↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢を保護したら……  作者: こうじ
PR
1/17

お疲れ様会

懲りずに新作です。ほのぼのとした恋愛物です。

「みんな集まってるな」


「今日のこの日をどれだけ楽しみにしていたか……」


「上位貴族にこき使われ、令嬢からは全く相手にされなかった悲しき学院生活……」


「言うなよ、悲しくなってくる……」


「でも、そんな日々とも今日でお別れだっ!」


「過酷な学院生活を生き抜いた俺達に乾杯っ!」


「「「乾杯っ!!」」」


 ここは貴族学院の寮の1室、これから同士数人と『お疲れさま会』と言う飲み会を行う。


 自腹で購入したジュースとツマミを食べながら不平不満愚痴を吐き出すのだ。


 ここにいる面々は貧乏男爵家の令息で婚約者もいない実に寂しい学生生活を過ごしてきた者達だ。


 かくいう僕レイド・ローマニアも貧乏男爵家の長男坊だ。


 何せ家もボロボロ、メイドや使用人なんて雇う金も無し、節制節約がモットーの我が家である。


 貴族学院だって高い学費払ってまで入学した目的は『偉い貴族との繋がりを持って援助をしてもらう、おまけの婚約者探し』と言う下心みえみえの動機だ。


 しかし、そんな下心はすぐに打ち砕かれた。


 何の得にもならない男爵家なんて相手にもされない。


 当然、貴族令嬢も侯爵、伯爵、よくて公爵の相手をして僕等はアウトオブ眼中。


 結果、同じ境遇の友人が出来てクラスの隅っこで大人しく過ごす日々。


 傷を舐め合いながらの3年間はパッとしない悶々とした日々だった。


 今日だって卒業式でこの後、卒業記念パーティーがあるんだけど参加するには高い参加費を支払わなければならない。


 そんな高い金なんて払えないので自主的にみんなで集まってこうして飲み会をする事になった。


「こうして馬鹿騒ぎ出来るのも学生だけだからな、社会に出たらお互い忙しくなるしなぁ」


「家をどうやって維持するか、領地の事で手一杯になるからな」


「レイドの所はコレが終わったらすぐに出発するんだろ、大変だよな辺境にあるのは」


「仕方がないよ、家に帰ったら畑を耕す日々だよ」


「農民と変わらないな」


「領民の相談も受けなきゃいけないから忙しいよ」


「似たようなもんだよなぁ、俺達も。帰ったら即継がなきゃいけないからな」


「卒業しても頭を下げなきゃいけない毎日か……」


 ハァ~とため息を出す。


「そういえば知ってるか、王太子と例の男爵令嬢の噂」


「知ってる、平民上がりだけど魔力が高いからハモンスキー男爵家の養女になったカトレア嬢だろ?」


「あぁ、今夜の卒業記念パーティーで王太子が婚約者のレイラ様に婚約破棄を宣言するつもりらしい」


「マジでっ!? 上手くいくのかね?」


「どうだろうな、いくら王太子でも簡単に婚約破棄できないだろ」


「まぁカトレア嬢は明るくて可愛いからな、ちょっと頭が悪いけど、レイラ様は幼い頃から王妃教育を受けて完璧だろ、非の打ち所もないし、王太子様はやっぱ頼られたいんだろうし」


「どうかなぁ? カトレア嬢はどうも好きじゃないんだよなぁ」


「お、レイドはレイラ様派か?」


「いや、そうじゃないんだけど出会いがさ上位貴族しか立ち入る事が出来ない庭園に迷って入って王太子様が助けた、て言うじゃないの?」


「女子からしたらロマンティックらしいぞ」


「でもさ、あそこって注意書きの看板がデカデカと貼ってあるよね? 誰でもわかるぐらいに」


「そういえば……」


「いくら平民出でもわかるでしょ? それなのに入ったと言う事は……」


 一瞬沈黙して出た僕達の答えは……。


「「「女って怖いな」」」


 だった。



 そんな下世話な話に盛り上がったお疲れ様会も無事終了。


 何かあったらまた会おう!と連絡先を交換して解散し僕は荷物を纏めて寮を出た。


 多分華やかな世界とはこれでお別れだと思う。


 これからは汗水流して泥にまみれながらの毎日が始まるかと思うと……、ちょっと楽しみにしている僕はねっからの田舎者なんだろう。


 そんな事を考えながら馬車駅に向かって歩いて橋を渡ろうとした時だった。


 ふと川を見ると何やら大きな物が流れてくるのを見た。


「あれ、もしかして……人じゃないかっ!?」


 僕は慌てて川岸に降りて落ちていた木の棒でその物を手繰り寄せた。


「あの、大丈夫ですか……」


 顔を見た瞬間、固まった。


 その人物はさっきの話に出てきたレイラ嬢その人だったからだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。