口論よ
「あんた、婚約者がいるくせに、クイーン・ビーから、本家筋の高飛車女やツウナ程度まで手当たり次第わたしの知り合いに声をかけないでくれる!みんな未成年なんだから警察の事案になるわよ!」
ニナルがギャイギャイ喚いてるわ。
そうか、カオちゃんだけじゃなく、ネーナちゃんとかツウナさんとかや、多分だけどイヨちゃんにまで声をかけたんだ、この手当たり次第男は。
「誰と誰が知り合いだか、判るはずないだろうが!それに、あの弩婆ぁと婚約した覚えはない!婚約したのは愚妹と3の辺の開徳の一人息子だろうが!」
え?
「ちょっと、嵯峨司!ニナルと秋冷大先輩が婚約者同志なの?」
とっちゃん坊やを問い詰めよ!
「ナノ!変質者先生には、私等は見えない聞こえないじゃないのか?」
あたしの詰問を、ルイが冷静に止めてくれたわ。
そうだった!
「はあぁぁ!?誰がチビデブブサイクバカヘンタイと!?チビデブブサイクバカヘンタイは、マイ・スイィート・チャァーミングの屑妹のブッサイク、ナノと婚約し……!」
おい!
とっちゃん坊やの愚妹!誰がブッサイク、ナノだ!
ニナルめ、あたしを名指してブッサイクとか言いやがったわ!
睨み付けてたらニナルと目が合ったわ。
「えぇと……そう見た目の御不自由な妹さんと婚約前提の話が進んでるずよ!」
ニナルが視線を泳がせて言ったわ。
「ほらな。この若い女の子みぃんなのスイィート・チャァーミングである俺、迷冷泥嵯峨司。で、その愚妹の見た目の御不自由なブッサイクなののニナル。そのブッサイクな愚妹とチビデブブサイクバカヘンタイが婚約者なんだろうが」
とっちゃん坊やが、理路整然と言ってる。
あら?
あたしの名前はスルーね?
「さすが、変質者でも教師だな」
イクヨちゃんが感心してるわ。
「そうだな。ただ屑教師が全女性のスイィート・チャァーミングだなんていう、物凄い誤解が挟まれてるがな」
ルイが相槌よ。
いや、もう一点、誤解がないかしら?
これじゃ、あたしの怒り損だわ!
「で、母上様達。どういう展開なのよ?」
ドラウトが言ってる。
「チュチュ、チュチュ、チュ」
鼠色のどぶねずみが啼いてる。
「え!?ニナル(おんなぶさいく)と尾苜秋礼が婚約者!?何でよ?あのお見合いは魔法で無かったことにしたのよね?今やあのブッサイク男はナノちゃんの婚約者候補よね?」
ドラウトがあたしに訊いてきたわ。
いつの間にか空間から、ヌルンと湧いて出てきたわね。
対サギリィ戦の時にも居やしなかったし、さっき呼んだ時にも返事もしなかった輩が、シレッと会話に加わってやがるわ。




