Ⅴ-ⅱ 花嫁のオムライス
婚約が成立してその日の舞踏会は、結婚の正式な発表というよりは、長く続いた婿取り合戦のしめという意味合いが強く、盛大と言えば盛大なのだが、仮面を装着していることもあり、どこか砕けた雰囲気が強く、結婚の前々祝いパーティーとも言えた。
魔法具冷蔵庫と冷凍庫のお陰と、気転の利く城仕えの料理人たちと経験豊富な行事部の人間のお陰で、突然の婚約に伴う突発的な舞踏会にも関わらず盛大な料理と行き届いた配慮がなされており、改めて主催者であるシーナの器量が確認された。
真っ赤な仮面に金色の炎をたぎらせた少女は、透通りそうなほど薄い青に銀の氷華を咲かせた男を見つけると、近寄り声をかけた。
「今晩は、ベルベロさん――。」
「クローゼアさん!今朝の今で、体は大丈夫?」
心配そうに、仮面の奥の目が細まる。クローゼアは元気よく頷いた。
「はい、ベルベロさんの的確な応急処置とお医者様の治療のお陰で、朝来た魔導師は皮膚の色直すだけで済みました。」
指先から爪先まで、顔を除く全身ひどい火傷だったのが嘘のように綺麗な肌理細やかな肌になっている。「そうだ!」思い出したように、笑顔になる。
「聞かれる前に言っときますけど、父のことは気にしないでください。別に死刑になるわけでもなし、昔から魔法至上主義のとこあったんで、今回のことはいい薬になったと思うんです。」
「……強いなあ、クローゼアさん。」
にっこりと、ベルベロに言われる。……クローゼアの頬が心なしか赤く染まり、仮面の下に笑顔が咲く。
「ありがとうございます!……でも本当は、私、父がいなくなってほっとしてるから、強いわけじゃないんです。」
少しだけ、仮面の奥の瞳が遠くを見つめる。
「……魔法の初期修行でいきなり水の上に炎を出して、父は大喜びでした。すぐに父の周りの人間は、私のことを炎の少女、って呼んで、もてはやしました。でも今は、初期修行からもうすぐ十年経つのに、魔導師の資格も取れない。……前に私に関する噂を耳にしてる、って言ってましたよね?最近の噂も聞いてたんじゃないんですか?炎の少女は、所詮少女、魔導師ではない、って――。」
「んー……実は。」
困ったように微笑んで、ベルベロは認めた。クローゼアは頷き、にっこり笑った。
「一時期、魔術学校通うのやめようかとも考えてたんです。周りの友人が少しずつ魔導師として認められて、学校に来なくなって……。まあまだ大半の子は、一緒に学校通ってますけどね。十年で認定されない人も大勢いますから。――最初の期待が大きかっただけに、自分はこれじゃ駄目なんじゃないか、って考えちゃったんです。周りよりも優れていなくちゃいけない、って――。」
そこで照れたように、笑う。
「正直思いあがってました。――だけどそんな時ベルベロさんの造った氷の華、見たんです。ほぼ毎年、噴水広場にお造りになってるんですよね?」
ぱっと、ベルベロの顔が輝く。
「冬の楽しみなんだー。」
そう話すベルベロは、本当に楽しそうである。クローゼアの顔にも、つられて笑顔が咲いた。
「初めて見た時、すごい、って圧倒されました。……それで氷の魔法が得意な魔導師さんが造ってるって聞いて、本当に氷が好きな人なんだなって思って……。私も、炎が好きで好きで仕方がない、ってこと、思いだしたんです。」
そこで思い出したかのように、苦笑する。
「おかげで昨夜はえらい目に遭いましたけど……まあプロテスの馬鹿一人救えたわけですから、よかったのかもしれません。私じゃなければ、絶対焼け死んでましたから。」
何度も何度も、繰り返し炎の燃え盛る様を見て来たのだ。それと同じ数だけ、炎が消えてゆく様だって見てきた。その経験がなければあの熱と痛みの中、明確なイメージを紡ぎ出すことはできなかったに違いない。
クローゼアは、何を思い出したのかくすくす笑った。
「発見してくれたのがベルベロさんじゃなかったら、それはそれで死んでましたね、私。氷の応急処置なかったら、正直治療も間に合わなかったって聞きました。」
「その前にブレッドさんが発見して救出したんだけどねー。道院の人たちあそこで死体なんて見つかっちゃったら全部罪被せられる、って混乱のあまり、止め刺してどっか埋めるつもりだったみたいだよー。」
さらっと、怖いことを言う。クローゼアは初めて知る事実に驚き、すぐに笑った。
「ブレッドさんにもお礼言わないといけませんね。今日いらしてるかご存じですか?」
「今日は来てないみたいだよー。昨日の後片付け治安隊の人とやってるみたい。」
「え!?ブレッドさんってカイの護衛なんですよね?」
ベルベロは「んー」と首を振った。
「レントさんが雇ったわけじゃなくて、女王陛下の命令で動いてたんじゃないかなー?多分僕たちみたいな傭兵じゃなくて、れっきとした近衛かなんかだと思うよ。」
クローゼアは納得したように頷いた。
