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人の恋路を邪魔しちゃいけません。  作者: 七賀ごふん
転校生の初日

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4/99

#4



「須賀君だっけ? 俺は七瀬。よろしくね」

「よろしく。あぁ、智紀でいいよ」


七瀬は、とにかくできた奴だった。

落ち着いた雰囲気で、相手に合わせて話し方を変えてるのだと感じた。

さらに聞けば、生徒会長もやってるとか。才色兼備な優等生は実在するらしい。そこにひたすら感激した。


「智紀、昼焼きそばパンだけで良かったの? 俺の唐揚げ半分いる?」

「サンキュー。でも大丈夫だよ、今日はあんま腹減ってないんだ。全然動いてないし!」


売店で互いに昼ごはんを買った後、まだ見慣れない廊下を歩いた。

どこもかしこも目新しくて、思わずキョロキョロしてしまう。そんな俺が面白いのか、七瀬も笑っていた。


「そうだ、智紀って彼女いるの? 前は共学だったんでしょ」

「共学だけど、いないよ。前は部活に専念しててさ。告白されても断ってたんだ。引退するまではって思って」

そして、引退を目前に男子校に移ることとなった。俺の短い青春はほぼほぼ幕を閉じたと言っていい。

「そっか……。それじゃウチに来たのは残念だったね。でも出会いは学校だけじゃないから」

彼は袋からコーヒー牛乳を出して俺に手渡した。


「元気出して。智紀なら絶対、可愛い彼女つくれるよ」


……!


メンタルが弱っていた俺にとって、そのときの彼は天使に見えた。


「……ありがと、七瀬」


優しい奴だな。俺が思ってるより、多分ずっと優しい。第一印象で色々思って、改めて申し訳ない。


でもさっき少しだけ、悲しそうな顔したような。気のせいかな。


「……あ、そういえばさ! ここ男子校じゃん? やっぱあれ多いの?」

「あれ?」

「ほら。言いづらいけど、ゲイ、みたいな」

「あぁ。……まぁ」

七瀬はそこで初めて顔に影を落とし、俯いた。彼の反応から察するに、ああいう光景は珍しくないみたいだ。

「やっぱり? 実は俺、今朝変なこと話してる奴ら見つけて軽くビビったんだ」

笑いながら言うと、彼はさっきとはまるで違う、鋭い目付きに変わった。


「へぇ。その見た人達、誰だかわかる?」

「えっ」


何だ?

何か、ちょっと危ない目をしてる。急にどうしたんだろう。

「いや、誰なのかは全然。まだお前以外知ってる奴いないもん。でも三年生の上履きだったな。康太……君がどうこう言ってたっけ」

「OK、ありがとう。俺ちょっと用事できたからさ、先に教室に戻ってて。道覚えてるよね?」

「えっ。あ、うん」

「うん、じゃあまたね?」


突拍子もなく、彼は爽やかな笑顔でどこかへ行ってしまった。あれれ。


やっぱ、ちょっと変わった子だなぁ……。




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