第4章ー19「能力祭SideS 3」
卓生「作者投稿するのおせぇよ!」
零「ごめんちゃい」
卓生「反省してないようだな...ヴァルキュリア・ソード!」
「おい雑魚共! 待機室からさっさと出てこいやぁ!」
先ほどの爽やかな紳士から一転、ザオは自分の計画に狂いが生じたのか乱暴な言葉遣いをしていた。
「...」
選手たちはその声に圧倒され、何も言わずに待機室を後にした。
「なんだよ。あいつ行きなりキレたぜ...」
ダリューはザオの言動にドン引きしていた。
(あの競技はすごい能力を持ったやつではない限り攻略不能なんだぞ...)
ダリューの怒りの原因はサーニャ以降、複数の戦士に競技を攻略されたことだった。
(ゼーレ様の話を聞き、アーム様の臓器を持つ者があの緑髪の女だと思ったが、あいつは違う。そもそもやつは女だ。それにどういうわけかあの競技の仕掛けを理解してやがった...)
ザオは焦り始めていた。
(次の競技は他の部門と共通したドリルを魔法で壊すものだが...このままチマチマと競技を続けたところで拉致が開かん。このままでは俺の計画も総崩れだ...アーム様の臓器を持つ人間を洗脳し、このヴァルキュリア財閥を乗っとる計画が)
なんと、ザオは自分自身の反乱、そして野望のために動いていたのだ。そもそも彼はゼーレとジールの会話を盗み聞きしていたに過ぎなかった。そのため事実上彼は今、独断で動いている状態である。
ザオはヴァルキュリア財閥ではコーク四天王より遥かに下の立ち位置にいる。会社で例えるならゼーレが会長、コーク四天王が専務、そしてザオは課長というなんとも微妙な立ち位置である。彼はそんな現状に満足しておらず、トップを狙っているのである。
(ここでこの手を使うとゼーレ様から罰を受けるが...誤魔化しときゃいいか)
そして、ザオは気を取り直し
「はい。それでは、次の競技に入りましょう」
次の競技の案内をした。
「次の競技はあなたたちは何もする必要がありません。ここで待機していてください」
(どういうことだ...?)
サーニャはザオの発言に疑問を抱いていた。
(普通はここで何かしらの障害物が出てくるはずだ...だがここで待機しているんじゃあ待機室と変わらん)
サーニャは考え始めた。彼女はザオが男性選手を殺し、女性選手を手駒にしている場面を見てしまったことで非常に強い警戒心を抱いていたのだ。
「サーニャさん。どうかしたのかい? 顔色悪いぞ」
「うぉっ!?」
ダリューにいきなり肩を叩かれ、サーニャは驚いた。
「お前、おかしいとは思わないか?」
「何がだ?」
「競技をやる場合、普通その場に障害物や的とか競技で使用する何かが置いてあるはずだ。しかも、あの男は待機していろとまで言っていた。あれだけ待機室で待たせた後、強引に外に出した挙句更に待たせるのは些か変だ」
「さっきあいつが俺らを無理矢理出したのは、感情コントロールができなかったからじゃないすか?」
「感情コントロールか...」
「どうかしたのか?」
「いや、私の仲間にも感情のコントロールができないやつがいてな。そいつは自分なりに頑張っているつもりでもやっぱり感情に呑み込まれちまうんだよ」
サーニャは卓生のことを思い出していた。
「へー...そんなやつがいたのか。気になるな」
「ここで会えるさ。あいつも今、頑張ってこの能力祭に挑んでるんだからさ」
サーニャは卓生のことを想っていた。
「...!?」
その直後、彼女は一瞬耳鳴りがした。
(なんだ...この音は)
「おい、ダリュー! 何か聞こえないか...?」
「ああ。微かに聞こえる...」
「そうか...よし」
サーニャは大きく息を吸い...
「みんな! 耳を塞げ!この音は危険な匂いがする!」
サーニャはある魔法指輪をつけながら、他の選手に注意喚起をした。しかし
「な..なんだよ」
選手たちは次々に倒れていった。サーニャやダリューと同じく耳鳴りが聞こえ危険を察知し耳を塞いだ者らもいたが、彼らも倒れてしまった。
「くそっ! せめてダリューや近くにいる人だけでも...」
サーニャは魔法指輪を摩り、オーラを出した。そして、ダリューを始め、自分の近くにいる人物達をそのオーラで包み込んだ。
「はぁ...はぁ...」
「おい、サーニャさん。今の音はなんなんだ...?」
「わからない...だが、十中八九ザオの仕業だろうな」
「サーニャだっけ...? よくわからんが助かったぜ」
「ありがとうな」
他の選手達もサーニャに礼を言った。
「いや、礼を言うのはまだ早い。まずはあいつが一体何をしでかそうとしているか知ることだ」
サーニャはオーラ越しに辺りを見回し、ザオを探していた。
「やっぱりあの娘、ただ者ではなさそうだ...」
ザオは遠くからサーニャを見つめ、彼女に興味を示していた。
投稿が遅くなりました。
最近、願書を書いたり夜勤のバイトに入ったりと日常生活が割とキツイレベルで忙しかったです。




