#3
「須賀、これからよろしこ!」
「須賀君って身長高いね。こっちでもサッカー部入るの?」
「良かったら校内案内しようか?」
長い長い午前の授業が終わり、ようやく昼休み。ひと息つけると安堵した矢先、クラスメイトに机を囲まれてしまった。一向に鳴り止まない須賀コールにちょっと疲れてきていた。
話し掛けてくれるのは嬉しいけど、早く落ち着くことを祈ろう。何故かみんな目がキラキラしてるんだ。
それと、ここはどうも真面目なタイプが多い印象だった。第一まで襟のボタンをしめてる子もいる。俺は至って普通の格好だけど、気崩してる方に入る気がした。
「皆ごめん、ちょっと売店行ってくるよ。弁当持ってきてないから……!」
しかし、逃げねば。今逃げないと昼飯にありつけない。
両手を合わせながら、何とかドアの方へ向かった。
「ん?」
そこで、廊下側の席に見覚えのある生徒がいることに気付いた。思わず見つめてしまったせいで、向こうもこちらに気付き、軽く頭を下げる。
朝、転びそうになった時に支えてくれた少年だ。
同じクラスだと分かり、自分でも不思議なぐらい嬉しくなった。
「あっ、そうだ! 須賀君のこと売店まで案内してやんなよー、七瀬。お前も買いに行くんだろ?」
「……あぁ」
後ろにいた男子生徒が、彼に向かって声を掛ける。七瀬と呼ばれた少年は、状況を理解したのかすぐに立ち上がった。
「売店の場所分からないもんね。案内するから一緒に行こう」
「あ……ありがとう!」
同じ男でも見惚れる、整った笑顔。感じも良いし、宥めるような声音も優しい。
でも何故か違和感を覚えた。本当に、かなり失礼なことなんだけど。
この笑顔……何だかものすごい作ってる気がする。




