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いや違うんです。本当にただの農民なんです  作者: あおのん
第7章 vs 八柱将(サタケ)
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第100話 バトルロワイヤル #3

祝!100回!祝30万字突破!


それからほどなくして、

俺たちは病院の裏手、西の山の平地に到着した。


驚いたことも多々あった。

だが、ベテランの冒険者が

来てくれたことはやはり素直にありがたい。


あとはまぁ……おれの立ち回り方を

多少気を付ければ何も問題なしだ。



こいつらがアリアに好意を寄せていることは、

後のトラブルの火種になりかねない話ではある。


もしも万が一、

この汗臭い野郎どもにとってのアイドルと、

この俺がパーティを組んでることを知られたら、

一体どうなるかわかったものじゃない。


だから俺は、

アリアとの関係は伏せておくことにした。


俺とアリアの関係は、

俺は一般市民の依頼主で、アリアは依頼された側。

あくまでそういう関係でしかない、

と伝えておけば何も問題はないだろう。


諸々の考えをまとめてから、

俺は松葉杖をついて男どもの前に立ち、言い放つ。



「皆さん。今日は集まってくださって

ありがとうございます。」



一同を見渡す。

自分よりもはるかにでかい連中を前に

話すのは、中々に新鮮な光景だ。


男どもは子供を相手するように

俺を上から見下ろしてくる。

めちゃくちゃ癪に触る構図である。

イラッとしたが、グッとここは我慢する。



「それではさっそくですが、依頼の内容について

簡単に説明させていただきます。」



それから俺は、今回の依頼について

かるく説明し、日照りの原因調査が

目的であることを告げた。


そして頭を下げてさらに続ける。


「すみません…。

これだけ集まっていただいて大変恐縮なのですが、

長旅になりますので、これほどの大人数では

食事や宿の費用がかかりすぎてしまいます。


恐縮ですが選考を行わせていただきたいと

考えております。」


コクリ、と男たちが頷いた。

俺も同様に頷いてから、再び話を続ける。


「今回の依頼はただの護衛ではありません。

外部の調査によると、日照りの原因を

生み出している魔物が存在する

可能性があるそうです。」


ほう…と男達から声が漏れる。


アリアも前に言っていたが、

天候を操作できるような魔物は

一般的に知られている範囲ではいないのだろう。

男達が少しざわつきだした。



「場合によっては

日照りを発生させられるほどの魔物と戦闘に

なる可能性もあります。


相手の実力は全くの未知数です。

勝てるかどうかもわかりません。

それでも戦える、という方は

その場に座ってください。」



そして待つこと数秒。

誰一人去るものはおらず、

その場にいた全員が座り込んだ。


(くくくっ…)


それを見た俺は……


(あぁ……っ!なんたる壮観……!!)


男達が座り込む姿に、

俺は内心一人感動していた!


先ほどまでは、高々と俺を見下していた

でかい男たちが!今は俺のことを

下から媚びるように見上げている…!!


(カーッ!気分いいなおい!

俺よりも明らかに強くて、

人間ができてそうな奴らを跪かせるのは

心地がいいなおい!!)


テンションあがってきた!!!

人を見下ろすって気持ちいいなおい!!


『……歪んでるなぁ』


勇者が珍しく喋ったと思ったら

ボソリとツッコミを入れてきたのでスルーした。


✳︎


さて、問題はここからだ。

残る問題はこの中から誰を選ぶか、である。


選考基準を考えるなら、

ざっくり2つの条件が考えられる。


1つ。まずは性格。

人間的に問題ない奴が望ましい。


2つ。それから実力。

B級以上ならば実力的には十分。

だから、ここにいる連中はすでにそれを

満たしているだろう。


だが逆にA級クラスだと良くない。


最終的に日照りの原因を見つけた時に、

「あぁ、A級の人がいたおかげで

原因を解明できたんだね!」

とか言われたら非常に癪に触る。許さん。


だから条件としては、

『人間的にまともなB級の人』


当初、依頼する前の段階ではアリアと力比べさせて、

実力を確かめるつもりでいた。

だが、こいつらのランクなら実力の証明は不要だろう。



(とりあえず面談してどんなやつか

一人ずつ見てみるかぁ)



諸々の考えをまとめたあと、

コホンとひとつ咳をしてから、

俺は話を続け………ようとしたその時である。


まさに声を出そうとしたその時、

別のどこかから声が上がったのだ。



「じゃあさっそく力比べだね!」



……はぁ?


・・・

・・


「じゃあさっそく力比べだね!」


……はぁ?


男達の集団から、一人の声が上がった。


はぁ?誰やねん。なんだこいつ?

声の出所を探す。しかし声はするが、

男達の影に隠れて姿が見えない。


どこかから上がった声に対して、

アリアが前に出て話し出す。


「力比べの必要さないと思ってるわ。

ここにいる人たちのランクなら、実力は十分だもの。」


うんうん、と男達が頷いた。

しかし、その謎の声の本人だけは

声を上げ続ける。


「そうかなー。僕はそうは思わないなー」


ん…?この声聞いたことがあるような…

しかしすぐには出てこなかった。

男はさらに続ける。



「こんなに弱い人たちじゃ

仕事は務まらないと思うけどなー」



"弱い人"

その単語が出た途端、

今までは穏やかそのものだった男達の

空気が一気に変わった。


どこからともなく聞こえてくる男の発言。

挑発とも取れるその言葉を聞いたその瞬間に、

男達は今まで隠されていたオーラを放ち出す。



「ほう…」

「誰だ。今言ったやつは」

「…立てやオラ」

「……」



あ、あっという間もなく一触即発ムード……!?


先ほどまでは穏やかだった集団が一斉に立ち上がる!

一瞬にして荒々しく昂りだしたのだ!



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