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21:優しさ


試験結果、上位者の名前が貼り出されている掲示板の前にリオンは立っていた。


渋い顔をして。


「おーい、美人の眉間に皺がよってるぞ」


そう隣から声をかけてきたのはアーロンだった。

思わず渋い顔のままアーロンの方を向くと、ハハッと笑われた。


「やっぱり2位だった…カイには卒業まで勝てないのかもと思うとなんとも言えない気持ちになってこんな顔なの」


「相手が悪すぎるな」


「アーロン、一緒の部屋ならなんか細工してカイに凡ミスさせるようにしてよ」


「そんなこと望んでないだろ?」


その言葉にはそう思うので、ぐぬぬとさらに眉間にシワを寄せてしまった。

そうしていると本人、カイがちょうど歩いてきた。


「おい、カイ!お前くらいだぞ、美人の眉間にシワ寄せられるの」


そうふざけて言うので、やめてよとアーロンを小突いた。

カイは貼り出された結果を見て一言、良かった、とだけ言った。


「ちょっと…!今のめちゃ嫌味じゃない?カイ、そういうことする人だった?」


アーロンは笑い、リオンはカイを問い詰めようとしたが、カイがフッと笑ったので毒気を抜かれてしまった。


「むーーん」


そうまた渋い顔をしてしまったものの、カイに向き直る。


「引き続き、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします、師匠」


そうカイに言うと、アーロンが横で大きく笑っていた。


その後はいつものごとく図書室に向かった。ちょうどカイも図書室に向かうところだったらしく一緒に歩いて行った。


アーロンはと言うと、試験が終わって大して時間が経ってもないのに図書室に行くなんて無理無理と言ってどこかへ行ってしまった。


リオンが王女だと知ってからも、カイは何も変わらなかった。そのことに、リオンはものすごく安心した。なんなら前よりも仲良くなれた気すらする。

せっかく見つけた友達を失わずに済んでリオンは心の底から嬉しいと思っていた。


「ねぇ、さっきの良かったってどういうこと?」


歩きながらさっきのカイの一言をちょっとだけ根に持って問いかけた。


「自分が1番取れたから良かったっていうこと?」


「いや……まぁそれも多少はあるけど」


「あるけど?」


「この前の…あの『野犬』の件、試験直前だったから。リオン、試験大丈夫かって少し思ってたから」


そう言われてリオンはキョトンとしてしまう。


てっきり自分が1位を取れたことに良かったと言ったのだと思っていたら、あの件でリオンが動揺していつもの成績がとれるかカイは心配してくれていたのだ。


「……なんかカイって、優しいよね。毒気抜かれるわ。暗殺、呪殺どんと来いみたいな家のイメージ持たれてるくせに」


そう、ふふっと笑うとカイはリオンから目を逸らして笑った。


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