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34 winners

 ダイチとシルバーが仲良く切り結んでいる一方。


俺とミナは、生き残った暗夜皇軍のメンバー4人と対峙していた。

敵が団結しそうな時は、俺が爆撃で崩す手筈である。しかし残る爆弾はたったの2個。ほぼ使い切ってしまったので、お決まりのその方法はとれない。まぁ、敵が圧倒的に優位な最初の状況からここまでこぎつけたのだから、頑張った方だ。

それにこのタイミングで手榴弾が切れたのは、何も悪いことばかりではない。俺が“蜉蝣“で爆弾を操作する必要がなくなったので、俺が直接援護に行ける。

ここまでずっと、表に立って暴れていたのはダイチとミナ。ダイチはシルバー団長が相手をしているから、連中は目下の敵はミナだけだと思い込んでいるはず。

今俺が参戦すれば、敵の虚を突ける。


まずトンボに括りつけた最後の爆弾を、敵へと放つ。

「爆弾が来たぞ!!」

同じ手を繰り返せば、敵も対処法を編み出す。

空中を見張っていた団員が爆弾が来たことを知らせると、スキルを発動する。

「スキル発動 ”ウォーターボール”」

掌から生成された2Lほどの水は、重力を逆らい、ホーミング機能により落下する爆弾へと吸い寄せられる。”ウォーターボール”とはただ水の塊を放つだけのスキルで、攻撃力は皆無。ただ火薬を湿らせるので、銃火器にはコスパよく対処できる。

爆撃の脅威は処理した。敵が安堵に胸を撫でおろし、緊張が緩んだその瞬間。

俺は足を蹴って崖からダイブする。

崖はかなり高いので普通に落ちたら落下死するが、落下ダメージを軽減するアイテムを使って、デスを免れる。着地と同時に、空から人が降ってきたことに驚く団員たちへ突っ込む。

相手が驚いている隙に、勢いに任せて素早く斬りかかる!と見せかけて、直前でしゃがみ、足元に一閃。そして流れる川のように、2撃目を与える。が、相手は俺の攻撃を意に介すことなく、振り抜かれた腕を掴む。

「捕まえたぜ!」

ダメージ覚悟で、俺の片腕を封じてきた。強引だが、勢いで押し切られないために出血覚悟で敵を止めるという割り切った判断ができるのは、トップギルドの団員なだけはある。

だが俺の相棒は、こういうちゃんとした判断を先読みし、叩き潰すことが大得意。

チャンスの匂いを嗅ぎ取ったミナが踏み込んで、豪快に斧を振る。

突如として現れた俺に意識を向けていた敵たちは、逆にミナへの警戒心が薄くなっており、どうしても反応が遅れてしまう。特に俺を捕まえた敵は、皮肉にも俺に捕まえられる形となって、斧で真っ二つにされた。

斧がそいつのアバターを通り過ぎると、HPがグンと減って底をつく。これで4人から3人に減った。

ミナは更に斧を振り回す。解放された俺もそれに乗じて、ここが正念場と攻め立てる。しかし相手も怯むことなく、負けじと応戦してくる。

勢いはこっちにあるが、人数は相手が有利。一進一退の攻防が続き、全員のHPが0に近づいてく。

しかしそろそろ終わりが迫ってきたというタイミングで、遂に場が動く。

ミナが相手の攻撃を躱そうとして、足が滑り、転びかけてしまう。寸でのバランスを保って転倒こそしなかった。が、降って湧いた致命的な好気を見逃してくれるわけもなく、ミナは会心の一撃を食らう。

ミナにしては珍しい初歩的なミス。

暗夜皇軍の団員としてボス戦をこなした上、敵だらけの戦場で生き続けた疲れが、遂に表面化したのだろう。俺たちの集大成ともいえるこの計画が成功する間際となって、気持ちが先走ったこともあるかもしれない。

だがどれだけ仕方のない理由があろうと、ゲームのプログラムは正常に脱落者を処理する。

刺さった剣がHPを削り、数値の減少は0で止まる。途端、ミナのアバターはポリゴンの欠片となって、空気に溶ける。

これで味方はいなくなり、1vs3。

明確な不利に、俺は後ろに飛んで距離を取る。

一旦落ち着きたいのは相手も同じか、追いかけてくることはなく、戦場は一転して静謐に包まれる。


かと思った次の瞬間、それを爆発音が塗り替えた。

残っていた爆弾は2個。1個は、俺の奇襲の前振りとして使った。

最後の爆弾は、相手が爆撃への警戒を失くしたこの瞬間のためにとっておいた。

爆弾にはトンボを括りつけて、動かせばピンが外れて数秒後には爆発する仕掛けを作ってある。任意のタイミングで、狙った場所に爆弾を落とせるようにした。

敵はミナを倒し、達成感に満ちている。爆撃も暫く止んでいたから、警戒が頭から消えている。爆弾にミナを巻き込む心配もない。

使うなら今しかないと、ミナがデスした瞬間に直感した。

揺らめく真朱色が3人を呑み込み、骨まで響く衝撃が全身を撫でる。激闘でかなり短くなっていた敵のHPバーを遂に両端がくっつき、少し遅れて3人は消えた。

それを見届けた俺は、何もせずにぼうっと俺以外に誰もいない渓谷を眺める。

疲労と達成感で、魂が抜けていた。

現実味がない。

本当に、俺たちはトップギルドの暗夜皇軍に勝ったのか?盛大なドッキリにかけられているんじゃないか?

訳の分からない疑いが頭をグルグル周回する。


「何してんだ?リク」

茫然自失になっていると、耳にスッと入ってくる明瞭な声が、俺の背中を叩いた。

振り向けば、ダイチが片手を上げている。ここにいるということは、シルバーに勝ったということか!

マックスで4桁のHPが、2桁台まで減っている。随分とギリギリの戦いだったようだ

「シルバー団長に勝ったか!??よく勝ったな!!」

仰天する俺に、ダイチは意味深長な顔をする。

「向こうがガチだったら、勝てなかったよ。そっちも上手い事やったみたいだな!!」

ダイチが右手を掲げる。俺も同じく手を掲げて、少し高いダイチの手のひらへ。パチンという音が響き、ジンとした痛みが掌に広がった。



後日、ダイチがアップロードした暗夜皇軍を倒してアイテムを強奪する動画は、それなりの反響を呼んだ。予想外に再生回数を稼げたということで、俺は大地からお小遣いをもらえた。

しかしすぐに別の動画が、話題を掻っ攫った。


ダイチが、豪華景品付きの大会を主催すると発表した!!

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