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7番目の勇者  作者: モダろいしヒト
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『黒くて古いようかん』

アッシュは急いでシュックハックの自室へと戻って置いて出て来た小物を回収して部屋を出る準備する。


(マズイ。何がどうマズイのか分からないが、どうやら今晩俺はさっきの連中達にどうにかされるらしい。)


(どうやら、昔に親父が作った『失った足やら目やら』とか『金銭目的』やら何やらかんやらの『借り』を俺に返しに来るらしい。)


(見つかる前に逃げなくては。)


(しかも、ドウズさんもあの連中の仲間だったとは。)


(俺はドウズさんにまんまと連中の所まで連れて来られたという訳か。)


アッシュは頭の中で情報を整理しながら逃げる準備を進める。




準備が整い、部屋のドアを勢いよく開け放つ。

バンッ!!


「おっと!危ねぇ。」

そう言ってドアの前に立っていたのはドウズだった。


「そんな慌ててどこ行くってんだ。」

ドウズが問う。


アッシュは黙ったままドウズの顔を凝視する。

その表情はアッシュには何かを企んでいる様子に見て取れた。

(しまった。ドウズさんに見つかる前に部屋を出るつもりだったが、相手の方が行動が速かった。)



「初めて来た街にどっか用事でも有るのか??」

質問に答えないアッシュの様子を見ていたドウズが再度質問してくる。


当然、この街に初めて来たアッシュに観光や買い物以外に特定の用事など無い。

(わざと『初めて来た街』と言って遠回しに俺に急用が無い事は知っていると圧をかけてきやがった。)


「い、いや、少し観光でもと思って……。」

何も答えないのも怪しいので答えてはみたが、急いで部屋を出る理由としてはパンチが弱い事はアッシュ自身で理解していた。


「そうか。まぁ、街は後で俺が案内してやるから少し俺に付き合わないか?」



アッシュには断る理由が無い。


ドウズや、その仲間達がアッシュに何か良からぬ企みをしている事をアッシュが知っている事をドウズは知らない。


ここで変に断れば仲間を呼ばれて無理矢理どこかへ拉致される可能性も有る。


「わ、分かった。付き合おう。」

(こうなったら、付き合うフリをして途中で逃げる。)

考えた結果、アッシュはドウズに付き合う事にした。


二人は連れ立ってホテルを後にした。


アッシュは周囲を警戒するが、あの酒場で見た連中達はいないようだ。


「ところで、どこ行くんですか?」

アッシュは何となく探りを入れてみる。

会話の内容などどうでも良かった。

会話中に何を企んでいるかのヒントでも掴めればと会話を振ってみた。


「そうだな…………取り敢えずメシでも行くか。」


「そうっスね。で、何食います?」


「そうだな…………、肉料理とかどうだ?旨い肉料理の店知ってんだ。行くか?」



(ドウズさんの言う通りに付いて行ってはダメだ。その店に仲間を待機させているかもしれない。)

「う~ん。俺、今は肉ってゆ~か、魚って気分なんスよねぇ。」


「魚ぁ!?こんな砂漠の街で魚だぁ??この街で魚料理出すとこは少ねぇんだぜ?肉にしようぜ、肉に。」


(やはり、予定の場所に誘導するつもりか。)

「で、でも俺、この街で魚売ってる店見ましたよ?」


「ま、まぁお前が魚が食いてぇってんなら魚でも構わんが……………砂漠で魚料理は高い上に不味くは無いがそんなに旨くも無ぇぜ??」

ドウズはアゴを撫でながら、お勧め出来ないけどなぁという表情を浮かべている。


(ん?嫌そうではあるが、行き先の変更は受け入れるのか??)

(て事は、特定の場所への誘導では無いのか??)

アッシュは思考を巡らす。


「おっしゃ、魚料理だな??んじゃ、まぁ、一番旨い魚料理出す店に行くぜ。」


「あ、……あぁ。」

アッシュはうわの空で返事をする。


(当初のドウズさんの目的地からは行き先を変更した。)

(誰かにつけられてる気配も無い。)

(本当にただ俺と飯を食いたいだけなのか?)

(………だが、何か釈然としない。)

アッシュは頭の中で起こり得る色々なパターンを想像しながら黙ってドウズに付いて歩く。


付いて歩く。


…………付いて歩く。


…………………、黙々とドウズに付いて歩く。



付いて……、歩く????


(あぁっ!!)

アッシュはある事に気付いた。

(『俺の意思で行き先を変更した』とか、『つけられてる気配は無い』とかそもそも全然関係無い!)


(俺がこの街の事を知らない以上、ドウズさんの案内に『付いて歩く』しかない。)


(いくら俺の意思で目的地を変更しようが、ドウズさんが聞き入れたフリだけして別の場所に案内されてたら同じ事じゃないか!!!)


(このままではマズい気がする。隙を見て逃げなければどこかに連れ込まれてさっきのドウズさんの仲間達に『親父の代わり』に『積年の借り』を返されるハメになる。)


アッシュがそんか事を考えていると

『コイツが例の客人だ。後は手筈通りに頼む。』

とドウズが際どいボンデージ姿の女人と短い会話をしていた。


『坊や、準備は良い?』

と右側の女。


『覚悟なさいね。』

と左側の女。


全体的に黒塗りの古い洋館の様な建物。

(ど、どう見ても魚料理の店じゃない。)

(ハメられた。)

咄嗟にドラゴンキラーに手を伸ばすアッシュ、


だが、それより速くドウズがアッシュの武器えものを掴む。

『こんな物騒なモンは置いて行きな。』

とドウズに無理矢理取り上げられる。


と、同時にボンデージ女2人に両手を引っ張られ怪しい建物に引きずり込まれる。


『うわああああぁぁぁぁ!!』

ギギィィ、バタン。

両開きの扉が閉ざされる瞬間、アッシュは叫びながらドウズに目をやったが、ドウズは薄い笑みを浮かべるだけだった。

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