「そういえば、カイの家お伺いした時、官登用試験薦められました。」
「今の女王陛下は優秀な人材集めるのに熱心らしいからねえ。それで、どうするの?」
はたと、向けられた質問に、「あはは」とクローゼアは笑った。
「父がいないならいないで、役人になっちゃうと色々面倒ですから。それにさっきも言った通り、私、炎が好きなんです。だから魔導師になれなくても、炎の魔法を極めます。」
言いきった少女に、ベルベロは頷いた。そして顔を輝かせた。
「そーだ、いいものあげる。」
ローブの裏を探り、何かを手に乗せクローゼアに差し出した。クローゼアが受け取ると、ひんやりと冷たい紅い宝石が煌めいていた。
「――あの時の屑石、ですか?」
光に透かして、ルビーを眺める。――屑石と呼ばれようとも、その光は衰えない。
「プロテスが君に化けてた時油断させようと渡してきたものだから、ホントは証拠品として提出しないといけないんだけど……どの道記憶読み取れないし、それなら新しく人生始める人の方が相応しいかな、って。」
クローゼアは、紅い光放つそれを握り、ベルベロににっこり笑った。
「――ありがとうございます。ふふ、屑石なら魔導師じゃない私にもぴったりですね。」
一流の魔導師は、大概高価な宝石をシンボルのように必ず一つ持っている。魔導師として認められる前の者は、水晶か硝子を使うのが魔法使いの不文律だった。
ベルベロは頭をかいて、首をひねった。
「んー……そういうつもりじゃなかったんだけどなあ。」
「わかってます。屑石と呼ばれようともルビーはルビー、私の魔法に支障が出るわけでなし、大した欠点じゃありません。むしろ見た目じゃわからないんですから、持っているからには一流の魔導師の心がけしないと、ですよね。」
クローゼアがにっこり微笑むと、ベルベロも笑い、手近な給仕からグラスを二つ取った。真っ赤な液体の入った一つを、クローゼアに渡す。
「――炎の魔導師に乾杯。」
かつん、と響いた二つのグラスは、深紅の液体を楽しげに揺らして、一人の少女の未来を祝福するのであった。
壁の花と化していたのは小さな男の子で、仮面舞踏会に似つかわしくない年齢のせいか、誰も声をかけない。仮面の右に刻まれるは燦然と輝く太陽で、ラカ王国の満月の紋章と対をなすと言われていた。……近づいてきた人物に、少年は顔をあげた。
「ご機嫌いかがでございましょう?万物に宿りし精霊に加護されし太陽治める国の王子よ――。」
シャシーを称える常套句を口にした男の仮面には、組み合わされた文字が二つ、刻まれていた。
「ドゥス……?その仮面の文字は何を意味しておるのだ?」
仮面舞踏会だからか、気のりしないのを隠そうともせずに、王子は興味を惹かれたことだけを訊ねた。仮面の主は、にこやかに答えた。
「これは私と我が妻のイニシャルにございます。あちらで丁度ツビス様と語らっておりますのが、我が妻ドロテアにございます。」
ツビス、という単語を聞いてルフス王子の顔が強張った。――執政官シャロットは、口の端をあげて笑った。
「我が陛下のやり方は、お気に召されませんか?」
ルフスは、年齢に似合わぬ嘲りを顔に浮かべた。
「はっ……最初からあれを狙っていたと我が大臣共が知っておったら、今あそこにいたのは我だろうな。」
言葉と裏腹に、口調は全くそうなっていたことを望んでおらず、シャロットは目を細めた。
「それはあり得ません。」
「何故だ?元々そういう目的できたのだ。我とて最初にフールベールにそう言われたら拒まなかっただろう。」
「陛下は、あなた様が断るとわかっていたからこそフールベール殿に勝利の秘伝を教えたのです。言われるがままに女装してしまいそうな来国したばかりの殿下でしたら、どれほどよい交渉条件を持ってこようとも、絶対に教えなかったでしょう。」
事実、敗れて行った候補の中には、かなりラカにとってよい条件を提示した国もあったのだ。それでも真の勝利に至る正解を教えなかったのには、わけがある。
「断るとわかっていた……だと?」
ルフスの口が、への字に曲がる。……フールベールに女装してくれと言われた時、馬鹿にしている、と怒り狂った。その勢いがあったからこそ、フールベールに阻止される前に単身レントの下に乗り込み決闘を挑んだ。結局負けたわけだが、それすらも彼女の計算だったというのか。
「我らは素早く情報を集め、利用することに長けた求婚者を探しておりました。我らの用意した正解に至るヒントは幾つもばらまいてあったのです。正解に自ら気づいた上で、進んでその正解を試してみる気になった者を婿と迎える、それが我らの目論見でした。正解に気付いた時点でラカに益なす頭脳の持ち主でありましょうし、自らその正解を試すとは即ち陛下より立場が下と公言する覚悟があるということ。我らはただ唯々諾々と従うだけの能無しはいりませぬ。」
