ぎおんになる
この作品はフィクションです。
「発見をしてしまったんだよ。」
「はぁ。」
「これはなかなかに重大な発見だと言わざるを得ないんだよ。」
「へぇ。」
「おいおい。随分と淡白なんだよ。」
「だって。」
「そんなに知りたいのなら教えて差し上げたいと存ずる。」
「言ってないけど。」
「と言っても、実はもうすでに発表しちゃってるんだけどさ。」
「いつ。」
「明日が思い出に変わる時に。」
「まだ訪れてもいない明日を思い出にしてしまう超技術。」
「さっき私は何て言ったか覚えてるかね?」
「発見をした。」
「うん。それで?」
「これは重大な発見だ。」
「はいはい。それから?」
「もうすでに発表してる。」
「行き過ぎ。」
「はい?」
「なんだよキミは。目的地をスルーしちゃうタイプかい?わざと遠回りをするタイプかい?コンビニ行こうとしてコンゴ共和国行っちゃうタイプかい?」
「いたら会ってみたいぞ、そんなタイプ。」
「どうも。」
「お前かよ。」
「そんなことは微妙にどうでもいい。」
「あまりどうでもよくない雰囲気。」
「ちゃんと言ったんだからスルーしないでくれたまへよ。『おいおい。随分と淡白なんだよ。』って。」
「そこかよ。そこに重大な発見がある、ってのか?」
「肯定的。」
「………重大さの欠片も見えないのだが。」
「はぁ〜…。そんなんだからキミはあれなんだよ。」
「どれだよ。」
「それなんだよ。」
「だからどれだよ。」
「どれなんだよ?」
「こっちが聞いてるんだが。」
「そんな不毛なやり取りは置いといてだ。」
「始めたのお前だけどな。」
「棚の上に置いといてだ。」
「置く場所は知らんけど。」
「三段ある棚の二段目に置いといてだ。」
「だから置く場所は知らんて。」
「紅葉を散らしてデコレーションした心臓の模型の隣に置いといてだ。」
「個性的。」
「注目すべきポイントはここなんだよ。『おいおい。』。」
「それがどうかしたか?」
「私の発見。それは。」
「うん。」
「2文字の言葉を繋げて言うと、なんか擬音っぽくなる!!」
「……………。」
「どうよ。」
「めっちゃドヤ顔していらっしゃる。他人に見せられない程の。」
「文字媒体作品でよかったんだよ。」
「………で?」
「ん?」
「2文字の言葉を繋げて言うと擬音っぽくなる?」
「左様。」
「おい、で、おいおい。」
「左様。」
「これ擬音か?」
「擬音、ではなく、擬音っぽくなる。なんだよ。ここ重要。正確な擬音の定義など知らん。」
「言い切ったな。」
「てなわけで、私は連結二文字言葉による擬音を喋りまくりたいんだよ。」
「まぁ、やればいいんじゃないか?」
「次回!」
「まさかの前後編。」
〜次回に続く〜
後編は2020年!