31/49
宿賃
「犬と人間の組み合わせか…ま、金さえ払ってもらえりゃ、文句はねえ」
受付の大男も、明らかに何人も殺してきたという風体だ。
他の人らは、こちらを気にしつつも、何もしなければ何もしてこないだろう。
まるで蜂のような人らだ。
「金はある。1晩止めてもらうぞ」
犬がそう言って、俺の背中のカバンを降ろさせる。
そして、チャックを開くと、なぜか紐でくくってある江戸時代の頃のお金が出てきた。
「いくらだ」
「え、あ、ああ。150文てとこだな」
男は、俺らにそういった。