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一人じゃない
長かった海外出張からようやく日本に帰って来た。
無性に家族の声が聞きたくなり、空港のラウンジで約2年ぶりに実家に電話を掛けた。
4回ほど呼び出し音が鳴った後、がちゃりと受話器を取る音がした。
「もしもし、どちら様でしょうか」
こちらが「もしもし」と言い終わらないうちに、その声は私の耳に飛び込んできた。まるで機械のような、無機質な声だった。
「いたずら電話はやめてくれませんか」
私は何も返せず、震える手で電話を切った。
受話器の向こうから聞こえてきたのは、間違いなく私の声だったのだ。
もし今実家に帰ったら、そこにはいったい誰がいるというのだろう。




