川上よ
川上に向かって、お家の横を過ぎて……あわっちの声は聴こえないわ。
ほんとに魂ニナルのカンは正しかったのかしら?
そもそも、ニナルにカンが有るって考えたのが、誤算だったのね。
まぁ、川に落ちた以外の、消えた理由も有るのよね。
あたしの嘘の読みの通り、変質者が持ち去ったとかが嘘から出た誠になってたりとか。
まぁ、とりあえずあたしも、更に川を遡って捜索よ。
「あら?この大変な時に、ナノちゃんのは何をしているのかしら?河川敷のコンクリートに這いつくばって翅のモチーフの蟲の形態模写かしら?でもナノちゃん、その2段変身後の翅のモチーフは、はばたきながらだと、もっと高く飛ぶのよ?その手足をカサカサガサガサさせてる動きをするのは、翅を使わないで床面とかを移動する時よ?」
眼前に突如、ピンクのどぶねずみが出現したわ。
相変わらず、ふざけた事をほざいてるわ。
「何でここに居るのよ?ニナルに駆り出されたの?」
質問よ。
ピンクの輩が首をかしげたわ。
「は?ナノちゃんは何を言ってるのかしら?そのニナルの巣があそこよ。僕たちの基地がその天井裏に有るんだから、居てもおかしくないでしょう。皆様に近隣を案内中なのよ。そうそう、そのニナルだけど、ナノちゃんは知ってるのかしら?駆り出したり出来なくなった経緯を?」
ドラウトが訊いてきたわ。
見回せば、確かにニナルの巣が見えるわ。
この地域では無駄に高いわよね、地上12階建は。
ドラウトの後ろには、4匹の鼠色のどぶねずみが居るわ。
こいつらを案内?
違う違う、訊くのはこっちよ、経緯の方よ。
「経緯?何のよ?」
うるさいどぶねずみねに質問よ。
「あら、おこったのはナノちゃんの家でなのに、ナノちゃんは知らないのね。そんな注意力が散漫だから、観察が出来なくて、生物でイヅミさんが、頭をかきむしるような得点を叩き出すはめに成るのよ」
ピンクのどぶねずみが何かほざいてるわ。
「そうなんだ、へぇえ。ふぅうん」
スルーよ、スルー。
「…………仕方無いわね、教えてあげるわ。ニナルが意識不明で搬送されたわよ。意識不明のニナルは、ナノちゃん家の敷地内で不法侵入してるのを、イズミさんに確保されたのよ。イズミさんがニナル宅に連絡して、あの借金親父が車で御迎えに行って、鼾をかいて、寝くさってたニナルを連れ帰ったのよ。そんなニナルが僕たちを駆り出したり出来るわけがないでしょう」
ドラウトの説明で、家の敷地内からニナルの外身が消えた理由が解ったわ。
ママに見つかって強制送還されたのね。
「なら、あのリヴァーサイド・レジデンスにニナルの外身は有るのよね?」
確かめよ。
川上に有るってニナルのカンは正しかったのかを。
「は?外身?……まぁ、ナノちゃんの表現がアレなのは何時もの事だから、不問にするけど……ニナルを巣に連れてきて叩き起こしたんだけど、どいやっても起きないから、お医者が呼ばれたのよ。お医者がお手上げだったらしくて、ほら、大川添いの屋部納医師会病院まで、車で借金商会親父が持って行ったわよ」
ドラウトが言ったわ。
大川添い!
ほらごらん!
あたしの川下を捜すのは、当たりに近かったんだわ!
「屋部納医師会病院にニナルの外身が有るのね?って、その情報!ニナルは知ってるの!?」
ドラウトに質問よ。
「はぁ?ナノちゃんは、何を考えてるの?ニナルは寝てて意識が無いんだから知ってるわけがないわよ。ナノちゃん、ニナルはまだ意識が戻ってないのよ?ソリス兄さんからもサンドリヨンからも、誰からも連絡が無いもの」
ドラウトが教えてくれたわ。
ならこうよ。
「ドラウト、実はね………」
ドラウトに魂ニナルの件を、説明よ。




