おまけ 不安
この度TSUTAYA×リンダ大賞をいただきまして、書籍化されることになりました!
なので、おまけを追加しました!
お楽しみにいただけたら幸いです!
私、河上命は今不安を抱えている。
ことあるごとに私を甘やかそうとする私の旦那様である河上葵に対して。
「なんか機嫌悪くねぇ?」
「別に」
可愛くない返事をしても、苦笑いを浮かべて私の頭を軽く撫でる葵さん。
そんな行動にイライラしてしまう自分にイライラしてしまう私には勿体無い男である。
「イライラしたときは甘いもん食って元気出せ!」
何時ものように私に美味しいお菓子を用意してくれようとする葵さん。
大好きなのだが、今は甘いものを食べたい気分じゃない。
「葵さん。要らない」
私の言葉に目を見開きフリーズする葵さんに私は苦笑いを浮かべて見せた。
葵さんは慌てたように私に近づくと、私を軽々とお姫様だっこした。
「体調悪いならそう言えよ!!」
葵さんはそのまま私を寝室に連れていった。
「大丈夫か?お腹痛いのか?気持ち悪いのか?頭痛か?」
ベッドにのせられ心配そうに布団をかけられてしまった。
「病気じゃないよ」
「バカ!命が食べ物要らないっていったんだぞ!病気じゃないわけないだろ!」
アイスノン何処にやっただの体温計は何処だだの、慌てている葵さんは何だか可愛らしい。
「葵さん、落ち着いて」
「落ち着いてられるか!病院!病院行くぞ」
うろうろする葵さんの洋服の裾をつかんで私は笑顔を作った。
「本当に大丈夫だから、ちょっとここに座って」
私が起き上がると、しぶしぶベッドに腰掛けた葵さんの首に腕をまわすと軽いキスを落とした。
「何だ。エロい気分だっただけか?」
葵さんは嬉しそうに私を押し倒した。
「っなわけないじゃん」
私は顔を近づけてくる葵さんの顔面に手を置き拒否してみた。
「じゃあ、なんだよ?」
「病院は午前中に行った」
「やっぱ病気か!」
面倒臭いと思いながら私は葵さんの頭にチョップして言った。
「ちょっと黙って」
「……はい」
私は葵さんの手を握ると言った。
「暫くエロい事禁止」
「はぁ?無理」
「無理でも禁止」
「絶って~無理」
私はムッとした顔をして言った。
「私の事愛してるなら禁止」
「愛してるから無理」
葵さんは真剣な顔をして私にキスしようとしてきた。
私は葵さんの顔面を手で押さえて拒否だ。
「突然どうしたんだ!理由を言えよ!」
葵さんは眉間にシワをよせて叫んだ。
「俺の事嫌いになったのか?」
葵さんの声が小さくなっていく。
私は真面目な顔をして葵さんの手をとると私のお腹にのせた。
「葵さんの事は大好きだよ。でも、赤ちゃんの方が大事」
葵さんはキョトンとした顔をした後、ゆっくりと意味を理解したのか目が見開かれていった。
そして、私の横に倒れると強く抱きしめてきた。
「我慢する」
葵さんの泣きそうな声に私は笑ってしまった。
ちょっと力が強すぎて苦しかったが、赤ちゃんを嫌がることなく喜んでくれて良かった。
「幸せすぎて死にそう」
「ダメ!これから馬車馬のように働いてもらわないと困るよ」
「………命が癒してくれるなら、馬車馬にだってなってやる」
私は葵さんに抱きしめられながら幸せを噛みしめるのだった。
どうだったでしょうか?
もう一度読み返したいと思われた方!
書籍化した『幸せって平等ですか?』の方を読んでください!
イラストが素晴らしく今まで以上に幸せな気持ちにしてもらえますよ!
2018年6月21日徳間書店様より発売です!
宜しくお願いいたします!!




