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人の恋路を邪魔しちゃいけません。  作者: 七賀ごふん
転校生の快美

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82/99

#7



智紀が笑う……とその瞬間、景色が鮮やかな色に染まる。

心が弾む。

何気ない会話も特別な約束に変わる。一字一句聞き逃したくなくて、夕夏は全神経を研ぎ澄ました。


「ありがとう、智紀」


びっくりだ。こんな学校一刻も早く卒業したかったのに、今は一日でも長くここに留まっていたい。

同じ時間を過ごして同じ体験をしたい。こんなこと、彼でなければ決して思わなかった。

やっぱり、智紀はすごい。彼は特別だ。

「すぐは無理かもしれないけど、絶対変わってみせるよ。これからは暴力も暴言も控える。いや、完全にやめる。それから人の話を聞く」

「夕夏……! そりゃ素晴らしい心掛け! 嬉しいよ。俺、素直なお前がほんっっと大好きだから!」

智紀は感動したと言わんばかりに、夕夏の両手を手に取った。

「素直がそんなにいいの?」

「もちろん、いいことしかないよ! 俺は素直な人が大好き!!」

「そう。……分かった」

繋がっていた手が離れる。夕夏は切れ長の眼をさらに細めたが、智紀は喜びの方が勝ってそれに気付かなかった。


「そういえば夕夏、生徒会の副会長さんは何て言ってた? やっぱり、俺達が付き合ってること知って……怒ってる?」

「いや。俺が本当に好きになった相手なら、応援するって言ってたよ」

「マジで? 何だよ、いい人じゃん。俺も友達になりたいな」

「ならなくていいよ。お前には俺がいるだろ?」

「え……っ? うん、確かにそうだけど……それ今言う台詞……?」


智紀は夕夏の笑顔に気付いて狼狽える。

これは困った習性で、未だに彼の笑顔を見ると条件反射的に身構えてしまうのだ。……何かよからぬ事を企んでいる気がして。

でも、それはきっと転校初日から根付いてしまった偏見だろう。なるべく考えないようにして、智紀はコーラを飲んだ。


すでに季節は十月。文化祭が終わればあっという間に受験のことで忙しくなる。彼と学校生活を楽しめる時間はあとわずかだ。

ならできるだけ彼を笑わせてやりたい。限られた時間で、思い出を作りたかった。

「じゃあ教室戻ろうぜ、智紀」

「あ、あぁ」

以前より声も表情も明るくなった夕夏の後を追う。

でも……思えば、そうだ。……この日からだった。

“素直”が良いと言っただけ。

しかしこれが、良くも悪くも夕夏が変わるキッカケになったんだ。




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