表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
回避とサイコとツトム改~ゾムビー~  作者: 時田総司(いぶさん)
第一章 始まりの手袋

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/58

第一節 主人公ツトムの入院生活

 爆破と身体が出会って二年後の2022年、春――。 爆破は防衛大を首席で卒業した。

 卒業後は空曹長に任命され、通例通り、幹部候補生学校に所属した。



 丁度その二年後の事だった。ゾムビー撲滅協会の会議にて――、


「もはや議論を繰り広げる段階では無いな」


「ああ、もう動かなければ」


「ゾムビー対策組織、設立に向け、動こうではないか!」



――、


「まずはことの発端を整理しよう」


「ゾムビーの住処は、宇宙に在った」


 ゾムビー撲滅協会の会議中、真剣な眼差しで、一同は会議に臨んでいる。


「そのゾムビーに関する何かを、米国が手にし、持ち帰ったことから地球でゾムビーが発生するようになった」


「おのれ米国め……」


「余計な事をしてくれたな」


「しかし、不用意に口出ししてみろ。米国との外交問題になるぞ」


「さて、地球でのゾムビーの縄張りは、薄汚れた場所や、湿った場所。何故かは分からんが、ゾムビーはそういった場所に出て来る」


「そうと分かれば!」


「探索が必要だな」


 この週にはゾムビー対策組織(仮)が動き出した。


 こうしてゾムビーの探索、駆除が日本でも積極的に行われていった。その先頭に立つのは、爆破スマシ――。


 ゾムビー対策組織(仮)の指示を受け、現場に急行。亡くなった杉田から教わった、『力の使い方』を駆使し、ゾムビー達を撃破していった。


 更に月日は流れ、2026年――、ある日、スーツ姿の男は爆破に話し掛ける。


「さて、爆破さん。ここの部隊も、ゾムビー対策組織(仮)では箔がつかないと思わないかい? 何か名前を付けてみてはどうかな?」


「名前……か……」


「どうするのかね、爆破隊長?」


「よし! この部隊を、今日から!」


 爆破は声高らかに言う。




「狩人と名付ける!!」




 かくして、政府公認部隊・狩人が結成された。




 その頃、アメリカでは――、


『めっきり姿を消しちまったな、ゾムビーの奴ら』


『被害が出ないに越したことは無いだろう?』


fireとボディアーマーがMASA施設内の一室で会話をしている。


『いやぁよお、身体が鈍るっていうか、毎日“力”を使っておきたいんだよ』


『そんなのは、訓練場で済ませればいいだろう?』


『いやぁ、あそこじゃ緊張感に欠けるというか』


『フー、やれやれ』


 ボディアーマーが溜め息をついたその時、




「ウィーン」




 一室の扉が開いた。


『やっ』


『よお』


 そこに現れたのは、サイコキネシスとワープだった。


『なーに? 退屈そうな顔して』


 サイコキネシスはfireに話し掛ける。


『それがよぉ、最近ゾムビー達がめっきり姿を現さなくなって、フラストレーションがたまっているって言うか……』


『そうか、それなら朗報だ』




『!!』


『!?』




 fireとボディアーマーはワープの一声にピクリと反応した。


『ゾムビー駆除へ向けての探索が、来週から始まるらしい。これまでは向こうから来たのを反撃していただけだったが、次回からはこっちから攻めていけるって訳だ』


『それは本当か!?』


『こんなコトで嘘をついてどうなる、fire? じゃあ、そういう訳だから、俺らは英気を養うぜ』


『バイバーイ』


 ワープとサイコキネシスは去って行った。


『おっしゃ! これでゾムビーを見つけたら、ぶっ倒せるってコトだな!? 気合がみなぎるぜ!!』


『やれやれ』




『ところで』


『?』




『あいつら、できてんのか?』


『…………』



 アメリカでは、このようにhunterが、ゾムビー達が居そうな場所を探索、ゾムビーを見つけ次第、戦闘を行い、処理していくようになった。


 一方で日本は、軍を持たない国として、自衛隊だけでは兵力不足で、探索へは踏み出せずにいた。ゾムビー被害が出ると急行、そこで交戦し、被害を最低限にとどめるよう、尽力していく形をとった。そうしてゾムビーへの対応が行われていくうちに、時は過ぎ、


 2028年を迎えた。


 春、精神病棟にて。冬の寒さが抜け始めた、優しい風がカーテンを撫でる頃、ラウンジのテレビからニュースが流れている。


「昨晩、またしてもゾムビーが発生しました。ゾムビーはK県の繁華街にて発生。食事中の客などを襲いましたが、2時間後には政府公認部隊・狩人によって、事件後ゾムビー化した民間人を含む全てのゾムビーが処理されました。次のニュースです……」


