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お祝いパーティー 2

 路地裏に転送魔方陣を使い移動すると、俺と柊は広場に移動する。城下町の広場には大勢の人が居る。噴水を中心とし、その周りにはベンチが多数ある。さらに、綺麗な色で咲いている花が植えられている花壇もあり、物凄く綺麗な広場だ。時期が良いと、この広場には様々な出店も並ぶらしい。


 そんな広場に中心にある噴水のベンチに見知った二人が座っていた。一人はドメインでもう一人はラトリーだ。基本的に学院でしか会わない二人なので私服を見る機会は少ない。今日はその少ない一日の一つだ。


「二人共おはようなのだ!」


「二人共おはよう」


 手を振りながら近づく柊に、ドメインとラトリーは苦笑いを浮かべながらも手を振り返す。少しだけ周囲の人に見られている事には柊は気が付いていない。その視線が二人には少し恥ずかしいのだろう。


「ホシノ君とヒイラギさん、おはよう!」


「やっと来たか、二人共おはよう」


 笑顔で挨拶を返してくれるラトリーと対照的に、ドメインは真顔で挨拶を返してくれる。二人からしたら王女に会う日だというのにいつも通りの空気を感じる。あまり緊張していない様子で良かった。


「早く行くのだ!」


「そうだな。フィアナも待っているだろうし」


 特に意識もせずに呟いた言葉だが、その言葉を聞いた瞬間にラトリーとドメインが固まる。まるで急に無いかを思い出したかのようにフリーズした。


「何か買っていかなくても大丈夫なのか?」


「そ、そうね……王女様だし……」


 挨拶をした時には感じられなかったが、やはり緊張しているようだ。ラトリーは納得出来るが、ドメインまでも緊張しているとは少し驚きだ。てっきり、何事も無いと思って居た。


「大丈夫だと思う。そういうの気を使う人だから……」


 フィアナは王女であるにも関わらず、物凄く優しい。いや、王女であるからこそ優しいのかもしれないが、人から何か貰うと物凄く気を使いそうな気がする。お礼にーーーなんて言いながら高価な物を渡しそうだ。


「良い人なのだ!だからそんな気を使う事無いと思うのだ!」


 まぁ、フィアナという人物を知って居るからこそ、分かる事だ。王女としてのフィアナしか知らなければ、俺も同じように緊張し、何か持ってきていただろう。それだけ、この大陸では王女であるフィアナの存在は大きい。氷漬けになった両親が居ないからこそ、余計に王族としての権利という物が大きくでる物なのだろう。


「けどーーー」


「まぁ、良いじゃないか。二人がそう言っているだから、物凄く良い人なんだろ」


「そうね。直接会うのは初めてだけど、式典とかで挨拶してる雰囲気で分かるわ。良い人そうな雰囲気を醸し出しているもの」


 いつでも笑顔なフィアナは、直接人柄を知らない人から見ても良い人そうに見えるらしい。これもフィアナの雰囲気と笑顔が成せる技だろう。


「ここじゃ、人目に付きやすいから、路地裏まで来てもらっていいか?」


「ああ、問題無い」


「私も大丈夫よ」



 という訳で、俺たち四人は路地裏に入る。来た時と同じく人気ひとけが無い事を確認すると、転送魔方陣を展開する。フィアナから渡された王族専用の魔石を使用する事によって、呼び出せる特殊な魔方陣だ。


