プロローグ①
俺達は首魁討伐を目指して迷宮の中を進んでいた。
と言っても、団長はクソ雑魚ナメクジたる俺なんかじゃない。
先ずは一団団員の紹介から始めるとしようか。
剣、攻撃魔法、回復魔法さえ扱える万能な勇者レイ、近接戦闘においては他者の追随を許さない圧倒的な火力を誇る戦士ウォレス、巨大な盾で後衛を守り抜く気高い女騎士ローザ、強力無比な数多の魔法を操り敵を殲滅する女魔術師サラ、どんな怪我でもたちまち治してしまう敬虔な修道女ナーシャ、そして、罠の解除や宝箱を開けるのはお手の物な盗賊の俺ことシド。
他の仲間達が戦闘面における記述ばかりなのに、俺は「罠の解除」だの「宝箱を開ける」だのしょっぱい内容が並んでるので、お分かりいただけると思うが、俺は戦闘においてものの役に立たないクソ雑魚ナメクジ。
通常戦闘において、一団への貢献度で他の団員より遥かに劣っているのは明白だ。
しかし、今流行りの追放モノみたく、「役立たずは出ていけ!」なんて言われることはない。
その理由の多くは俺の天賦才にある。
「正当ナル復讐者」。
俺が戦闘不能になることで、一団団員の能力が爆上げされる固有技能。
この世界の住人は誰でも必ず一つは「天賦才」と呼ばれる固有技能を持って生まれてくる。
しかし、効果については一切分からない。
そのため、自分がどんな天賦才を持っているか、知らずに一生を終える者も稀にだが存在するとのことだ。
そういった意味では早々に自分の天賦才が分かった俺は幸運な部類に入るのだろう。
名称は当人が付けることが殆どだが、稀に他の人から付けられることもある。
自分の天賦才が何なのかは手探りで探っていくしかないが、お恥ずかしながら俺だけが戦闘不能になった時にこの技能が発動し、その存在に仲間達が気付いた。
わざわざ貴重な一団の枠を使ってまで使う必要があるのか、と問われれば、その答えは「イエス」だ。
非力の代名詞のような、か弱い修道女が大鬼を素手でどつき回せるくらい、能力が底上げされる。
効果は俺を戦闘不能にしたヤツを倒すまで続く永続技能だ。制限時間とかセコいものは存在しない。
首魁キャラ、というのは当たり前のように全体攻撃をしてくる。
まあ、大体の首魁キャラは単独で出てくるので、少ない手数を補うためなのだろうとは思うが。
しかも、中には更に二回攻撃を加えてくるヤツもいる。後衛職なら一撃で戦闘不能にするような攻撃を、だ。
首魁というのはそれほどまでに雑魚とは一線を画する強さを持っている。
そんなヤツの攻撃を受けたら、オレみたいなクソ雑魚ナメクジは大体の場合、一撃でダウン。
発動条件は驚くほど緩い。
ちなみに、俺のこの天賦才は一日一回しか発動できない。
なので、首魁に辿り着くまでの道中、オレは超VIP扱いされる。
女騎士ローザがオレの護衛として常時張り付き、オレが傷でも負おうものなら、修道女ナーシャが即座に回復魔法を唱えてくれる。
クソ雑魚ナメクジである俺が首魁に辿り着く前にやられてしまったら、役立たずどころの話じゃ済まないからだ。
俺の職種は盗賊。
戦闘能力はクソ雑魚ナメクジだが、回避と逃げ足だけはなかなかのものだと自負している。
超VIP扱いしてもらってはいるものの、よけれる攻撃は自前でよけて、今のところ無傷だ。
まあ、火力としては全く役に立てていないので、威張れるようなことじゃないが。