 ラウンジに座る少年、この物語の主人公、主人公ツトムが肩を落とし、溜め息交じりにつぶやく。


「はぁ。入院生活なんて暇過ぎて退屈だなぁ。ゲームボー〇でも持ってくれば良かった」


 と、そこへ。


「あぁ、あぁ。ツトム、ツトム、ちょっと」


 排便タレオがやってきた。


 ここは精神病棟。当然、患者がいる。主人公は軽い体調不良と診断され入院したが、ガチな人はガチである。


「どうしたの? 排便さん」


 主人公が何事かと語り掛けると、排便はこう返した。


「ああぁ、あぁ、こっち」


 促されるままに主人公は排便について行った。



 ――、


 辿り着いたそこは、トイレだった。



「あぁ、あぁ。開けられない、流せない」



 排便はそうやってトイレのドアを指差す。


 主人公ツトム、絶句。


「……あっあのさっ。入ると右手にボタンがあって、それを押すと水が流れるんだよ。押してみなよ排便さん」


「あぁ、ぁあ、無理。無理」


「無理じゃないよ。ボタン押すだけだから。何も怖くないよ、排便さん。やってみなって!」


「ああぁあ、無理。」


 排便は、何故だか分からないが、言うことを聞かない。


「だから! ボタン押すだけなんだって、あぁもう! こんなことに時間使ってられないよ。……! 時間!?」


 主人公はハッと時計を確認する。時計は午後2時32分を指していた。


「やっば! 遅刻だ。じゃあね、排便さん。これからOTなんだ」


 主人公は軽く右手を振って、排便が居たトイレ前から走り出した。



「あぁ、あぁ……」



 ポツンと一人残される排便であった。



 OTとは、ゲームや簡単な手作業を通じて、社会復帰の体力と作業能力を維持、向上させることなどの福祉・医療関係施設が提供するサービスの一種である。ざっくり言うと、この病院ではオセロや将棋、トランプ、パズルやペーパークラフト、もの作りをやっている! 主人公は、このOTにて、もの作りとして革製の手袋を作っているのだ!


「今日で完成するかな。でも出来上がったら何に使おうか?」


 速足でOTルームに向かう。誰かが主人公に話しかける。


「あら、ツトム君、これからOT?」


「あ、尾坦子さん」



 尾坦子ナース、主人公が入院している精神病棟で務めているナースである。グラマラスでおっちょこちょいな性格から、入院患者からの(主に男性)人気は高い。



「そうなんです。ちょっと遅刻しちゃってて」


 頭を軽く掻きながら、主人公は返す。


「そうなんだ! 遅刻してるからって院内を走ったりしたらダメだよ。あと、OT、無理せず頑張ってね」


 そう言って立ち去る尾坦子。尾坦子が立ち去った後、主人公は頬を少しピンク色に染めてボソリと漏らす。


「尾坦子さん、今日もかわいいなぁ」


 主人公も院内の尾坦子ファンの一人である。


 OTルーム――、入院患者たちが各々将棋、パズルをしたり革細工としてメガネケースを作ったり、大胸筋サポーターを装着するなどしている。主人公がOTルームに辿り着く。


「遅くなってすいません」

「ハイハイいいですよ。カード出して」


 受付で、OTルーム使用に必要な紙を差し出す主人公。


「じゃあ、今日も行っていきましょうね」

「はい、よろしくお願いします」


 軽く挨拶を済まし、作業台へ着く主人公。作りかけの手袋を台座に置く。革を縁取ってそれぞれのパーツを作るところまでは完成していた。


「刻印はどうしようか。……そうだ、手の甲に星を一つ。色は……」


 作業を進める主人公。


 そして――――


「よし、できた。あとはひもで縫い付けるだけだ」


 暗めの茶色地の革の真ん中に黄色い星。ここから生地と生地を縫い付けていく。丁寧にひもで縫い付けていく主人公。


「ひもを縫う作業って案外楽しいんだよな」


 時間を忘れて作業に没頭していく。順調に形が出来上がっていく。



 ――、


「できた」


 手袋が完成した。


「我ながらいい出来だなぁ。……革の質感っていいな」


 出来たてほやほやの手袋に頬ずりする主人公。


「匂いも……いい……」




「ジリリリリリリリリリリ‼」




「!?」



 主人公は騒音に身体が硬直する。暫く警報が鳴り響く。


「皆さん、逃げて下さい!」


 尾坦子が息を切らしてOTルームに登場。続けて言う。




「奴らが! ゾムビーが! この病院に!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