仮面の下の目が細君と語らうツビスに向けられる。王子もつられそちらに目をやる。道化ているのか、今後それを貫くのか、ツビスの姿は昼と同じ女のそれであった。
「――我が承諾したらどうするつもりだったのだ?我は貴殿らのいうラカに益なす頭脳の持ち主ではあるまい。」
ふてくされながらも、自分の実力を重々承知していると認める。ツビスは笑った。
「――陛下の見込んだ通りの方ですね、王子は。ええ、恐れながら私目もそう申し上げました。他国へのヒントとして教えたのでしょうが、王子が承諾してしまえばシャシーと婚姻を結ぶことになる。それでよいのかと。すると陛下は、それならそれで、ルフス王子ならば見どころあるから将来的にマイナスにはならないだろう、と。」
今のルフスでは役者不足だが、将来のルフスならば、十分可能性はあると言ったのだった。それでもシャロットは、勝手にシャシーに正解を洩らしたシーナを軽率だと非難した。結果的にルフスが断ったからよかったが、シャシーと婚姻を結ぶことになったら黙っていない者は他にもいただろう。母の血筋恋しさにラカの王配として最も相応しい人物以外を選んだと――。
「今更それを伝えて、どうするというのだ?我らは明日にでもシャシーへ帰る。さすれば我は再び唯々諾々と従うばかりの実質的な力は何一つないただの末の王子に戻るだけだ。」
自嘲するかのように言うルフスに、シャロットも微笑んで頷いた。
「――真その通りですな。」
「え――?」
ルフスが見上げると、仮面の向こうの目は全く微笑んでいない。その眼光が射るように、王子を貫く。
「――申し訳ありませぬ。過ぎたことを申しました。」
深々と、謝罪がなされる。……しかしルフスにもそれが心からの謝罪でないことくらいわかった。
「――我が陛下が自ら婚姻のチャンスをお断りになられたあなた様ならば、王として今後も親しくしたいものだ、と申しておりました。我が陛下にそれだけ言わしめる器の方が、まさか末の王子という地位にいつまでも甘んじていることもありますまい――?」
褒め言葉なのに、その顔は微笑んでいるのに、ルフスは首筋に冷たい刃を突き付けられたような気持になった。……ふとした瞬間にフールベールが、ラカ一番の喰わせ者、とぼやいていた理由がよくわかる。
シャロットはもう一度口の端をあげ、笑った。
「……よろしければ、陛下にお祝いを一声おかけください。では、今後ともよき交流がラカとシャシーで変わらず続きますように。」
深々とお辞儀をし、さっさか違う集団に向かって行った。……実質上の筆頭執政官、と噂されるだけあり、帰国前の他国貴賓に最後の攻勢をしかけているのだろう。ルフス王子もそうした一人だったわけだ。
後に残された王子は、一人シャロットに言われた言葉を噛みしめ、睨みつけるようにツビスを見つめていた。
仮面舞踏会を行う大広間から出てすぐの場所にある中庭の暗がりには、早くも何組かの先客が舞踏会を離れしけこんでいる。……左目を金の大剣で貫かれた銀地の仮面の持ち主は、暗がりから漏れ聞こえる喘ぎに顔を真っ赤に染め、中庭の奥へと歩を進めた。
目的の人物が一人中庭に出て行くのを目撃したのは大分前で、まだ留まっているとも限らなかったが、それでも時々頬を真っ赤に染めながらも、彼は捜した。……いた、中庭の一番奥、月見の広場に、彼女の姿はあった。
「……リーナ姫……えー、その、こんばんは。」
挨拶は慣れないニージェンバルトの言葉で余計にたどたどしく、なんとも間が抜けていた。ゴンザレスが仮面を外すと、月の光に心なしか赤く染まった顔が浮かび上がる。
リーナ姫はゆっくりと振り向き、扇を広げ、怪訝そうな口元を隠した。仮面も着けたままなので、表情を読み取るのはかなり難しい。
「こんばんは、月神の寵愛受けし国の王子様――。何か御用でしょうか?」
「あー、いえ、用と言われますと……たまたま気分転換に中庭に出てきましたら、姫君の姿をお見かけしましたので……。」
「気分転換に中庭へ?それはまた……お一人で来る場所でもありませんでしょうに。」
自身も、一人で来ているリーナに言われ、しかしゴンザは顔を真っ赤に染めた。来る道々聞こえた睦言を思い出しているのだろう。
「姫君こそ……どうしてこのような場所へ?」
真っ赤な顔のまま、ゴンザは尋ねた。……仮面の下でリーナ姫の眉は吊り上がったが、静かに月を見上げた。
「月が、綺麗でございましょう?それで――。」
リーナの言う通り、いつになく美しい満月が夜空に輝いていた。思わず、ゴンザも唸り声をあげる。
「月神が祝福なさっているようだ――。」
その言葉に、仮面と扇で覆われたリーナの表情は、この上なく不機嫌なものになった。声にも、それが滲み出る。
「祝福――?ええ、そうですわね、雄々しきラカの女王にたおやかなシーディアの王子、確かにこれ以上、似つかわしい組み合わせはありませんわ。」
「あ、いえ、そういう意味では……。」
