お茶会1
あっという間にお茶会の日がやってきた。
「いい天気ねーー!このまま森に行ってピクニックしたいわ!ね、ジェシー?だめ?」
「お嬢様……いい加減覚悟なさってください。今日はクローム皇子殿下のお茶会ですよ?」
「はあーー森に遊びに行きたい」
「元気を出してくださいお嬢様!ほら、新作のドレスとっってもお似合いです!普段森で遊んでいるご令嬢には見えません!」
「あ、ありがとう、ジェシー。うん、一言余計だけど、このドレスは結構気に入ったわ」
殿下のパーティで着たドレスの型を少しリメイクしてもらい、裾に向かってドレープラインを入れてもらった。春の訪れを思わせるような淡いブルーの新作ドレスだ。
小ぶりな淡水パールがところどころにちりばめられたプリンセスネックレスで首元を飾り、髪はひとまとめに結い上げてすっきりとした印象に仕上げている。
特にドレスが思いのほかいい仕上がりだったので、憂鬱な気持ちが少し和らいだソフィーは、気持ちを切り替えて王宮へ向かった。
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「なんて素敵な庭園なの……!王宮にこんなところがあったなんて」
王宮の中へ案内され、馬車で5分ほど行ったところに会場の庭園があった。
クローム皇子を待つ間、馬車の中の小さな窓からその庭園を眺めていた。
きっと毎日庭師が丁寧に手入れしているのだろう。美しく整えられた草木や咲き誇る花々が、招かれた客たちの目を喜ばせていた。
「ソフィーお嬢様、殿下が到着されたようです。今扉をお開けします」
「あら、もういらっしゃったの。しばらくこの風景を眺めていたかったのに」
ソフィーの返事はお構いなしに馬車の扉が開かれ、しぶしぶ降りるとすぐ目の前にクローム皇子がいた。
彼は見たことのない黒い軍服を身に纏っていた。
縦に入った銀色の刺繍が美しく、まだ成長途中だが無駄なく鍛えられた体つきや、スラリと長い手足。青年騎士のような装いのクロームは、昔絵本で見たお姫様のナイトを思い出させた。
今はクロームを怖いし苦手だと思うソフィーでさえ、この美青年を前に無意識に自分の頬が赤くなるのがわかった。
(なぜこんなに私好みの恰好をしてるのよ!)
精神的には18を既に越えているソフィーとしては、15歳とは思えないクロームの精悍な青年騎士姿に、心の中で見悶えるしかなかった。




