ミニチュア大好き令嬢は恋バナが聞きたい
帰り道、花の迷路を歩きながら、わたくしはふと引っかかっていたことをルカに聞いてみる事にした。
「ねえルカ、貴方『好きな人ができたから人間として生きる事にした』って言っていたでしょう。その方は今も元気にされているの?」
「はいいっ!?」
随分と素っ頓狂な声を出すものだ。
「照れなくていいのよ、だって気になるじゃない?貴方の初恋の人ってどんな方なのかしら」
赤くなったり青くなったり忙しい顔を覗き込むと、最終的に不貞腐れた顔がこちらを向く。頬を膨らませても美少女なのだから恐ろしい。半分流れる妖精の血か、それとも彼女……いや彼の人となりが影響しているのか。繋いでいない方の手でつんと突くと、折角向いてくれた顔はぷいと背けられてしまった。
「……強くて、優しい方です」
「素敵じゃない!お城の方?それとも外部からいらした先生とかかしら」
「秘密です」
「あらそうなの?残念ね」
この美少女の心を射止めた人間というのは一体どんな人なのか。もう少し根掘り葉掘り聞いてみたい気はしたが、帰るまでむくれさせたままというのも可哀想なので話題を少し変える事にした。
「ごめんなさいね、羨ましかったのよ。ほら、わたくし最初から婚約者が決まっていたでしょう?男の人って彼か家族かしか知らなかったから、初恋もまだなのよ」
「本当ですかっ!?」
おや、さっきまで不貞腐れていた瞳がやけにきらきらときらめいている。
「ええ。だからちょっと憧れなのよね、誰かを好きになるって。まあ姫妻になった時点で成就は望み薄だけど」
本でしか知らないが、ミニチュアを作る時やアントワーヌ達を愛でる時とはきっと違う心の高鳴りがあるのだろう。気にならないと言えば嘘になる。
「じゃあ僕、カナンの初恋に……」
ルカがそう言ったのと殆ど同じタイミングでわたくし達は魔法陣を通り抜けた。その瞬間、邸に響き渡る大きな声が耳をつんざく。
「リリスの地が姫妻、カナン、ルカに告ぐ。ディミアン王太子の命により、アリサ直属の部下として支える事が決定した。速やかに登城せよ」
お久しぶりです!なんとか完結できるよう頑張ります。よろしければ気長にお付き合いください。