リーナの声に滲み出る不機嫌を察知して、ゴンザレスが慌てる。リーナはますます不機嫌になった。
「ゴンザレス様はお二人の結婚に反対ですの?そうでないのでしたら、祝福とはそういう意味にございましょう?」
仮面の下の笑顔の仮面が、誰かを彷彿とさせる……。混乱した頭でゴンザレスは思った。
「あ、いえ、私は姉上とツビス殿の結婚には賛成も何も……。……王としては正しいのでしょうが、姉上個人としては、ツビス殿よりも姫君の方がよっぽど好みだと思いますよ。」
「それは嫌味にございますか?」
思わず、リーナが不機嫌さを抑えきれずに口にする。近接軍司令官であるはずのゴンザレスが、たじろぐ。
「いえ、そういうわけでは……。……その、姉上は、姫君を中々に見どころがあるとほめておりました。」
「あのシーナ様ですもの、私に限らず誰であろうともおほめになりますでしょう?」
意地悪く微笑みながらも、一抹の温かい思いが滲む。……家柄だとか、顔の造りだとか、そんな誰にでもわかるものではなく、ドレスを着るのに自ら加えた工夫だとか、言葉の裏に込めた真実だとか、ふとした仕草や表情から読み取って、すぐに褒めてくれるのだ。よいご趣味ですね、ニージェンバルトの流行でしょうか?ありがとうございます、リーナ姫はお優しい――。
そんな思いを滲ませるリーナを見つめ、ゴンザレスはますます顔を真っ赤に染めた。
「……姉上は、姫君のためにも自らは結婚できぬが、是非とも姫には我が国に留まってほしいと……。」
その言葉を聞いて、リーナは声をあげて笑った。扇の下で、姫にしてははしたない笑みが広がる。
「シーナ様はともかく、ラカ貴族は皆わたくしを嘲っているでしょうに。……ええ、ラカの言葉がわからずとも、それしきのことわかりますわ。誇り高きニージェンバルトの栄光背負いしゲハルト王の娘として生まれた身、いくら隣接する国でないとはいえ、ラカほどの大国の王の性別さえ知らなかったことがどれほど愚かなことかくらい、わかっておりますわ!」
ぴしゃり、と扇が閉じられる。……北の竜を目の前にしても怖気づかなかったゴンザレスの肩が、びくりと震えた。扇の下から現れた口元は、既に笑っていない。仮面直下の頬は、怒りで真っ赤に染まっている。
「わたくしがシーナ様をお慕いしていたのは、ええ、もちろん誰よりも雄々しく素敵なシーナ様を純粋にお慕いする気持ちがなかったわけではありませんわ!ですがそれ以上に、阿呆な臣下どものせいで我が国が辱められるのに耐えられなかったからです!」
リーナの拳が、きつく握られる。……リーナとて、シーナが本気で相手にしてくれるなどと思っていたわけではなかった。それでもリーナ個人が好き好んで花嫁候補となったのならば、王の性別を間違えていたなどという阿呆すぎるミスを帳消しにできると思った。政治を担う王の使節が阿呆であるより、蝶よ花よと育てられた姫個人が阿呆であった方がまだマシだ。
姫らしからぬ息使いが、庭に響く。さっと雲が通り、一瞬隠れた月光が、すぐ姫に降り注いだ。ゴンザレスの口が開く。
「……美しい……」
「は?」
そのラカ語の呟きは、滞在中に姫の覚えた数少ない単語の一つだったが、あまりの脈絡なさに思わず聞き返す。……慌てて、扇を口に添えた。幾らなんでも、姫らしからぬ振る舞いを連続しすぎだ。しかしゴンザレスの耳にも姫の声はしっかり聞こえており、これ以上ないくらいその顔が真っ赤に染まる。
「あ、いえ、その……すみません、何でもありません。」
「そう言われますと余計に気になりますわ。激情に任せてしまい申し訳ありませぬ。もう一度、何とおっしゃったかお教えくださいまし。」
胸の内を吐き出したせいか、普段と変わらずすました様子で姫が言うと、ゴンザは困ったように笑った。
「いや、またそのうちに……。
それよりも姫君、その……結婚しませんか?」
姫の目が、驚きと見開かれると共に、先ほど以上にはしたない声が漏れた。
「は!?……いえいえ、ええ、申し訳ありません、あまりに唐突で驚きましたもので……。それは、シーナ様のご指図でしょうか?」
すぐに驚きを仮面の奥に隠し、刺すような笑みをリーナが浮かべると、ゴンザレスはうろたえた。
「確かに姉上は冗談でそう申しておりましたが……いえ、これは私自身の望みです。」
ニージェンバルトの言葉で、初めてきっぱりと宣言した。リーナの氷の笑みを、まっすぐ受け止める。リーナはその瞳を、値踏みするようにじっと見つめた。そしてやがて、首を振った。
「……わかりませんわ。今の話の流れでどうしてそういうことになりますのか。からかっておいでなのですか?」
「勿論違います!……いや、私自身も不思議なんです。つい先ほどまで、そんなこと考えてなかったのですが……ここに来ましたのも最近姉上が冷たく接しているという話を聞いておりましたので誤解を解こうと……。」
その言葉に、仮面に刻まれた牡丹の奥の目が細まった。
「誤解?」
