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10:寮生活①


「リオーン、化粧水貸して」


そう風呂上がりのサラが手を出してきたのでいつも使っているものを渡すとサラはそれを受け取り使い始めた。


「前から思ってたけど、良いの使ってるよね。そりゃそんな肌になるわけだ」


そう言ってリオンの頬に指の腹を突き刺す。


「使いたかったら何時でも使って良いよ、それ」


そう言うとサラはニンマリと笑った。


「そういえば次の試験、カイから1位を奪えそうなの?」



「うーん、正直厳しいかも。話せば話すほど、その知識の差がわかるんだよね。やっぱり生まれた時から魔術が当たり前の環境で育ったんだなぁって。まぁでも諦めてはないけどね!」


そっかぁとサラは言ってクリームを顔につけ始めた。


「でもさ、よかったね。勉強仲間できて」


「うん」

そう頷くリオンの表情は随分と穏やかだった。


カイに初めて話しかけてからかれこれ数ヶ月が経っていた。

最初の頃の淡々とした、話しかけても魔術のこと以外ではあまり反応がなかったカイも、最近では少し表情も豊かになった気がしている。

それになんてことのない会話だって普通にしてくれるようになってきた。


リオンが魔法陣をしくじってしょげていた時に、ほんの少し笑った顔を見て以来、笑う顔も見るようになった。



「あ、そうだ、リオンにこれあげようと思ってたんだ…」


そう言って紙袋から小さな小瓶をサラが出しリオンに手渡した。


「なぁに、これ?」


「この前街に出た時に見つけて、香りがリオン好きそうだから買ってきたの。ボディクリーム」


そう言われたので蓋を開け、香りをかぐとリオンの好みドンピシャなものだった。


ほんの少しスモーキーで、サイプレイスだろうか、ウッディな香りの中に、小花が舞うかのような微かな甘さも含まれている。

甘さの強い女らしい香りのものよりも、中性的な香りが好きなリオンにぴったりの香りだ。


「何これ、私の棺桶にこれ入れて欲しい。サラすごいよ、私の好みなんでこんな知ってるの?大好き」


「棺桶って…。デートの前の夜につけるとか、もう少し可愛い言い方沢山あるでしょう」


「デートの予定なんてないし、棺桶ならいつか絶対入るじゃない?」


そう言うとサラは笑ってくれた。


女2人の夜は長くて、楽しい。

その後もやいのやいのと、美容やサラがこの前行ったデートの話をしていると、気づけば夜は更けていった。

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