43:お届け物
パーティーからしばらくたった授業のないその日、リオンは久しぶりに城に呼ばれた後にいつものあの、広場に向かった。
「あれ?カイ珍しいね。図書室じゃないんだ」
芝生に寝転んで本を読んでいたカイに声をかける。
「もう少ししたら冬かと思ったら今のうちに外出ておこうと思って」
なるほどな、と思い同じように芝生に座った。
「今日は?『家』の仕事帰り?」
「うん。けど今日は仕事っていうか、なんか『叔母さま』の憂さ晴らしの捌け口にされた感じだった」
『叔母さま』とは第一王妃ニメアのことだ。
急に呼び出しをされ何かと思って行ってみたがただつらつらとリオンのことを暗に侮辱するようなことをひたすら聞かされ続けるというお茶会が開かれたのだ。
「まぁ、仕事だと思えば顔に笑顔貼り付けておけるから良いんだけどね。疲れちゃったや」
そう言ってゴロンと芝生に横になる。
空が高く、見事な秋晴れだ。
そう空を見ていると一羽の鳥が飛んでいた。
ぼーっとその鳥を目で追いかけているとこっちに向かってきているようだ。
「え、なにあれ」
そう言うとカイが読んでいた本から目を離し同じ方向を見た。
「あぁ。フーリーだ」
「あの子か!昼間にも飛ぶんだね。梟って夜しか飛ばないかと思ってた」
そう話しているとフーリーがカイが留まるように差し出した腕にお利口さんにとまった。
口に紐がかかった小さな箱を咥えている。
「昼間飛ばそうとするとちょっと機嫌悪くなるけどね」
そう言いながら慣れた手つきでカイがその小さな箱を受け取り、フーリーを空に放った。
「母さんから。『いつもと違うハーブ使ったからリオンちゃんによろしく』って」
そう一緒に挟まっていた紙を目を通しながらカイが差し出した小さな箱をリオンが受け取り開くと、いつものあのハーブクッキーが入っていた。
思わず嬉しくなり、その場で一つ口に放りこんだ。
「あ、本当だ。いつもとハーブ違う!ハーブの味はほとんどないけど、香りがいつものより強くてこれはこれで面白い。好き!」
「ほんと、リオンのこと気に入ってるみたいだな。俺宛はないよ」
そう笑ってカイが言うのでリオンは仕方がないなぁとクッキーの入った箱を差し出した。
「カイのお母さんって、ほんと、魔法使いだね」
「え?」
「これ食べると、元気出る。私の元気出させる魔法、きっと使ってるんだよ。さっきまで正直ぐったりだったけどさ」
そう笑ってカイに向かって言った。
ニメアにこそ呼び出されたものの、夏休みあたりから随分と穏やかな日々が続いていた。
このまま卒業までこうなら良いのに、とリオンは空に祈った。