「見た事が無い複雑な魔方陣だな……正直、今までにも転送魔方陣は見た事があるが……レベルが違うな」


「その辺にある物とは全く別物ね……」


 足元に展開された魔方陣見て、二人が感想を述べる。俺と柊はこの転送魔方陣以外見た事が無いが、やはり特別なのだろう。王族専用なので、その辺で見る事も出来ないし。


 心の中で唱えるとメロディア城の地下室に移動した。初めてこの世界に来た時に訪れた場所だ。少し暗いが、上に上がる階段以外何も無いため、問題無いだろう。


 そして、階段を上り、お城の中に入る。すると、二人は周囲も見渡す。


「こんな風になっているのね……」


「ここまで来る事が出来るなんてな……一生無理だと思ってたぜ」

 既にこの場所は一般人では立ち入る事が出来ない場所だ。当然簡単に入る事は出来ない。名家の生まれであるドメインでも一生に一度入る事が出来れば良い方だろう。


「それと、これを首からぶら下げてくれ」


 フィアナから渡されていた首掛け式のカードホルダーを二人に渡す。これでお城の中に居ても二人が怪しまれる事は無いだろう。


「わかった」


「絶対に無くさないようにしないとね」


 二人は説明無しでも何なのか理解してくれた。逆に言えばこれだけで立ち入る事が出来ない場所に入る事が可能なのだ。


「フィアナから言われているから、ギルバードの部屋に向かうけど良いか?」


「ギルバード様の事をそんな風に言えるホシノ君に対してある意味尊敬するわ……」


 何か冷たい目で見られた気がするが、気にしないでおこう。俺はギルバードの部屋まで二人を案内する。そして、辿り着くとノックをする。


「我なのだ!」


 元気よく言う柊の声に、扉が開く。中から騎士服を着たギルバードがいつも通りの表情で出てくる。


 その瞬間、ラトリーとドメインが同時に動いた。背中を伸ばし、利き手を胸の前に持ってき、反対の腕を後ろに回す。この世界に来て初めて見た格好だった。


「本日はお呼びいただき、ありがとうございます!」


「このような場所に入れる事に感謝します!」


 二人は当たり前のように行動したが、俺と柊はポカンとしていた。この世界来て結構経過しているように感じるが、そのような動作を見たのは初めてだからだ。


「楽にしていて構わん。後、お礼を言うのは私の方だ。襲撃の時に城下町と住民を守るために率先して動いてくれた事、感謝する」


「ありがたいお言葉です!ですが、私は捕まっていただけですので……」


「それでもだ。捕まったにしれも、それは私たちが襲撃を止められなかったのが原因だーーーとにかく、今日は楽しんでいってほしい。後、姫様の前では普段通りで問題無い」


 ギルバードのその言葉に、二人は顔を見合わせる。やはり、俺たちがズレているだけで、フィアナとギルバード相手だとこういう反応を普通はしてしまうのだろう。姫を守る騎士と大陸の王女が相手だ。俺たちがこの世界の事に疎いだけなのだろう。


「逆に姫様は困られるだろう。そういう人だと思って、接して上げてほしい」


「分かりました!」


 二人の返事に少しだけ満足な顔をするギルバード。ギルバードがこんな顔するのは珍しいーーーそんな事を思ってみていると、視線が重なる。


「ワタル殿とツカサ殿はーーーまぁ、何も言わなくてもいいだろう」


「何か物凄く気になる言い方なのだ!」


「気のせいだろう」


 少しだけ笑みを浮かべるギルバード。以外そうな顔で見るドメインとラトリーと一緒に俺の部屋まで向かう。お城の中を歩く最中にすれ違う人に見られる事が多い二人だが、話には聞いているはずだ。何も言われない。むしろ、ギルバードが一緒に居る段階で、心配する者は誰も無いだろう。


「ここが俺の部屋ーーーと言っても、借りているだけだけどな。気にせずに使ってくれ」


 貴族が使う部屋を使用しているため、豪華な装飾や高価な物が多数ある。高価な物を壊さないようにや、部屋を汚さない事を意識しているが、やはり何ヵ月も生活をしていると、自分の部屋のように、部屋の物や置き場所に自分の習慣が出る。なので、部屋の中をまじまじ見る二人の視線は少し恥ずかし。一応、綺麗に片づけたので何も無いはずだ。


「ホシノ君、ありがとう!」


「ああ、全然大丈夫。気にしないでくれ」


 部屋の中に入ると、腰かけるドメインや柊。少し遠慮気味に座るラトリーと性格が椅子に座るだけでも出るのは面白い。


「暫くすると姫様が来られる。それまで少し待っていてほしい」


「どこに行くんだ?」


「少しだけ用事があるため席を外す。仲良くやってくれ」


 そう言って、ギルバードは部屋を後にした。


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