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旧道
道はずっと続いていたが、そこを通る人は少なかった。
「あの川で道が分かれてから、一気に人通りが寂しくなったな」
俺が聞く。
「こっちは旧道だからだろうな。だから、山賊も出にくい。みんな来ないからな」
「でも、誰も通らねえってのはおかしいだろ」
誰も、と言うわけではない。
商人隊が4人ほど、1回だけすれ違っただけだ。
「ともかく、歩き続けるぞ。先に進まないとな。今日中には、とある猟師のところに行かねばならない」
「誰だよ」
俺は犬に言った。
「知り合いだな。ただ、もういないかもしれんが」
その言葉で、俺は心配になった。