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朗読家になれない朗読人  作者: 白餅りんね


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06 能力者が生まれる街

以前体験した“夢見の館”での摩訶不思議な出来事を経て、僕はこれまで以上に能力者という存在に強い興味と関心を抱くようになっていた。


そんな折、夢見の館を後にして立ち寄った小さな村の酒場で、ある噂を耳にする。


――この村から南へ進んだ遠方に、能力者が数多く生まれると噂される、不思議な街があるという。


見識を深めたい。

能力者について、もっと知りたい。


そんな探究心に突き動かされ、僕はその街を目指し旅を続けていた。


自然に覆われる豊かな木々が賑わう森を抜け山道を抜けた先には、先程までの景色が嘘のような荒野が広がっていた。


豊かな木々が生い茂る森を抜け、険しい山道を越えた先に広がっていたのは、先ほどまでの緑の世界が嘘のような荒野だった。


風に運ばれた砂の匂いが、草木の残り香と混じり合いながら、僕の頬を撫でる。

凹凸のある岩山の道も、人が通れるように整備されており、かろうじて街道としての形を保っていた。


整備された街道を進んだその先に、それはあった。

思わず、僕は息をのむ。


大きな城下町が、荒野のただ中に悠然と佇んでいたのだ。


――能力者が生まれる街。


胸の高鳴りを抑えながら街へ足を踏み入れ、僕はいつものように情報収集を始めた。


街の者たちの話を総合すると、街の中にある“とある店”に行けば、僕の求める答えが見つかるらしい。


僕は導かれるように、その店へと向かった。


「お!ようこそ! いらっしゃい!」


扉を開けると、店の中央に据えられたカウンターの奥から、ひとりの男が陽気に声をかけてきた。


どうやらその男は、この店の店主のようだ。


僕は、この街に来た理由と、能力者に興味を持っていることを包み隠さず話した。


話を聞き終えた店主は、ゆっくりと口を開く。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


突如として不可思議な力に目覚めた者たち――

彼らを総称して、能力者と呼ぶ。


力の正体は未だ解明されておらず、その多くは魔法すらも凌駕する。

それが、この世界に広まっている“常識”だった。


その力は、時に人のためとなり、時に人を傷つけるものとなる――その使われ方は、実にさまざまだった。


そして、力を覚醒させる者が日を追うごとに増えていく現状に、人々はただ恐怖することしかできなかった。


だが一方で、その正体を突き止めようとする者たちもいた。

能力について未だ不明な点が多いが、彼らの研究により明らかになったこともある。


現時点で判明している確かな事実は、能力には必ず欠点が存在すること。

そして、冒険者が能力者になる傾向が強く、冒険に出ない者のほとんどは覚醒しないということだ。


又、この不思議な力には、他者の記憶を見せるもの、相手を視認するだけで能力を分析できるもの、失った身体を元通りにするものなど、そのどれもが人智を超えている。


そんな不可思議な力を宿す“能力者”と呼ばれる者が、初めて姿を現したのは、今からおよそ100年以上も前のことだという。


そして、当時の出来事について研究者たちは調査を重ねたが、不思議なことに、200年前から100年前にかけての記述は、まるで意図的に抜き取られたかのように、一切の記録が存在しなかったのだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「これが、現段階で解明されている能力者についての情報だ。でも正直、まだまだわからないことが多すぎる。

だからこそ、能力者は能力とどう向き合っていくかが大事なんだ。そこで、俺の出番ってわけさ。」


意味が理解できず戸惑う僕に、男性は続けて言った。


「さっき話に出た“相手の能力を分析する力”、あれは俺の能力なんだ。

ぱっと見た感じ、君にも能力があるみたいだから――分析させてもらってもいいか?」


その言葉に、僕は驚きを隠せないまま、迷わず大きく縦に頷いた。

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