第65話・誰かこの状況を説明してください その8
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俺のアイテム・ボックスに入れっぱなしになっていたルルアムは、その後、王宮の衛兵たちにしょっ引かれていった。
これから、裁判を受けて正式に罪に問われるのだという。
俺のせいで、性格が変わってしまったようなので、またアリアを殺そうとかはしないだろう。
ひとまず安心。
でも、三日も暗闇に閉じ込めてしまったのは、いくらなんでも、かわいそうだった。
今度会ったら、改めて俺も彼女に謝ることとしよう。
「しかし、カイト殿はラウゼン家の屋敷に一人で急襲したのも然り、ルルアムを収納していたことも然り・・・・ ずいぶんとお強いようだ。 どうかな私にも一つ、その実力を見せてくれんかな?」
王様が、とびきりの笑顔をコチラへ向けてくる。
その言葉に呼応するように、この部屋へメイドさん四人が、大きな水晶の玉を運び入れてきた。
ギルドにある登録用の水晶の、デカい版だ。
「カイト様。 これは強制ではありません。 純粋な、われわれの好奇心によるものです。 個人のステータス表示は、プライバシーに関わるので、国王といえども他人のステータスを覗くことは禁じられています。」
アリアが、俺に対し水晶のことを話してきた。
それは初耳。
そうか。 だから、登録時以外はステータスを見られる事がなかったんだ。
でも、俺は実は他人のを見ることができる。
当然水晶なしで。
犯罪だったのか・・・・・・・・
実は今回、ルルアム邸に進入するときも屋敷内の人間の戦闘力を見るために、使ったのだが・・・・・・
今後、禁止案件だな。
とりあえず、ここでは俺の発言が尊重されるらしい。
断る権限が、俺にはなさそうな雰囲気だけどね。
周りの空気とかが。
いいさ。
見られて死ぬことはないだろうし。
俺は黙って、目の前に置かれた水晶にギルドのときのように手をかざした。
こんなん出ました。
名前: カイト・スズキ
年齢: 17歳
種族: 人族
レベル: 8
HP(体力): ∞
MP(魔力): ∞
STR(筋力): ∞
DEX(機敏): ∞
スキル: 好きなものを好きなだけ♪(※取得したものの表示は省く。)
ん~~~~~??
数字、どこ行った?
そして(∞)このマーク、何?
駄女神様がダルくなって、表示をテキトーにしたのかな?
誰かに聞こうと辺りを見回したら、室内のほぼ全員が固まっていた。
イリスさんまでもが、絶句している。
なんか、まずい表示があったのかな?
まあ、『好きなものをものを好きなだけ♪』とか、意味わからんしな。
対して、王様やアリア、それに王様の左隣にいる女性(王妃様?)は、大変満足そうな顔だ。
何か、企んでそう。
ノゾミは、別にステータスを聞かれることは無く、そのまま水晶は撤収された。
ノゾミは、どうでも良かったんかな?
まあ、見られたら種族表示で困るからいいけど。
「いや、想像に勝るものであった。 さすがはカイト殿。わが・・・・・」
ここまで言ったところで、左隣の女性に何かを目で制される王様。
すると、途端に笑顔が消え去り咳払いをした後、一転して真剣な表情になる王様。
「カイト殿。 今回こうして、来てもらったのは他でもない。 あなたにはこの国、いやこの世界の『勇者』になってもらいたいと思っている。 ステータスを確認したが、実力も申し分ない。」
「は、・・・・・勇者ああ???」
突然の提言に、一国の王様に対し、スゴイ態度を取ってしまうカイト。
って言うか、勇者ってたまに日本でも聞いていたアレですよね??
魔王を倒すとか、世界を救うとか言う・・・・
日本では、鉄道以外興味が無かった俺は、友達から聞かされていたおぼろげで漠然とした知識しかない。
「実は、この世界の魔王がこの頃、不穏な動きを見せていてな・・・・・・・・ 伝説にもあるとおり、魔王の進攻があるかも知れん。 それをどうか、食い止めてほしいのだ。」
ちょー真剣に俺にそう言う王様。
魔王、いるんだ・・・・・
いや、駄女神が、そういえば、そんな事を言ってたな・・・・・
イリスさんも、俺が視線を向けると、うなづいてきた。
もしかしなくても提言したの、あなたですね?
だがしかし、俺は嫌だ。
日本にいる友達だったら、『俺が勇者!? ヒャッフー!!』とか言っていそうだが、俺は温室育ちの平和主義者だ。 そんな怖そうな相手と、戦うなどごめんだ。
やるなら、俺の知らないところでやってほしい。
俺にはこの世界で、鉄道を作るという夢があるのだ!!
そう王様に言ったら、思いのほかあっさり受諾された。
残念そうにうつむくが、それでも俺の意思を尊重してくれるようだ。
『鉄道』の発言に関しては頭に、『?』が浮かんでいたが・・・・・・
どちらかというと、『ええ! そんな・・・・!?』と、イリスさんのほうが、ことのほか驚いている。
すいません、イリスさん。
俺は勇者なんて、嫌なんです。
でもこの国の国王は、いい王様だ。
上からものを言わず、きちんと一冒険者の意思を尊重してくれる。
きっと国民からの信頼も厚いことだろう。
・・・・そう、思っていた時間もありました。
うつむいていた王様は、何かを決定したかのように顔を上げて、口を開いた。
なぜか、さっきよりもとびきりの笑顔だ。
アリアや、王妃様(?)はじめ、室内の多くの者が、俺に期待をこめた・・・・・・・
いや、獲物を見つけたような黒い笑顔を向けてきた。
何?
勇者を断るってワード、実は地雷??
混乱する俺をよそに、王様がこんなことを言った。
「実は、カイト殿が勇者を断るのはなんとなく、分かっていたのだよ。 だから気にする必要は無い。」
んん~~~~???
俺が、断ると分かって『勇者なりませんか?』って聞いたってこと?
ますます、分からん・・・・・・・
あれか?
だめでもともと、って感じか??
しかし王様は、俺のそんな予想をあざ笑うかのように、トンデモ発言をしてきた。
「カイト殿。 アリアと婚儀を結び、君に爵位を与えよう! なに、領地はもう決めてあるから心配するな!!」
すごい笑顔な王様。
右隣のアリアは、すごく恥ずかしそうに赤くなっている。
左隣の王妃様(?)にいたっては、すごいドヤ顔だ。
貴族たちは、パチパチと拍手を送ってくる。
「「ええ・・・・!??」」
俺とノゾミの声がハモった。
この王様たちは、なにを考えているのか・・・!???
次の更新は、明日になります。




