第6話 逃げてきたブタ
「ハア、ハア」一匹のブタが走っていた。馬にまたがった２体のガイコツ騎士に追われていた。
「ブヒー、ブヒーもう疲れた。限界だブー」ブタなのにしゃべれるのだ。ブタは疲れてころんだ。
「いたい。ブヒー」ガイコツの騎士達は馬から降りて、剣を構えた。
鳥のアーリーは頭上から見ていた。ブタはちょこまか逃げていた。
アーリーは西の魔女の城に向かった。
「パリント」魔女は呪文を唱え続けた。「今夜はここまでにするかね」
もう夜更けだった。「そうだな」コングが言った。
その時、アーリーが窓をコツコツと叩いた。
「なんだね。アーリーか。結界に自由には入れるからね」魔女が窓を開けた。
アーリーはバサバサと羽を揺らしながら、
「向こうにブタが死霊のガイコツの騎士にやられようとしている」
「何だい？ブタが？」魔女は千里眼の魔法であたりを覗いた。
魔女の頭の中に光景がうかんでくる。
(ブタが逃げまどい、ガイコツの騎士が２人がかりで切りつけようとしている)
魔女はしばらく考えて、「やれやれ、今夜は寝られないよ」そう言うと、
座りこんで両腕から青白い光りをはなち、ぶつぶつと呪文を唱えた。
ブタはもうクタクタで大きな木の前でハアハアと息をきらしていた。
死霊のガイコツ騎士は２人、ブタの前にたちはだかった。
ガイコツ騎士が剣を振りかざした。すると、木の前に突然大蛇が現れた。魔女が出したヘビだ。
ガイコツ騎士は突然の事にびっくりし、のけぞった。
「ブヒー。ヘビだぁ」ブタもびっくりした。
ヘビはガイコツの騎士をぐるりと巻きつけて、力強く締め付けた。
ガイコツの騎士が叫んだ。ヘビはさらに締め付けて、ガイコツの体はぐちゃぐちゃに崩れた。
もうひとりのガイコツ騎士は恐れて、馬に乗って逃走した。
ヘビはしばらくじっとしていたが、その後消えた。
「ブヒー。た、たすかったぁ」ブタは安堵した。魔女の声がした。
「西の川沿いにある城に来なさい」
ブタは言う通り、西のお城を目指した。
ちいは夕食を終えて、そそくさと自分の部屋に戻った。
ミンクーはかなり弱っていた。空気の悪さと、
ミンクーのいた世界では紫色の植物の花粉を食べていたので、
こっちの世界では食べ物がないのだ。ちいはミンクーとベッドに入った。
そして、ミンクーの世界に戻ること事ができた。
