表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いや違うんです。本当にただの農民なんです  作者: あおのん
第7章 vs 八柱将(サタケ)
117/120

第109話 八柱将打倒の糸口 #3

サナと俺、二人して大盛り上がりする中で、

アリアだけは困惑した顔で尋ねた。


(ごめん。盛り上がってるところ悪いけど、

私なにもわかってないわ)


(おう。つまりな?俺の体を調べれば、

サタケのスキルの正体がわかるかもしれない、

ってことなんだよ!)


(……はぁ?なんで??)



なに言ってるのこの人?そんな気持ちを

全面に出しながら、アリアが首を傾げていた。



(まぁ聞けって。

どういうわけか知らんが、

俺の体にはものすごい量の『神力』が

入ってるらしくてな?だからこれを使えば…)


(ま、まったまった)



俺が気持ちよく説明しようとしたところで、

アリアは慌てた様子で俺の説明を止める。



(ごめん、わからない。

そもそも『神力』ってなに?

それはスキルとどんな関係があるの……??)


(……おん?)



……どうやらアリアは神力を知らないらしい。

神界では普通に使われていた神力という言葉は、

一般的な単語ではないようだ。


(お前神力も知らんのかぁ?

仕方ねえなぁ。神力ってのはなぁ……)


えーっと、あーっと、

その、あれだ。あれあれ。


(サナ頼む)

(はい。神力というのはですねー)


間髪入れずにすぐさま代わりに説明してくれるサナ。

優秀な幼女先生ですわぁ…。


コホン、と咳をついてサナが説明する。


(神力。それはそのスキルが

どんなスキルでどういう能力を発動するかが

事細かく書かれているメモ帳みたいなもの、です。


たとえば炎の壁のスキルが有れば、

神力には、どれくらいの温度でどんな大きさが

などの細かい内容が書かれているんです。

いわば、スキルをどう使うが

書かれているわけですね!)


(……スキルの説明書みたいなもの、

って認識で問題ないかしら?)


(概ねそんな感じです!)



そしてサナは興奮した様子で続ける。


(そして!その神力という名のスキルの説明書が、

タケツ様の体にはものすっっ……っごい量の

神力が入ってるんですよ!)


アリアは納得したように頷いた。


(そっか。つまり、タケシの体の中には

スキルの説明書みたいなものが沢山入ってて、

もしもその中にサタケのスキルの

説明書も入っていれば、スキルの正体もわかる


……ってことでいいのかしら?)



(そう!そういうことだ!)

(そうです!そういうことです!)



(なるほどね……)


と言って、納得している様子のアリアだったが

途中で「ん…?」と何かに気づき、

釈然としない様子で尋ねた。

 

(……ところで、なんでタケシの体に

そんなものが沢山入ってるの……?)


(……それはわからん)


・・・

・・


さて、ということで、だ!


(サナ!)

(はい!)


サタケの謎のスキルの正体も、

俺の神力を調べれば一発でわかる!!

……かもしれないのだ!


サタケの能力が分かれば、

対策も事前に打てるというものだ…!

ということで、やることは一つである!!



(ということで俺の中の神力を……!)

(はい!)


(神力を……あ、あれ??)

(?)


(俺の中の神力を……

ど、どうやって調べればいいんだ……?)



こ、言葉が途中で途絶えてしまった……。


俺の体の中には女神もビビるくらいの

神力が入ってあるはずだ。

だが残念なことに、俺自身それを

一つも自覚できていないのである…!


図書館で本を探すような感覚で、

自分の中にあるというスキルの『説明書』を

読めればいいのだろうが、

しかし、なにをどうすれば読めるのか、

まるでわからん!!



(お、俺の神力どうやって読めばいいんだ!?)



ま、まさかここまで来て読めないの!?

ど、どうしようと焦っていると、

サナがどうということもない様子でケロリと答える。


(え?簡単に読めますよ?)


(えっ。そうなの?)


と言って、サナは俺の指に

はめられた黒い指輪を指差した。


(以前、女神様とお会いした時に、

その指輪を使ってタケツ様のスキルを調べたことを

覚えていませんか?)


(あっ……!)


!そ、そうだった!


この指にハマる黒い指輪!

この指輪は、以前神界にて俺の中にどんな

スキルが宿されているかを調べるために

つけたものだったのだ!



(タケツ様の場合、

なんの神力が含まれてるか、

全部を一つずつ調べるのは

時間がかかりすぎて無理ですけど、


調べたいスキルが明確なら、

ピンポイントで検索できるはずです…!!)


(お、おぉー!!!)



よ、よかったー!

特に深い糸意図もなく神界から

借りパクしてきたものだが、

まさかこんなところで役立つとは!


ともなればすぐさま行動だ!


(よ、よし!それならさっそく頼むわ!)

(はい!お任せください!)


・・・

・・


(……?)


一同が見守る中、サナが指輪を操作する。

その表情は……なんとも言えない顔だった。


(ど、どうなんだ?だめだったか??)


(あ、いえ……うーん。えーっとですね)


サナは指輪のボタンを

ポチりと押して指輪の電源を切る。

困った顔でこちらを振り返った。



(「因心逆地」という名前で検索したところ、

一件ヒットするものがありました)


(!おぉ!マジか!やったじゃん!)



て、てっきりサナの表情的に

見つからなかったのかと思ったぞ!!

しかし、サナはウーンと困るように続ける。


(ですが、うーん……。)


?なんだろう。何か問題でもあるんだろうか。


(……とりあえず書かれてることを

そのまま伝えますね)


そしてサナは、

暗唱するように語り出す。


(『因心逆地』。スキルの内容は

『主観時間における心身の錯覚と顕現化』とありました)


(ほーん?)


意味は……よくわからんな。

他の説明から内容を推察するしかなさそうだ。

そんでそんで?


(以上です)


(え?)


(神力には……そ、それしか書かれていません……)


・・・・

・・・

・・


『主観時間における心身の錯覚と顕現化』だぁ…?

なんだその、外国語をそのまま翻訳したような

わかりにくい言葉はぁ……。


(そ、それしか書かれてねーの?)

(か、かかれてないです。)


つ、つーか話が違うじゃねーか!

神力ってどんなスキルか細かく書いてあるんじゃ

なかったのか???!!!


焦る俺にサナが静かに説明する。



(……おそらくこのスキルは、

自立タイプのスキルですね…)



(じ、自立タイプ??)


(スキルには種類があるんです。

たとえば、炎の壁を出すスキルなどは

依存タイプと呼ばれています。


依存タイプのスキルの神力には、

どれくらいの炎の温度とどれくらいの壁を

出すかなどがかなり細かく記載されています。


術者は、これらのパラメーターを書き換えることで、

自由にスキルをコントロールすることが

可能になるんです。)

 

お、おう?


(一方、「因心逆地」は自立タイプ。

神力にはスキルを呼び出す命令文がひとつだけ。


処理の中身はすべて、神力ではなく、

スキルの中に詰まっています。


なので外からはなにも変更できないし、

何をやってるか見ることもできません。

スキルの中身はまさしく

ブラックボックスなんです…。)


えっ……と、それはつまり…



(長々言ってたけど要するにつまり、

がんばって調べたけど何もわからんかった

……ってことか…?)


(そーーーー……なりますね。はい)



Oh……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