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扉の向こうは異世界でした〜平日は会社員、土日祝は異世界で冒険者(三年限定)〜  作者: みのり


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22/23

予定外は、旅の一部

 翌日。


 前回と同じ時間に、ララとナタリーを迎えに王城へ向かうと――やっぱりというか、前回と同じく門の前で二人が待っていた。


「お待たせ、二人とも」


 軽く手を上げる。


「じゃあ行こうか。今回も前と同じで、一度ログハウスに転移して、そこからラスターネに向かう」


「分かりましたわ」


 ララが頷き――


「あら……?」


 不意に、奏太と琴音をじっと見る。


 それにつられて、奏太と琴音も「ん?」と首を傾げた。


「ララ?どうかした?」


「あ、いえ……」


 少し迷うようにしてから口を開く。


「気のせいかもしれませんが……ソウタさんとコトネさん、前回お会いした時と、どこか違うような気がして……」


「え?」


 俺も改めて二人を見る。


 ……うん。


 確かに。


 顔は変わってない。でも、なんというか――


「雰囲気、か?」


 言葉にするとしっくりくる。


 なんか、空気が違う。


「俺たち、何も変わってないけど?」


 奏太が首を傾げる。


 琴音も同じ反応だ。


 ……いや、でもこれは。


 小声で二人に近づく。


「たぶん、昨日の件じゃないか?」


「昨日……ああ」


「あー……なるほどね」


 二人とも納得した顔になる。


 こっちに残る決断をしたことで、何かしら変化が出てるのかもしれない。


 魂的な何かとか、そういうやつ。


 詳しくは分からんけど。


「まあ、気のせいじゃないか?」


 とりあえず、ララたちには軽く流す。


「日本の仕事でちょっと疲れてただけかも」


「そう、ですか?」


 ナタリーが少し心配そうに見る。


「ああ、大丈夫」


 笑って返す。


「むしろこっちの生活の方が癒しだし」


「それならよろしいのですが……」


 完全には納得してなさそうだけど、深くは聞いてこなかった。


 助かった。


 ◇


 いつもの場所まで移動し、ログハウスへ転移。


 ひとまず一息ついたところで、前から考えていたことを切り出す。


「あ、そうだ」


 みんなの顔を見る。


「ちょっと提案なんだけどさ。フェンに乗って、俺だけ先にラスターネ近くまで行ってさ、そこに転移して、みんなを呼ぶってのはどう?時間短縮になるし、危険も減ると思うんだけど」


「おお、なるほど」


 奏太が腕を組む。


「確かに合理的だな」


 でも、すぐに苦笑した。


「……たださ」


「ん?」


「せっかくなんだから、色々見てみたいって気持ちもあるんだよなー」


「あー」


 分かる。


 めちゃくちゃ分かる。


 琴音もこくこく頷いている。


「私としては」


 ナタリーが口を開く。


「ララ様を危険に晒さずに済むので、そちらの案を推したいのですが」


 さすが護衛、現実的だ。


「でも」


 ララが少し楽しそうに笑う。


「私もソウタさんと同じで、この目で色々見て回りたいですわ。それに、簡単な護身術くらいはできますし。ナタリー、いざとなれば逃げられますよね?」


「可能ではありますが……」


 ナタリーは少し困った顔をする。


「できればその状況にはなりたくありません」


 ……まあ、そりゃそうだ。


「じゃあ、フェンにも聞いてみるか」


 俺は軽く目を閉じる。


『フェン、ちょっといいか?』


 すぐに返事が返ってきた。


『なんだ』


『これから遠出するんだけど、護衛として来てもらえたりする?』


『構わんが、どこまでだ』


『ラスターネって街。ここからだと徒歩で最短十七日くらい』


 少しの間。


『ふむ。我に乗れば三日。無理をすれば明日の昼には着くな』


 ……相変わらず規格外だな。


 その内容をみんなに伝えると――


「却下!」


 奏太が即答した。


「早すぎる!」


「旅感ゼロになるだろそれ!」


「まあ、分かる」


 俺も苦笑する。


「じゃあ普通に歩きで行くか」


「危なくなったらフェン呼ぶってことで」


 全員一致で決定した。


 ◇


「今日は時間的に、隣の街までだな」


 地図を確認しながら言う。


「着いたら人目のないところでログハウスに戻ろう」


「了解」


「はい」


「分かりましたわ」


 そんな感じで出発。


 森を抜け、街道へ出て、ラスターネ方面へ歩く。


 途中、特に大きなトラブルもなく――


 というか、普通に平和で。


 ちょっと拍子抜けするくらいだった。


 日が傾き始めた頃、人目のない岩陰を見つけてログハウスへ転移。


 翌日は夜明け前に同じ場所へ戻り、再び移動。


 そんな感じで、数日。


「……なんか、順調すぎないか?」


 ふと呟く。


「それ、フラグじゃね?」


 奏太が笑う。


「やめろって」


「言ったら来るやつじゃん、それ」


 ……いやほんとに。


 ◇


 結果。


 フラグは、しっかり回収された。


 日本とこっちを行き来しながら移動を続けて、約二週間。


「明日には国境の街だな」


 そんな距離まで来たところで。


 問題が発生した。


 立ち寄った街で、情報収集のついでに軽く観光していた時のこと。


「え?封鎖?」


 思わず聞き返す。


「はい」


 情報屋らしき男が頷く。


「国境の街で感染症が流行してましてね」


「現在、完全封鎖中です」


「……まじか」


「しかも」


 男は肩をすくめる。


「国境を越えるための手続きは、その街でしかできないんですよ」


「なので、越境して仕事していた冒険者や商人が、今かなり困ってますね」


 周りを見ると、確かにそれっぽい人たちが頭を抱えている。


「うわぁ……」


 奏太が顔をしかめる。


「タイミング悪すぎだろ」


「ほんとに……」


 琴音も同意する。


 ナタリーはすでに状況を整理している顔だ。


 ララは少し不安そうに俺を見る。


「どうなさいますか?」


「……どうするも何も」


 頭を掻く。


「とりあえず、情報集めるしかないな」


 感染症、ね。


 どんな病気かも分からないし。


 下手に突っ込むのも危険だ。


「それにしても」


 空を見上げる。


「何も起こらずスムーズに行きたいって思ってたのにさ」


「見事にイベント発生したな」


「だから言ったじゃん、フラグだって」


 奏太が笑う。


「笑い事じゃねえって」


 とは言いつつ。


 少しだけ口元が緩む。


 ……まあ、これも旅か。


 面倒だけど。


「よし」


 気持ちを切り替える。


「まずは情報収集」


「場合によっては、別ルートも考える」


「了解」


「はい」


「分かりましたわ」


 さて。


 次はどう動くか。


 ――どうやら、今回の旅はもう少しだけ賑やかになりそうだ。

読んでいただきありがとうございます!

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