前へ目次 次へ PR 30/49 宿2 ただ、ここでも人が完全に通らないというわけはなく、1軒だけ営業をしている宿を見つけた。 「やれやれ、これでどうにか夜露はしのげそうだ」 犬が言うが、俺は金勘定を気にしていた。 「なあ、金はあるのか」 「あるとも。気にするでない」 犬が自信ありげに、鼻を鳴らしながら言うが、本当にあるか心配だ。 だが、そんな心配を考える余裕は、宿に一歩足を踏み入れた途端に消えうせた。 「…らっしゃい」 人相書きが出回っていそうな顔つきの男連中が、ごろごろロビーのところにいた。