首をひねり、一拍考える。そしてリーナは言った。
「そも、シーナ様に冷たくなぞされておりませんわ。確かに最近お話する時何やら人目を避けておりましたが、お忙しい合間を縫ってわざわざほぼ毎日お会いして下さいましたわ。」
「へ!?近頃では姫のお誘いは全て断り、偶然お会いしても気づかないふりをされるとか何とか……。」
「それこそ誤解でしょう。」
今度は、ゴンザレスが首をひねる番だった。
一番最初に噂を聞いたのは、嬉々として喋っていたシーナ親衛隊の娘たち、早速姉に尋ねればちゃんと最低限の挨拶はしておろう?政務が忙しいのだ、と姉らしからぬ回答をされ、ブレッド自身もリーナ姫に最低限の挨拶しかしていない、姉にしては素っ気なさすぎる現場を目撃している。まさか急にリーナを嫌いになったわけでもあるまい、恐らく実際に婿取り合戦も大詰めで政務が忙しすぎて、余裕がないに違いない、しかしただでさえ冷たい視線を浴びてしまっているリーナ姫にとっては辛いことに違いない……。そう考えて姫を追っかけたゴンザレスだった。
「なんだ、じゃあ私の取り越し苦労だったわけですね。」
安心したように息を吐く。扇越しに、リーナはにこやかに笑った。
「ようございましたね。阿呆であろうともニージェンバルトは大国、その姫の機嫌を損ねるわけには参りませんものね。」
リーナの棘のある言葉に、ゴンザレスは心底驚き、慌てて否定した。
「いえ、私はそういうことで追いかけたのではなく、ただお慰めしなくてはと……。」
リーナは、仮面越しに目の前の男を静かに見つめた。ゴンザレスの言葉が、段々と尻すぼみになる。そして落ち着かなさそうに、視線が泳ぐ。その様子をも、リーナはじっと無言で見つめ、視線がゴンザレスを射抜いた。ゴンザレスは何か言うべき言葉を必死に探したが、真っ白になった頭は何も返してくれない。月の光が、二人に降り注いでいた。
「……わかりましたわ。」
「へ、あ、はいぃ!!」
急に解かれた呪縛に、リーナの言葉の意味もわからず、ゴンザレスは訓練の時のように姿勢を正し、直立不動になった。静かに扇が閉じられ、仮面が外される。月光にリーナの顔が照らし出された。その口許には静かな微笑が浮かんでいる。
「目をおつむりになってください。」
「え、は、はい。」
相変わらずゴンザレスの頭の中は真っ白で、言われるがままに瞼を閉じた。彼の背丈は男にしては小柄で、リーナより少し高いだけだった。だからリーナが少し背伸びをすれば、首に手をまわし唇を重ね合わせるなぞ、造作もないことだった。目が開かれ、真っ白になった頭に信じられない光景が映し出される。両の手は引き離すべきかさらに抱き寄せるべきかで混乱し行きどころを失った。……長い口付けの後、自ら離れたリーナは呆れたように硬直したゴンザレスを眺めやった。
「……まあ私に恥をかかせる気でございますか?」
「え、えええっと……。」
なんと答えようにも、頭の中は相変わらず真っ白だ。硬直の後のあまりの慌てっぷりに、リーナはますます呆れた。そして一つ溜息を吐くと、ゴンザレスの手を取った。
「こちらですわ――。」
ゴンザレスは真っ白な頭のまま誘われるままに、リーナに従った。穏やかな月光は、二人の移った先にまでは流石に追いかけてこなかった。
広間では人々の笑いがさざめき、賑やかな音楽流れ、人々は踊り、宴もたけなわ、あちこちで会話に花が咲いていた。藍地に金の妖精が羽を休ませる仮面の主は、以前と同じく壁の花と化していたのだが、先ほどから目の端に映っていた人物と目が合うと、思わず笑顔になった。しかしながら次の瞬間、その人物が確信めいて彼女の方に向かってくると、仮面の下の笑顔が驚きに変わり、反射的に逃げ場を探したところで彼女から逃れられる人間なぞこの会場にいるわけがなかった。
「羽をお休めのところ失礼いたします。ご機嫌いかがにございましょうか、金の妖精殿?」
満月の紋章刻まれた仮面の奥で、悪戯っぽく目が光る。アズリルは戸惑いながらも、令嬢のごときふるまいで、手にされた口づけを受け取った。
「御身に降り注ぐ月の光が永久に絶えませぬよう――私のような者に、もったいのうお言葉ありがとうございます、陛下。」
周囲の視線が、アズリルに注がれる。――当然だった。シーナの一挙手一投足を、誰もが気にしていたのだ。そのシーナが、わざわざ公式の場でアズリルに声をかけてくる意味――未だにそれが分らぬほどアズリルは愚かでなかった。既にシーナの意図してきたところを察していた。……もう迷いはない。真っ直ぐに女王の目を見返す。その視線を受け止め、シーナは嬉しそうに笑った。
「なるほど、レントの下で暮らす内に完全に呪いが解けたと見える。久々に顔を見せてくれ、アズリル――。」
アズリルは、静かに仮面を外した。……シーナの後ろに控えていた、白い仮面の女性が驚きに目を見張り、口許を手で覆った。
