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人の恋路を邪魔しちゃいけません。  作者: 七賀ごふん
生徒会長の告白(素顔)

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73/99

#13



「夕夏、どうした?」

「今日はごめん。わかめ……あれ、寿司だっけ。それ食いに行く約束も断っちゃったし」

「あぁ、いいんだよ。どうしてもわかめ……いや、寿司が食べたいわけじゃなかったから」


わかめの話をしたら、また昨日の夢のことを思い出してしまった。

夕夏に別れようと告げられた、あの夢は……今日みたいなことが起きるかも、という不安が現れていたのかもしれない。

でも今回のことで、夕夏はようやくカップル潰しをやめてくれた。きっかけは何にせよ、悩み事がひとつ解消されたから結果オーライだ。


そう思ったら嬉しくて、懲りずに夕夏を個室に引き入れた。鍵を閉めて、彼の唇を強く塞ぐ。意地悪だけど、抵抗できないように両腕を押さえた。……今の夕夏なら、きっと大人しくするって分かってるのに。


「ん、ん……っ」


温もりだけ求めて、ひとつになろうとしてる。キスの仕方なんて誰かに教わったことはない。ネットで真面目に調べたこともない。何が正解かなんて分からないまま、お互いの頬に手を添えた。

いやらしい糸を引いても、息ができなくても、やめることはできない。

「夕夏……っ」

もっと彼を感じたい。近くにいたくて、彼の腰に手を回す。だけどその瞬間、夕夏の顔色が変わる。俺の手から逃げるようにして、後ろの壁に後ずさった。


「……!」


手を振り払われるよりも、全力で避けられたことの方がショックを受けた。たった今まで抱き合っていたのに、ものすごい距離が空いてしまったような感覚に陥る。

俯いてるせいか、夕夏の顔は暗い。

「あ……ご、ごめん。別に変なつもりじゃなくて」

本当に、なにかする気で触ったんじゃない。

でも勘違いさせてしまうような手つきだったのかもしれない。

やっぱり急ぐべきじゃなかった……夕夏はまだ触られることに恐怖を感じるみたいだ。分かってたのに、配慮が足りなかったか。


「夕夏。大丈夫?」

「あぁ。ていうか、むしろ俺の方が謝んなきゃだよ。恋人ならこういうことすんのが普通なのに、……未だにビビってる」


彼は背中を丸めて、力なく屈む。

いつもの不敵な態度が嘘みたいだ。こういうときの夕夏は、本当に弱々しく見える。

しょうがないか……。


繊細なのは当たり前だ。触られることにトラウマがある彼は、キスひとつとったって大きな試練なんだ。




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