呼出よ
「あんたの着メロ『おあつらえむき』よね」
ニナルに訊いたの。
「そう。カモネギーズの最新曲よ。あわっちさまのソロ部分よ」
あぁ、ニナルはジャネーヨズ事務所ではカモネギーズのあわっちがお気に入りなのね。
もちろん、あわっちはニックネームよ、正式には塗徹出沫胤ね。
そうか、ニナルはああいう、寸詰まりなちびっこタイプが押しメンなのね。
うん、うちのウレション小僧もちびっこタイプだわね。
あら、ならなんで尾苜大先輩嫌かるのかしら?
あれも同類項で括れるわよ。
同じちびっこ系でも、とっちゃん坊や系のちびっこはタイプじゃないのかしら?
あ、尾苜大先輩は同じとっちゃん坊や系の、ニナルの屑兄貴とイメージが重なるわね。
パット見、サイズが違うだけかも。
だから嫌がってるのかもね。
カモネギーズは、ステップダンスがメインで歌は……歌は……まぁ、ニナルがファンになるんだから、生温かい目で視てあげましょうって程度よね。
「あんたの言う通りに動いてるのに、その着メロ、いっこうに聴こえてこないわよ?あんた、マナーモードにしたまんまなんじゃいの?」
ニナルに訊ねたわ。
あたし達は、あたしの次元トラン・セイバーと普通のモバイルでニナルのに通信をかけながら、、ニナルの身体を捜索中なの。
「そんなはずがあるわけないでしょう!次元トラン・セイバーは何時でも何処でも問答無用で呼び出し音が鳴るじゃない!だから着メロにしてもらたのよ!モバイルはわざとあわっちの声が聴けるようにしてるんだし」
ニナルが喚いたわ。
「あら?あたしのはちゃんと、震動して御知らせしてくれるモードも有るわよ?さすがにシークレットモードはないけど。モバイルはマナーモードにしないと迷惑よ」
ニナルに教えてあげたわ。
「……それでか!あのゴージャストリオが、一斉に忽然と消えたりするのは、そんな連絡の仕方をしてたからなのか!」
ニナルが、ゴージャス・トリオ……イヨちゃん達よね……に、置いていかれたりしてるわけね。
まぁ、次元トラン・セイバーからの、あたしかプリンセスの指示でだわよね。
ニナルはモバイルのマナーモードの件を無視しやがったわ。
「だから、同じ機種を寄越せとソリスに言ってるのに!あの輩はぁ!!」
ニナルがまた絶叫よ。
あぁ、あたし、ニナルの絶叫を聴くためにここに居るわけじゃないんだけど。
「何を雄叫びをあげてんのよ。あたし、あんたが、すがり付く振りをして頼むから、あんたの外身探しをしてあげてるのよ。雄叫びなんかあげてたら、そのあわっちの歌が聴こえないわよ」
言ってあけだわ。
「!そうだった!わたしの身体を探してたんだった!」
ニナルが言ったわ。
「忘れる程度の価値しかない身体なんか、もうあきらめたら?あたしこんな低空飛行は、怖いから嫌なんで、もうおしまいにしたいんだけど」
隣に並走飛行してるニナルに言ってやったわ。
そう、あたしは地上30センチメートル位をゆっくり飛んでるのよ。
まぁ、散歩の人やら犬やらが邪魔よ。
自転車は、ほぼ凶器よ。
ホントは河川敷のサイクリングロードでしょ、ここは。
何でここに居るかというと…………ニナルの【カン】。
ニナルのカンを頼りに捜索中なんたから、見つかるはずがないわよね。
それも、家から河上に向かって捜索中なの。
川沿い側にあるガーデンチェアから、落っこちたとしたら、コンクリートブロックの長い斜面と、鋪装されたサイクリングロード、更に、河川のコンクリートの護岸で、頭のひとつもカチ割ってるはずだわ。
痕跡が無かったけど。
まぁ、コンクリート群をクリアして、無事に川の中に落ちたてら、どう考えても、川下に流れるはずなのに、ニナルがカンで指さしたのは、川上だったのよ。
常識が無いのかしら?
あぁ、相手はニナルだったわ。
常識が通じない生き物だったのを失念してたわ。




