第84話・返品できませんかね?
これからもがんばっていきます!
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ここでおさらいしよう。
俺の領地となったベアルは元、住民数千人が住んでいたらしい、大都市。
魔の森が近く、帝国とも国境が接していたところから、貿易の要所としても機能していた。
城壁は二重に囲われ、外部からの進入も容易ではない。
そして今のベアルと言う街は、住民が38人の村と言ったほうがいい街。
魔の森が近いことから、土地がやせており、農業中心の産業にしては収穫も少なく、かなりひどい。
城壁、街の建物は穴だらけで、どこからでも容易に進入可能。
いくつかの建物には、盗賊団がはびこっている。
住民が納めている税金の行方は、現在調査中だ。
あ、そうそう、半壊していた屋敷は直したんだ。
俺の魔法で。
新築同然に復元した。
ジャングルと化していた庭も、きれいに整備したんだぜ?
すごいだろ。
そのせいで、ボロボロの周りの状況がより一掃、悲惨な感じに見えてしまっているのだが・・・・・・
「ほう? あの街はそんなことになっていたのか。」
「もう、無理ですよアレは。」
街のヒサンな現状を目の当たりにして一夜。
約束どおり、今は少し暇ができたので、ダリアさんの元を訪れている。
もちろん、ノゾミと一緒に。
ついでに、このダリアさんと、昨日焼け野原にしてしまった森を再生させた。
それはさておき。
はっきり言って、あのベアルの状況はひどすぎる。
着いたら王都へ変える予定だった騎士の皆さんには、瓦礫の片付けや、盗賊団の摘発をしてもらっている。
メイドさんたちも、同様だ。
魔法で直すのも良かったが、町全体に修復の魔法をかけてしまうと、中にいる人間まで修復されてしまう。
主に、盗賊たちの体力回復とか。
それは困るので、今は騎士の皆様に、摘発をしていただいている状況だ。
そうして俺は、ダリアさんに相談を持ちかけてみたのだ。
・・・・ドラゴンに、人間の町の事を聞くっておかしいかもしれないけどさ。
「無機物たる、建物のみに作用する魔法を行使すれば、良いのではないか?」
「それが・・・・・」
「?」
それは考えた。
と言うか、屋敷の修復で使った魔法がまさにそれだった。
これがうまくいったので、早速街全体にこれをかけようとしたら、
『カイト様。 無粋なまねはしないでください。 これからこの街は、我々の手で復興、いいえ。 大陸有数の巨大都市へと生まれ変わらせるのですから。』
と、とても男らしい発言をされたので、ヤメにしたのだった。
あのときの、何かを決意したような満面の笑みは、有無を言わせない感じだった。
崩れた城壁くらいはどうにかしたかったが、それすら許されなかった。
どうやら彼女の何かに、火がついてしまったようである。
とはいえ、今の住民は38人しかいないんだけどね。
「むう・・・なかなか人間の生活と言うのも、難しいものなのだな。」
ダリアさんが、理解したように数度うなづく。
難しいのは人間ではなく、アリア一人の思惑だとは思うが、それは言わずにおくことにした。
カイト的には、鉄道の夢が潰えたので、壊れた街は修復すればいいや、位にしか考えていなかった。
この街をでかく発展させるなんて、考えてもいない。
むしろ、今すぐ爵位ごと王様に返還したい。
「私にも、何か協力できることがあれば、いつでも言って欲しい。」
「ありがとう、助かるよ。」
ダリアの優しい言葉に、頭を垂れるカイト。
言わせてもらうが、ドラゴンが人間に対して、こんな態度をとるなんて普通はありえない。
ドラゴンが人間に、協力を申し出るなど普通はありえないのだ!!
・・・大事なことなので二度言った。
「ねえ、ダリアさん。 どうして翼があるのに飛べないの?」
俺たち二人の真剣な話し合いも、ノゾミにとっては取るに足らない内容らしい。
いつものペースで、ダリアさんに質問をした。
って言うかそれ、禁句じゃなかったっけ?
するとダリアさんも、とたんに肩を落とす。
巨大なドラゴンの、そうした光景は見ていて、かなりシュールな光景だ。
「・・・確かに、私には地竜なのになぜか、翼がある。 だがあくまで私は地竜だ。 翼はあっても、飛ぶことはできない。」
哀愁漂う感じに、細々とそう言ったダリアさん。
『鑑定』でダリアさんの種族を見てみるが、確かに『地竜』と書いてある。
昨日、アリアに聞いたら地竜というのは、翼のない大きなトカゲみたいな生物、と聞いた。
知能はあまり高くないが、魔力や力がかなり強く、寿命が恐ろしく長いらしい。 群れて生活しているのだとか。 体表は赤いのが特徴。
対して目の前のダリアさんは、見た目はトカゲと言うより立派な空飛ぶドラゴンだし、知能も人間並みか、それ以上。
う~~~ん・・・・・・・・・。
分からない事だらけだ。
群れからつまはじきにされてしまったのも、その見た目が原因なのだろうな。
このことは、彼女の心に大きな傷を残しているらしい。
なぜ、自分はほかの個体と見た目が違うのか。
彼女自身、よく分かっていないらしいので、詮索はここまでだ。
「元気出してください。 今は俺たちがいるじゃないですか。」
なんかクサイが、ダリアさんがあまりにかわいそうに見えたので、このセリフが思い浮かんだ。
「む・・・・ありがとう。 一緒に住めないのは残念だが、こうして会えるだけでもうれしい。」
パタパタと、でかい尻尾を左右に振るダリアさん。
空中でやっているので、地面が揺れることもない。
少し、そよ風程度が吹くくらいだ。
おっといかん!!
また長く話し込んでしまった。
「じゃあ、俺たちは今日はこの辺で。 また来ます。」
ノゾミの手をつかんで、帰る事を伝える。
「早いうちにきてくれよ?」
ダリアさんも、手を振って見送ってくれる。
俺とノゾミは、ベアルへと転移で戻った。
急がないと、またアリアに怒られる・・・・・・
ダリアちゃんの素性ですが・・・
設定はあります。
なぜ、地竜なのに空竜みたいな姿なのか。
それはでも、本人も知らないことなので、書く機会があるかどうか・・・・
どうにか、そういうのを探したいと思います。