「アズリル……!!死んだものだとばかり……。」
信じられないといった風に、恐る恐る彼女は近づき、アズリルに手を触れた。幽霊ではない、温もりが伝わる。
「…………お母さん。」
アズリルの頬を、静かに涙が伝った。その瞬間、母ヘーゼルは我が子を抱きしめ、むせび泣いた。
「……王よ、そろそろ私にもこの麗しの金の妖精の正体をお教え願えませぬかな?」
愉快そうに口の端をあげ、シーナと共にいたツビスが尋ねた。その言葉に、シーナの周りにいた者もシーナに注目する。
「なに、一言で言ってしまえば私の乳兄弟、十年前に死んだと思われていたアズリルだ。アズリル、例の首飾りを。」
言われ、涙を拭いながらヘーゼルはアズリルから離れた。アズリルは言われるがまま、ドレスの下にうまく隠していた精霊封じの首飾りを、皆に見えるように出した。同じ物をつけている黒猫チィを見たことのある者たちが、怪訝そうな顔をした。
「――ムセカ殿、取り外しを願えますか?」
事前に交渉済みだったのか、近くに控えていたムセカが進み出る。パーティーに相応しい最新流行のドレスを着ており、ムセカの長い手足が引き立って見えた。
「契約に従い、首輪を外してくれ。マーマミヤートの色彩テラスに宿りて汝が面に映されん――。」
精霊語の言葉が唱えられると、あれほど黒猫チィが悪戦苦闘した首飾りは、あっさりとその留め金を外した。アズリルはやっと解放されたことに安堵し、首飾りをムセカから受け取ると女王に差し出した。
「何も持たざる私から我が君に、精一杯の祝いにございます――。」
差し出された首輪と、アズリルの言い回しに、おもしろそうにシーナは口の端をあげた。そして首飾りを受け取ると、光に透かすかのように軽く掲げた。
「ふむ、吟遊詩人にでも渡せば見事な歌を作ってくれそうだな。
我が幼馴染アズリルは、今は亡きサーヘルの呪いにより、その姿を黒猫に変えられていたのだ。それを此度レントが呪いを完全に解くことに成功した。この首輪こそ彼女が黒猫だった証よ。」
「……確かにチィ様についていた首飾りと同じですわ。」
傍にいたシーナ親衛隊の娘が、太鼓判を押す。周囲からどよめきが起こった。
「陛下、サーヘルとは何奴なのです?」
相変わらず愉快気に事の成り行きを見守りながら、ツビスがシーナに尋ねる。シーナもまた愉快そうに笑顔で、説明した。
「かつて我を暗殺しようとした罪で斬首された魔導師だ。そ奴はかつての第二王子の傍付きでな、我がまだ幼き頃、噴水広場でレントと決闘したのだ。決闘はレントの勝利に終わり、それを逆恨みしたサーヘルが復讐しようとしたのだが、残念ながらレントは勝利したというのに全ての地位を捨てて出奔してな。レントと同様我が幼馴染であったアズリルが、そのやり場なき怒りのはけ口にされてしまったのだ。」
「なるほど。――それにしても大層麗しいご令嬢だ。」
途端、シーナの表情が悪戯っ子のようになる。
「おや、早速浮気相手を見つけたのですか?しかし残念でしたな、あれにはもう決まった相手がおります。――ほら、ご覧召されよ。」
言われて金の妖精を見れば、群がりつつあった好奇の塊の貴族たちの波が、さっと引いた。波間に登場したのは、仮面も何もつけていない、素顔のレントであった。
「――よろしければ、一曲願えますでしょうか――」
どことなく、いつもに比べ強張った感じのするレントの手を、アズリルはにっこりと笑顔で取った。
「喜んで。」
そのやり取りを見て、周囲のささやきは様々であったが、二人が踊るためのスペースが、さっと作られる。
既に響いていた音楽に飛び込むように、二人の踊りは始まった。レントの表情はどこかぎこちなかったが、アズリルの表情はにこやかな笑顔のままだった。二人のステップは合わせるともなく完璧で、思わず見ている人間から溜息が漏れた。
『――それで?』
アズリルの口は開かず、心に響く。レントの眉が動き、ステップがほんの一瞬乱れた。すぐに乱れたステップは、元の優雅な動きに溶け込む。
『――城に、戻るな。』
怒っているような口調に、アズリルは笑顔のまま、しかし心中の声は嘲るかのような響きを含ませ答えた。
『まあ、城には戻りますわ。これからは母共々、シーナ様にお仕え致しますもの。』
ぎこちない表情が、一瞬情けなく歪む。しかし意を決したかのように、レントの目がアズリルの目を捉えた。
『――俺と、結婚してくれ、アズリル――』
……アズリルの表情は笑顔のまま、ステップは相変わらず完璧に息が合って、二人共に優雅な踊りであった。やがて、溜息が一つ、漏れる。
『……それは、魔導師としての私に、言っているのでしょうか?』
アズリルの顔から笑顔が消え、真剣な眼差しがレントを見つめた。レントはゆっくりと、言葉を送った。
『いや……お前が魔法を使えないと思ってた時から、その、なんだ……好きだったから。』
レントの頬が、心なしか赤く染まっている。それを見て、アズリルは思わず呆れた。
