第66話・誰かこの状況を説明してください その9
これからも頑張っていきます。
玉座の間に響く、拍手。
微笑みを浮かべてくる、国王夫妻・・・・・と、アリア。
この状況を打ち破ったのは、ほかでもない聖女のイリスさんだった。
「ゼイド王! 話と違います!! 彼は、勇者とすると決めたではありませんか!!」
『俺の知らないうちに、なんてことを決めてやがるんだ!!』と、カイトは抗議の声を上げようとしたが、その言葉が声にのる事はなかった。
「カイト殿を『勇者』とすることは考えたが、それは本人の意思によって遂行不可となった。 勇者案件は、諦めるほかあるまい。」
王様は、そのイリスさんの疑問に、そう答えた。
「では、なぜカイトさんに爵位を与えるという話となるのです!? それも愛娘であるアリアさんを・・・・・」
ここまでイリスさんが言葉を発したところで、王様はこの質問をまるで、予想していたかのように間髪をいれず、口を開いた。
「これは仕方のないことなのだよ。 聖女殿。」
「仕方・・・・・・・無い・・・???」
「カイト殿は、愚か者とはいえ世の公爵家たる『ラウゼン家』に対し、不法侵入及び、襲撃を行った。 彼が『勇者』ともなれば、不問にもできようが、それは本人の意思によって却下された。 彼は事実どうあれ、この国の法律によって裁かれなければならない立場に今は、なってしまっているのだ。」
「それは・・・・・・・・・!!」
イリスさんも、この言葉には何も言えなくなってしまう。
カイトも、それは分かっていた。
この国には、『貴族の優越』なるものがあり自分のした行動は、罪に問われてしまうであろうことは分かっていた。
しかも、相手は公爵家。 王様の分家とまでは行かないが、血縁関係にある大貴族だ。
その家を、一冒険者が襲撃。
様々な証言などから、カイトはこの事件の功労者であることは誰もが分かっていた。
ルルアムも、厳しく罰せられることだろう。
だが、それとこれとは話が別だ。
カイトが、公爵家を襲撃してしまった事実は、揺るぎない。
これが不問となってしまっては、国の司法に問題が出てしまう。
「だが・・・・」と、王様は話を続ける。
「彼がアリアと結婚し、王族の分家の一翼を担ってくれるならば、話は別だ。 彼は、われわれの近親者となり、身分は『大公』となる。 ラウゼン家襲撃の件も、『貴族の優越』の制度により、不問となるのだ。」
イリスさんは、うう・・・・と、歯噛みしていた。
大公の身分は、公爵よりも上となるので、このように罪とかは、不問となるらしい。
貴族って怖い・・・・・・
カイトは、その考え方などに震えを隠せなかった。
それはつまり、貴族が市民を殺しても罪に問われない、ということなのだから・・・・・・
まあ、実際は『罰』などは与えられるわけで、貴族でも市民を殺しなどした場合「身分剥奪の上、終身刑!!」などとなるのだが。
「で・・・・でも、何で俺とアリアが結婚を!? だって彼女はその・・・王女だし? 俺と結婚なんかしても良い事なんか・・・・・・」
やっとのことで、そう切り出せたカイト。
そうだよ!!
俺はただのCランク冒険者。
罪は怖いけど、俺はしたいようにしただけだし、悔いは無い。
ルルアムに対しては、やりすぎたのは反省だが、この先ああしていなければ、彼女自身が死刑とかになっていたかもしれない。
運がよかった、・・・・・と思う。
アリアも助けられたし、鉄道の夢が潰える事になるかもしれないけど、結果オーライじゃね?
っていうか、この状況を打破する手段として、彼女との結婚を使うとかは、したくない。
それを王様たちへ伝えようとしたところで、話を遮られた。
アリア本人に。
「カイト様。 誤解があるようなので、申し上げますが私はあなたとの結婚に依存はありません。 北の森で助けていただいた折、私はあなたの力と、優しさに心を奪われてしまいました。 この言葉に嘘偽りはございません。」
俺の姿をまっすぐ視線でとらえ、アリアはそう、言い切った。
ここ・・・告白だ・・・・・・・・・・・・!!
地球ですら結局、一度もされることがなかった告白を、なんかすごい形でされてしまった。
カイトは、人生上初めての経験に、動揺が隠し切れなかった。
でもこれも、形式上ついている嘘かもしれない。
アリアは、望まない結婚を、王様たちから強要されているのかもしれない。
十七年も女性から縁遠かったカイトの心は、枯れていた。
自分が、王女様(美人)から告白されるなど、地球が爆発してもありえないことだ。
そんな感情を、カイトの表情から読み取ったのか、アリアは王手をかけてきた。
「カイト様は・・・・ 私のことは嫌いですか?」
バキューン!!という効果音が、どこからか聞こえてきた気がした。
アリアは、顔を赤らめながら、心なしか涙をその瞳に浮かべ、カイトに対し最後の一手を放ってきたのだ。
それも、一段高いところにいるはずなのに、上目遣いに。(そう見えた。)
女性に対する免疫の無い、カイトはこれで、大ダメージを食らった。
それを見ていた、イリスさんは信じられないようなものを目にしたような、絶望感漂う表情を浮かべた。
「カイト殿、こう言うのは何だが、アリアはあなたに、本当に惚れてしまっているようだ。 どうか、この申し出を受けていただきたいと、思っている・・・・・」
笑顔でカイトに対し、追撃を放ってきた王様。
となりの王妃様(?)は、笑顔がここまでで一番、輝いている様に見えた。
「よかったね、カイト。 これで『鉄道』とかいうの、作れるんでしょ?」
屈託の無い笑顔で、俺の横にずっといたノゾミが、すべての俺の退路をふさぐように言ってきた。
ノゾミは、反対してくると思ったのだが、カイトのその考えは、見事に打ち砕かれた。
ここでなぜ、それが出てきたのかがよく、分からなかった。
鳴り止んでいた貴族たちの拍手が、再び聞こえてくる。
それは、さっきのものよりも大きく聞こえた。
こうして、よく分からんがカイトは、アリアと結婚し、貴族の地位を賜ることになってしまったらしかった。
う~~ん、どうしてこうなった?
次回は、いろいろすっ飛ばして書こうと思います。
何せ、だらだらと、長すぎたので・・・・・・・・




