タイトルに特に意味はない
草木が生い茂る森の中に一人の男と白いワンピースがよく似合う金髪美少女がそこに立っていた。
「す、好きです!付き合ってください!」
顔を赤くしながら言ったその言葉は森の中に響き渡るほど声が大きく、そして震えていた。
ーーその瞬間、突風が吹く。
木々が大きく揺れ、草木とともに美少女の髪もまたなびいていた。
「ごめんなさい・・・」
風の音と、ともに美少女は言葉を残しそして走り去ってしまった。もちろんその言葉は男に聞こえるわけもなく、、、
「まってよぉおおおおお!みちるぅぅぅぅ!!」
ーー次の瞬間
ガタンっ!と大きな物音を立て気が付けば床に倒れこんでいた。
「なんだ・・・夢か・・・」
昨日、数少ない友達たけしから新作PCゲーム「SEVEN‘FACTORY」を借りることができ、夢中になってプレイをしていたら寝落ちしてしまったようだ。
「SEVEN‘FACTORY」は、先週発売されたばかりの美少女ゲームで、なんでも音声認識機能というものがついており、リアルに美少女とワンツーマンで話すことができると評判がよく、もうすでに販売中止されて手に入ることができないのである。
「あぁ・・・可愛かったな・・・」
と余韻に浸りつつ起き上がる。
ーーすると携帯が鳴り出す。
妹の美紀からだ。妹は同じ家に住んでいるが、高校に入って以来部屋に閉じこもってしまいメールでしか会話ができないというほどにまでなってしまっている。
そのメールには、「おはよう」と一言だけ書かれており、どうやらさっきの物音で起こしてしまったようだ。普段、学校に行かない妹はだいたい昼ぐらいに起き始める。
「悪いことしたかな・・・」
学校の帰りに妹の好物であるプリンでも買って帰るか。妹に「おはよう」と返信を返しリビングへと向かった。
すると、テーブルの上に手紙が置いてあった。
ーー拝啓ーー
愛する我が子たちへ
お父さんとお母さんは1週間バリに新婚旅行にいってきま~す。13年ぶりの旅行ちょ~楽しみ!
あっ、冷蔵庫の中に1週間分の食材があるから好きなもの食べてね♡あと美紀のこと頼んだよ~
お土産楽しみにしててね! 母より
と書かれてあった。
「聞いてないぞぉおおお!!てかこの間ヨーロッパ行ったばっかりじゃんかよぉぉ!13年ぶりってなんだよぉぉぉお!!」
と、声を荒げていると再び携帯が鳴りだした。そこには「うるさい」と妹から一言だけ書かれていた。思わずため息が出た。
「はぁ・・・どうすんだよ家事なんてできないぞ・・・」
そう前回の親がヨーロッパに行ったときは、隣人で幼馴染である「入山 カレン」ことカレンにお願いしたのはいいんだが、料理のセンスなどなく結局カップラーメンを食べるはめになったのだ。それに前回は2泊3日だからよかったものの今回は1週間。
「さすがに1週間カップラーメンじゃな・・・・」
そんなことを考えていると時刻はAM8:00。
「やばいっ!もうこんな時間か!」
そんな不安も抱えつつ急いで支度をし、慌てて玄関を出る。
ーー次の瞬間
とんでもない勢いで突き飛ばされ、道路に倒れこむ。
「んっ・・・なにがおきたんだ?」
ぼんやりとした視界の中、うっすら目を開くとそこには隣人であるカレンの姿があった。
「も~、そんな道のど真ん中で~焼き肉の肉をいち早く取る練習でもしてたの?ぷふっ」
そう、この隣人であり幼馴染であるカレンはとんでもないバカであり、そして何かとちょっかいをかけてくる。
いつからこんな風になったかというと、中学校2年生からである。当時、いじめにあっていた俺は学校に行くのがとても苦痛で学校に行かずにゲームセンターに籠っていた。
そんなある日ゲームセンターで、一人の女の子と出会った。どうやらその子も学校に行かず毎日のようにゲームセンターに通っているらしい。
それから毎日のように彼女に会って話をしていた。そして気が付けば恋をしていた。
そんな中、隣人であるカレンは毎朝家に来ては「学校に行こうよ!」と言ってくる。僕は「行きたくない」とだけ言いドアを閉める。
そうして、いつも行っているゲームセンターに向かう。
「今日もあの子いるかな・・」
と胸に期待を膨らまし、ゲームセンターの中に入っていくとUFOキャッチャーに夢中になっている彼女の姿を見つける。しかし、そこには彼女ともう一人楽しげに話している男の姿があった。
話しかけようとしたが、それをやめて近くの自販機でコーヒーを買い、一気に飲み干し自宅へと帰った。
しばらくして、机に座りパソコンの電源を入れる。
「おっ!カニポップさんの実況動画が上がってる!」
いま「TEUTYUBE」で人気上昇中のゲーム実況者である。その実況動画を見ていたら気が付けば夜になっていた。
「明日は、学校に行こう。」
そう決心して、眠りについた・・・・
ーー次の日の朝
毎朝のように来ていたカレンの姿はなかった。
「そりゃ、そうだよな。」
重い足取りで学校へと向かう。教室に入ると、そこに同じ女子生徒と楽しげに話しているカレンが一度こっちを見て何も見てなかったのように話を続ける。
「あきらかに無視されてるよな・・・」
深いため息をつきながら自分の席に座る。そしてつまらない授業を横目に外を眺める。
「カレンに謝らなくちゃな・・・」
ーー放課後
近所ということだけあって帰り道は全く同じ。「ここで言わなくちゃな」と意を決してカレンに話しかける。
「カレンっ!ごめんっ!」
前を歩いていたカレンの足が止まる。そして後ろを振り返り、表情が曇った様子でこう言った。
「なにが!?」
と言い、さっきより早いペースで家に帰ってしまった。
それから同じ高校になり何とか話せるようになったもののこのとおりである。
「いや、そんな大家族じゃないから!」
と軽くツッコミを入れつつ起き上がる。カレンは、笑いながら肩をポンポンと叩いてくる。
「まぁ・・・よかったのかもな・・・」
カレンには聞こえないくらい小さな声でつぶやいた。




