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人の恋路を邪魔しちゃいけません。  作者: 七賀ごふん
生徒会長の苦心(決心)

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95/99

#5



「ゆ、夕夏。それは冗談ではなく?」

智紀は困惑気味に聞き返してきた。

「俺は、本気。でも迷惑ならいいよ」

もし頷いたら、潔く引き下がろう。そう思ったけど、一瞬のうちに床に押し倒される。衝撃でテーブルに腕をぶつけたけど、コップが倒れなくて良かった。……なんて呑気なことを考えた。


「あ……」


見上げる先には智紀がいる。今は“こっち”に集中しないと食われそうだ。

ずっと待ち侘びていたシチュエーション。胸の高まりがすごいけど、心臓が痛くて苦しかった。


嬉しい。だけど怖い。

触りたいけど、触ってほしくない。相反する感情が全身の動きを奪う。


誘ったのはこっちなのに、意気地無しにもほどがある。

やっぱり「嫌」って言ったらどうなる? もし、彼が強引に迫ってきたとして。恋人相手に、誰かに助けを求めるのか?

こんな時にこんなことを考えてる。俺は、最低だ。智紀が大好きなのに、信じたいのに、……そんな自分も信じられない。

「夕夏。俺ちょっと考えたんだ」

「え」

意識が暗い谷底に落ちかけた時、智紀の明るい声で呼び戻された。何回かまばたきすると、やっぱり彼は笑ってる。


「俺に触られるの、怖いだろ。だからお前が俺に触ってよ。好きな風にしていいからさ」

「智紀……」


落ちた影に手を伸ばす。重なる温もりにもう片方の手を回し、彼を抱き締めた。

本当にあたたかい。

おかしなことに、もう恐怖はなかった。どんな場所より彼の腕の中が安心する。涙が出るほど。

「お前は……優し過ぎ。いや、俺に甘過ぎ」

「はっは、そりゃしょうがない。お前が一番可愛いもん」

こんなにも無愛想で、陰険な自分のどこが可愛いと思うのか。彼の脳内環境は本当に謎だけど、このおかげで俺は満たされてる。


「智紀は抱くのと抱かれるの、どっちがいい」

「んんん!?」

「俺はどっちでもいい。お前と繋がれんなら、どっちでも」


笑って言うと、彼はかなり迷った様子で顔を逸らした。目を伏せて少し唸ったあと、照れながら俺の方を向いて。


「……やっぱり、お前を抱きたい」

「うん。いいよ」


手を繋ぐ。今度は素直に答えた。

嬉しいって素直に思えた。彼と同じ気持ちを共有できること、触れられること全て。


やっぱり怖くなんかない。彼以上に可愛い恋人なんて、きっと世界中を捜しても俺には見つけられないから。




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