『全く……とんだへたれですわね。ここまでお膳立てされて初めて言うだなんて……。幾らでも時間はあったでしょうに。……まあ今の今まで気付かなかった私も馬鹿でしたわね。』
相変わらず二人のステップは優雅で、誰もが見とれていた。レントは無言のまま、アズリルを見つめリードを続ける。
『……の……を……えて……さるなら。』
「え?」
思わず声に出して、間抜けな声で聞き返してしまう。すぐにそれは音楽でかき消され周囲で注目している人間の誰一人として気づかなかったが、ただ目の前のアズリルはもう一度、心の中に囁いた。
『……オムライスの作り方を教えて下さるなら……いいですわ。』
途端、レントは苦笑を浮かべ、しかしそれ以上に、喜びに目を輝かせた。
『……もちろん!!』
後日正式にシーナの側仕えとなったアズリルが、真っ先にシーナに手製のオムライスを作ったのは言うまでもない。
〈fin〉
※以下のおまけは普段掲載しているものとは違い、過去にブログで作品をアップしていた際に掲載していた内容になります。そのため、憎たらしい道化くんのキャラが多少違ってたりするかもしれませんが、予めご了承ください。あと作者は当時とお仕事かわったし、大分状況違います。あしからず。
おまけ 登場人物 作者兼シーナ代理の道化、アズリル、レント、カイ
道「パンパカパーン、さてさて無事に第二部も終了……ってあれ?終わってない!?」
レ「何やってんだよ作者は。おまけ書くのがそんな楽しいのか!?シーナもいないし。」
カ「あ!なんか今回は諸事情あって交代したらしいっすよ。」
道「ま、僕ともキャラ被ってたしねえ。」
ア「無礼な!シーナ様が道化などとキャラが被ってるわけありませんでしょう!」
レ「いや、前回のおまけは相当被ってたぞ。」
道「むしろ彼女なら喜ぶって。アズリルちゃんだってシーナ様が喜ぶなら嬉しいだろう?」
ア「それはそうですけど……。」
レ「ちょっと待て!なんだそのアズリルちゃんって!」
道「彼女に『是非ともそう呼んでレントをやきもきさせろ』と言われたんだー。今回僕、彼女の代理でもあるし。」
ア「まあそうでしたの。そうとは知らず失礼なことを……。申し訳ありません。」
レ「なんだ、その態度の違い!ちょっ、カイ、お前も何かつっこめ!」
カ「師匠、頑張れ☆」
レ「……お前本編とキャラ違くね?」
道「そんなことありませんよー。ト書きの本音をセリフにしてあげただけです。」
カ「いやあここすっきりできていいっすねえ。師匠も思い切って言っちゃえばいいんすよ。」
レ「……?何をだ?」
カ「だからアズリルさんに「わあああああ」」
ア「またですの?一体何ですの?文句でしたらいつでも受けて立ちますわ。」
道「ははは、まあまあまあ、ここで言っちゃったら第二部のメインなくなっから禁止ね。」
カ「え!?それってほとんどネタばれじゃないっすか。いくら師匠の態度がばればれだからって本編読んでない読者いたら怒られますよ。」
レ「ちょっ……なんだよばればれって?」
道「無自覚は怖いぞお?あー別にいーの。そんな邪道な読者、ネタバレされて当然だって。」
レ「作者もっと読者に愛持てよ……。」
道「ひどいなー。愛ならいつでも胸いっぱいあふれんばかりに持ってるよー。それにネタばれっつっても二部の読みどころそこじゃないし。」
カ「メインなのに?」
ア「もちろんシーナ様が一番に決まってますわ!」
レ「またあいつの美味しいとこ取りかよ……。しかもこの流れから行くと、三部あいつが正式な主人公だろ?」
道「ちゃっちゃらちゃー、正解!!まあまだ二部も終わってないからどうなっかわかんないけど、とりあえず君たち二人は読むの禁止だから。」
ア「えー!ひどいですわ!わたくしもシーナ様のご活躍ぜひ拝読したいのに……。」
レ「……別にいいが、ずるくないか?」
道「はは、とにかく君たち二人に明かせない内容であることは確かなんだよ。それでは第三部『小娘の覇道』お楽しみに!!」「なんかタイトルかっこいいし!」
反省会 登場人物 あんぐ、シーナ
シ「……それで、どうして呼び出されたのかわかってるのだろう?」
……シーナ様、笑顔怖いです。はい、重々承知しております。
あ「カイ君出世しすぎの件……ですよね?」
……いや、私だってあんな出世させるつもりじゃなかったんですよ?第二部はほんとシーナ様の婿取り合戦メインのつもりで、あの子は第三部で活躍予定のブレッドを伏線として登場させるために絡みで出すだけのつもりだったんですよ。なのに……。
シ「……襲撃させたのが間違いだったな。」
あ「……その通りでございます。」
伏線だけのシーンじゃつまらんから、襲撃されちゃえ、っつって襲撃させたのが間違いでした。そしてあれよあれよと魔術学校を描く羽目になり、突発で作った護衛三人衆はやたらキャラ濃いし。
