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2 unipue paramater

 「これって、相手の防御力も0にするってこと?イカレ性能過ぎない!?あ、けど呪詛の効果で自分も防御力0だから、プラマイ0……なわけ!!自分はステを防御力に振らず、他のステータスを上げられるから、ちょう有利じゃん!!」

ミナが忙しなく叫ぶ。まぁ、自身の防御力が0という前提があるとはいえ、相手の防御力を無視するなんてぶっ壊れバフを常時発動できるのだから、至極当然の反応だ。

「だよなぁ。俺もビビった。んで、こっからが本題。影魔法をカンストしたのは、多分俺が初めてだと思う。つまり影魔法の特性を知っているのは俺たちだけ。だから影魔法の性能が知れ渡る前に、俺らでがっつり稼がない?」

時として、情報は剣より強い。

敵の防御力を無視できるという効果は非常に強力だが、対策は不可能ではない。カンストした影魔法の特異性が知られていない今が、最高の稼ぎ時。 俺の提案に、ミナはいやらしく口角を上げる。


その後すぐ、俺はミナに連れられゲーム内で最も上級者向けの防具店へ行った。その店でミナは幾つか装備を買ってくれた。

「いいのか?こんな良い装備貰って。後で大量のコイン請求するんじゃないだろうな」

高額の装備をタダで貰った俺は、困惑して問い質す。

ミナはかなりの守銭奴だ。フレンドだからと、善意で人にプレゼントするほど性格は良くない。というか、そんな善人はこのゲームにハマらない。

「先行投資よ。この装備に見合う働きを期待しているわ」

ミナから貰った装備は攻撃力やスピードに特化しており、防御力には殆ど数値が振られていない。こんな偏った装備、普通は避けられる。だが、呪詛の影響で防御力が0になった俺からすれば、最高の装備だ。

「今後のためにも、取りあえず影魔法がどんなものか見たいわね。ってことで試運転として、初心者狩りをやりましょう」


初心者狩り。まだゲームに慣れていない初心者を狙って潰すプレイ。

新規プレイヤーがゲームから遠ざかる原因となるため、禁忌の行為である。

このゲームでは初心者狩りを防ぐため、”始まりの町”付近はPK禁止エリアであったり、レベル差の大きい相手を倒した場合はペナルティがつくなどの対策が施されている。

がしかし、ルールの穴を突いて初心者狩りを行うプレイヤーは少なくない。


「丁度、初心者狩りが流行ってるらしいの。そこで初心者の振りして始まりの町周辺をうろついて、釣れた初心者狩りを潰しましょ」

「初心者狩りを()るっつーことね。安心したわ。ルール無用のこのゲームとはいえ、初心者狩りは流石に気が引ける」

「そ。たまには、初心者のためになることしよーと思って。初心者狩りをするような連中は、大して強くない上に、初心者からガッポリ巻き上げているから、”賞金首”の額(倒したら貰える金)も多いし、試運転にはお(あつら)え向き」

「初心者狩りには個人的な恨みもあるし、丁度いい」

「あぁー、初心者の頃、超カモられたんだっけ」

俺たちは早速、始まりの町に移動した。


「PK禁止エリアから、もう結構歩いたよな。今、俺らどのへんだ?」

始まりの町を出発して、およそ10分ほど歩いた。この道を通ると、初心者だった時を思い出す。あの頃は影魔法が使える喜びで、心がいっぱいだった。影魔法の弱さを知り、喜びが憎しみに変わるまで、それほど時間は掛からなかったが。

「次の町まで、丁度折り返し地点ね。そろそろ出てくるはずよ」

「にしても、初心者狩りは現れるのか?」

「なに?私の情報が信じらんない?」

「…………」

「ちょっと!聞いている?」

「……右前方に2人、左前方に1人いる。索敵用アイテムを使って場所を確認してくれ」

「マジ?アイテム”サーチ”使用。……ホントだ!3人組だし、事前に聞いていたパーティで間違いなさそうね。よく気付いたわね」

「気配を感じた。影魔法は弱すぎて、こんくらい出来ないと話にならんからな。右2人は俺がやる。左は頼んだ」

「オッケ」

俺たちは相手を気付いてない振りをして、まっすぐ歩く。

連中との距離が3mくらいにまで近づくと、左右の茂みから3人が飛び出し、襲い掛かってきた。

俺たちを初心者と侮っているからか、随分と杜撰な攻撃だ。

俺は相手の攻撃を最小限の動きで躱す。躱されると思ってなかったのか、敵は体勢を崩した。すかさず、敵の1人に体当たりする。装備による筋力値の上昇が想定以上で、相手は結構ふっ飛んだ。

そして事態を呑み込めずに無防備なまま凍り付くもう1人をナイフで刺しながら押し倒し、ナイフでめった刺しにする。ナイフが相手を貫く度に、HPバーがガクッと減る。

俺は影魔法の加護により、相手の防御力は100%カット。その上、俺は防御力に関する性能を捨て、火力と速度に特化している。DPS(1秒当たりの与ダメージ)は、トップランカーにも引けをとらない。

初心者を狩ることしか能のない中級者未満なら、10秒も要らない。

「1人目」

有無を言わせず斬り続け、手早くキルする。

そのタイミングで、先ほど殴り飛ばした奴が、漸く起き上がり、斬りかかってきた。

俺はナイフで剣を受け流すと、相手の影の上に足を置いて、スキルを発動する。

「スキル発動 ”影踏(かげふみ)”」

スキル”影踏”。カンストしたことで新たに得たスキルの1つ。その効果は、影を踏んだ物の動きを、5秒間停止させる。

「はぁっっ!??動けねぇ!バグか!??」

相手は自分のアバターを動かないことに、頓狂な声を上げる。

抵抗も逃走も許すことなく、一方的に斬り刻む。相手のHPは瞬きするたびに縮み、0が目前になったタイミングで5秒が過ぎ、相手が自由を取り戻す。

「うおっ…おらぁぁ」

急に拘束が解除されたことに戸惑いつつ、相手は焦りに任せて剣を振る。俺は高くジャンプして相手の視界から外れ、自由落下と共に相手の脳天にナイフを突き刺す。

「2人目」

相手のHPは0になり、アバターは無数のポリゴンとなって消滅した。

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