右手を掴まれ二人は支えられる。腰に手を回され支えられると、即座に走り出す。意識が飛びそうなほどの痛み。それでも走らなくてはならない。姜維達はひたすら走った。足を前へ、前へと動かす。未来へと、進むために。すると見えてきたのは一筋の光。小さく、今にも閉じそうな光だ。姜維と劉備はそれに手を伸ばす――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