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社畜のパッチ生活 ―管理者権限で平和を守ります(※ただし自分の)  作者: 真坂野琉実


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19/53

019:社畜、対峙する

世界が改変できたら普通はどうします?

チートで無双? ハーレム生活? 大金無双!

ここにいるのは監査員に立ち向かう社畜

今日もまた佐藤匠海による、自身の心の絶対的平穏を勝ち取るための戦いが始まる


さすがにレベルアップの歌のダメージはデカかった。

さっさとマクロを無効化してそそくさとその場を立ち去ることになった。

あんなことが会社や繁華街で起こったらやばい。

そもそも雀が歌うこと自体が想定外だ。

山南の名を語るあいつが言ってたシミュレーターっていうのもあながち嘘じゃないってことか。

……さっさと廃止させよう。優先度は超特大だ。

そういえばレベルが上がって機能が解放されてたな。

お気に入り機能だっけ?正直この機能は使える要素が見当たらない。何しろ範囲内のものしか認識できないのに登録してもなぁ……。

そんな事を考えつつ俺の週末は終わりを迎えた。

◇

翌日9時。

ISO監査が始まる。

会議室に入ってきたのは本社の監査ヘルパー2人とISO外部機関の監査員3名

迎え撃つのは上司と俺の2人。

数としては圧倒的に不利だな……多数決では負ける。

監査員は席につくなり切り出した。

「私はJQCの磯西と申します。こちらは曽根と山西です。本日はよろしくお願いいたします。」

俺は軽く頭を下げた。

「小山さんはご存知だと思いますが、そちらの佐藤さんは初対面ですよね。本社の緒川と申します。」

「同じく本社の峯本です。よろしくお願いします。」

一通りの挨拶が終わったあと、監査が始まった。

「まずは私から始めさせていただきますね。前回の指摘事項の確認です。」

磯西さんが切り出す。

その言葉に待ってましたとばかりに小山が答える。

「その点につきましては、指摘いただきました部分を改善いたしました。説明は担当者の佐藤からいたします。」

こいつ朝も始業ギリギリに来ていて全く俺がやったこととか見ていないのに良く言えたものだ。これで俺が修正をやってなかったらどうするつもりなんだろうな。

そうは思いつつも、用意していた報告書を提示する。

「こちらが前回要改善とされました報告書です。様式が要領と違っておりましたので、最新様式で作成するよう改善を図っております。」

この辺りは監査員も承知してるだろう。前年度要改善は改善されてないとマズい。

「では、その改善策をお聞かせください。」

監査員は続けて聞いてくる。

この辺りの質問は予測済みだ。山南が書いていたからな。

「昨年度の要改善指摘を受けまして、部署内での再周知及び教育を実施しました。こちらがその受講履歴と報告書となります。」

俺は受講履歴と報告書を共有画面に映した。

「あ、なるほど。ちゃんとエビデンスがあるわけですね。ちなみにそちらを提出いただいてもよろしいですか?」

「はい。構いません。どちらに提出すればよろしいですか?私、監査は初でして。」

俺の言葉に山西さんが微笑みながら言った。

「電子データでしたら、今フォルダのリンクをチャットに送りますので、そちらにお願いします。」

山西さんが話し終わる前にチャットにフォルダリンクが表示された。さすがにこんな手合いにも慣れてるな。

俺は指定フォルダに受講履歴と報告書を提出する。

そんな作業中に上司の小山がいらんことを言う。

「私が指示しましたので完璧ですよ。どうぞご覧下さい。」

……お前は黙ってろ。

磯西さんはそんな言葉は意に介さず続ける。

「では、昨年度のリコメンドに関してはこのくらいにして、監査の方に移りますね。」

「分かりました。よろしくお願いします。」

「では本年度の重点調査項目である、ソースコードの変更ログとテスト仕様書についてです。その書類を見せていただけますか?全部でなくていいですよ。一部で構いません。」

これも山南のアーカイブに入っていた内容だ。

山南が綺麗に揃えてくれていたおかげで淡々と画面共有することが出来た。

……山南に足を向けて寝れないな。

◇

「曽根さん、山西さん、何か聞いておくことはありませんか?」

磯西さんが聞く。

「ありません。」

「大丈夫です。」

その言葉に満足したのか、磯西さんはISO監査の終了を告げたのだった。

「それでは監査を終了いたします。お疲れさまでした。」

俺は監査を何とか切り抜けたのだった。

ただ……気になるのは本社の連中が一切口を開かなかったことと、それを監査員が当然であるかのようにしていたことだ。

何箇所か答えに困ったところはあったのにな。

監査員が席を立ったところで、沈黙していた本社の緒川さんが口を開く。

「あ、佐藤さんお疲れさまでした。監査は終了しましたので、一旦休憩を挟みます。10分後に再度こちらに集合いただけますか。業務負荷の件で確認したいことがありまして。」

ちらっと横を見ると小山の機嫌が悪くなっているのがハッキリと分かった。

……これはきっと山南の話だな。

ISO監査も本社監査も経験ありますが、あれは監査員によりますね。

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