シ「……全くだ。なんだあの目立つキャラ三人?ベルベロに至ってはかなり美味しいだろ?」
あ「いやあ、旅好き設定気に入っちゃって。」
シ「奴らのおかげでツビスの出番が減ったのはどうでもよいが、完全に主役食ったよな。」
あ「あはは……。」
恐るべし、カイ君――襲撃前に油断させといてちゃっかりシーナ除けておまけにも進出してるし。
シ「他の突発新キャラもやたら多いよな。例のロッタリーニは出てくるくせに描写しないし。婿取り合戦省略しすぎだろ?」
あ「えー、だって面倒……あいや、すみません。そうそう、第二部まではあなた一応潔白な人でいてくれないと困るんですよ。なのにゴンザレスが勝手に疑いかけるし。」
シ「第三部のネタばれまでするな!……全く、やたら設定多くて説明臭くてわかりにくい読者てんこ盛りだぞ。」
あ「うー、すみません……。アズリルちゃんの例外的に強すぎる魔法設定どうして例外的なのか考えてたら魔法と精霊も設定作りすぎた気が……。これ魔法はメインじゃないからおざなりな設定でいーやって思ってたのに。」
シ「魔法メインだとへたれ魔法しかないレントが可哀そうだろうが。」
あ「……いやいや、アナタにそぉれ言われタクナイですよ?」
シ「ムセカの真似をするな!大体反省会と言っておきながら黒猫覗き見シーンでこれ描いてるとは何事だ!」
あ「えー、だって第二部アズリルちゃんのシーンって描くのしんど…「主人公だろうが!」」
でも一番アズリルの出番食ってるのシーナ様なんだけどなあ……。まあそこはアズリルとシーナだから仕方がない、って最初からそのつもりではありましたが。
あ「ってか第三部どうしよう……完全過去編にするかやたら回想にするか……。」
シ「だから第三部のネタばれするなと言っておろう?第二部を描きあげてから迷え。」
あ「いやあ、カイ君のおかげで第二部はあっというまに構想固まったから、しんどいシーン来るとつい第三部を考えちゃうんですよねえ。……こんな作者ですがこれからもヨロシク☆第三部おまけで登場させてほしい脇役募集中!」「勝手に終わらせるな!」「はい……」
ホントのおまけ 登場人物 作者兼シーナ代理の道化、アズリル、レント、カイ
道「……パンパカパーン、今度こそほんとのほんとに第二部終了!!!」
カ「おめでとうございます!……っもう一時はどうなることかと思いましたね。」
道「作者の精神状態がね。」
レ「そんなにやばかったのか!?」
ア「違いますわ、単にぐだぐだダメ人間なだけですわ。」
道「うっわー、手厳しいなアズリルちゃん……。ま、否定はしないけどね☆」
レ「否定しろよ、作者代理!!……ったく、大体読者は作品を描いてる作者に興味があるのであってだな、作品描写と関係ない理由でくる作者の精神状態なんてどうでもいいんだ。」
道「あっははは、まあそこに興味持つ人もいるけどね。まーおまけで作品と関係ない話してもしょうがないね。ちなみにこれ描くのはかなり楽しかったみたいだよ。」
カ「まあ現実逃避ですからねえ……。師匠だってあれだけお膳立てされたとは言えやっと面と向かって言えたんだから、作者も頑張ってください。」
レ「比較するな!俺は仕事はちゃんとやってるぞ!」
ア「はいはい、そこまで。全く、いつまで作者ダメ人間トーク続けるんですの。せめてもっとキャラ設定裏話とか作品に関係ある話をなさい。」
道「ちなみに作者の場合レントと真逆で、仕事がぐだぐだダメ状態だけど、他はどきっぱりしてるらしいよ。精神状態ダメなのは仕事をちゃんとやってないからさ☆」
ア「だからっ、そんな情報いりませんわ!……ったく、なんかキャラ誕生秘話とかありませんの?」
カ「まあ月の庭部分で止まって三カ月くらい経ちますからね……。キャラ誕生秘話とか忘れてんじゃないっすか?」
道「月の庭と言えば第二部でもう一組か二組?フラグ立ってたけど、あれは第三部で進展とかしないからね。」
レ「っまたそういうこと言ってネタバレを……。ってか第三部大筋の構成だけでまだどうなっかわかんないんだから、首絞める発言すんなよ。」
カ「でも思ったんすけど、第一部と第二部見てみるとどっちもオチが同じですよねー。」
レ「なっっ……!俺をそんな目で見るな!」
ア「まあへたれですから当然でしょう。」
道「あはは、まあ第三部は私が主役なんだから大丈夫だ、ってシーナ様がはりきってましたよ。」
ア「当然ですわ、シーナ様ですもの!」
カ「うっわー……。師匠前途多難ですね☆」
レ「いやまあ俺は……。」
道「うーわー、これからが勝負だろうに、二番目で満足しちゃうわけ?志ひっくいなー。」
レ「っっうるさいっ!シーナみたいなこと言うな。」
カ「……陛下にも言われたんだ。」
道「ってかむしろシーナ様の代弁だからね☆では次回作、全ての謎が明らかに!?シーナの陰謀が暴かれる!?『小娘の覇道』お楽しみに!!」「……うっさんくっさいなあ。」




