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第2章ー2「ナイーブイキリオタク」

「次はお前か…まあいい。最初に俺が相手を選んだから、お前らにも選ぶ権利くらい与えてやるよ」

「そうやって余裕綽綽でいられるのも今の内だぜ。闇パーティーのリーダーさんよ。なんなら、お前から先に攻撃を仕掛けてきてもいいんだぜ?」

 卓生はダストに挑発的な態度を取った。

「舐めるんじゃねえ! 我が魔法一! スネークフォール!」

「さっきの蛇の動きなら予測済みだ!」

 卓生は地面から出てきた蛇を避けた。

「何!?」

「そして…こいつを食らえ!」

 卓生は蛇を思いっきり蹴り上げた。

「くっ…スネークフォール! こいつを縛りつけろ! そして毒を送り込むんだ!」

 蛇はまず卓生の足から縛り付け、そしてそのまま卓生の体を締め付けた。

「卓生!」

「お前らも見ていろ! 2人目の仲間が毒でくたばっていく様をな! さあ、もっと毒を送り込め!」

 ダストは蛇に命令をし、卓生の身体を蝕もうとした。しかし…

「いや、蛇さんよ。お前は毒を送り込んでいるのかも知れないが、全然何も感じないぞ」

「何!? 聞かないだと!? あの毒は獣が浴びると3日間は倒れると言われているんだぞ! 人間が食らうと最悪死ぬ危険もあるんだぞ!」

 ダストは自分のスキルが効いていないことに激しく動揺した。

「いや、寧ろ…力が湧いてくるっていうか…漲ってくる…」

「なんだと!?」

「どうやら俺、この蛇の毒の力を吸収しちまったみたいだな!」

 卓生は自分の手の平から毒を放出した。それにより蛇はダメージを受け、卓生は解放された。

「な!?」

「これが本当の、毒を以て毒を制するだな」

「く…我が魔法二! ブラックドラゴン!」

 ダストは念じ、黒色の龍が現れた。

「ブラックドラゴン! こいつを焼き尽くせ!」

 ダストが命令をし、龍は黒色の炎を吐いた。

「!?」

 卓生は炎の中に飲み込まれた。

「はははははははは! 流石にこいつには勝てないだろうな…!?」

 ダストは卓生がくたばったと思い込み、高笑いをしたが…

「いない!?」

 卓生が消えていた。

「俺はここだ!」

「!?」

 なんと、卓生は龍の背中にいた。そして

「食らえ! ポイズンナックル!」

「がああああああああああ!」

 龍は卓生の毒を纏った拳を食らい、大幅なダメージを受けてしまった。

「なめるなキリイ=タクオ! こいつはこの程度ではくたばったりはしない!」

「おいおい、(しもべ)をあまり無理させないでやれよ。悪いことは言わん。こいつをひっこめろ」

「へっ、何を言ってるんだ。こいつはまだまだ戦えるさ」

 ダストは余裕の表情をしていたが、実際に龍の体力は消耗しており、明らかに息切れを起こしていた。

「…そうかよ。だったら…」

 卓生は両手を合わせ、なにかを念じ始めた。

「獣の神よ、この悪党から獣たちを解放し、自由にさせたまえ…このままこのような人の元にいては、彼等は身を滅ぼしてしまう…獣たちよ、彼から立ち去れ! これは獣の神からのお達しだ」

「何、ブツブツ言ってんんだ? おいブラックドラゴン! こいつをやっちまえ!」

「ブラックドラゴンとやらはもういないよ」

 卓生は澄ました顔でダストに伝えた。

「な、なんだと!?」

「俺がそのドラゴンを通じて獣の神と会話をし、お前から全てのモンスターを解放した」

「そ、そんな勝手なことをして許されると思っているのか!?」

 ダストは卓生の言動に怒り、彼に殴りかかろうとした。しかし

「おらぁ!」

「な!?」

 ダストは逆に返り討ちに遭ってしまった。

「その台詞はお前にそっくりそのまま返すぜ。お前の身勝手な行為と無茶な命令のせいで、どれだけあの獣たちが傷ついたか分かってるのか? ラファだってそうだ。お前らが無茶な命令を出したりこき使ったりしたからああなったんだろ? そんなゴミカスみたいなお前には魔法を使う資格なんてないな」

 卓生は静かな怒りを見せた。

「ま、待ってくれ…悪かった。お前を不快な気分にさせたことは謝る…だから許してくれ…」

 ダストはラノベや漫画でよくいる雑魚キャラがしそうな命乞いをした。それに対し卓生は

「やーだーよー」

「!?」

「ふんっ」

「ぎゃああああああああああああああああああ!」

 卓生ははひと思いにダストを殴りつけた。そして、ダストは倒れ、虫の息だった。

「ふぅ…すっきりしたぜ。さぁ、残りの二人。お前等はどうする…?」

「…ぐ」

「…くっ」

 トラッシュとミュルは怪訝そうな目で卓生を見つめた。その時

「タクオ! 落ち着け!」

「は!?」

 サーニャは大声で卓生に呼び掛けた。

「…」

 卓生はそのまま呆然と立ち尽くしていた。そして…

「!?」

「タクオ。そうしたんだよ…いつものお前らしくないぞ」

 サーニャは卓生を一旦決闘場から遠ざけた。

「お、俺…一体何をしてたんだ…? 俺…あいつを…あんな風にしたのか…」

「お前、覚えてないのかよ…ダストはブチ切れたお前があのままボコボコにしてたぞ」

「…あ、あそこまでやるつもりなかったのに…本当に俺、意識なくて暴走して…」

 卓生は自分のした行為を改めて知り、手を震わせていた。

「タクオ…?」

「ぅ…ぅ…あああああああああああああああああああああああ!」

 卓生は身体を震わせながら、泣き叫んだ。

「お、おいタク…」

 サーニャは卓生にまた声をかけようとしたが、直前で思いとどまり

「キョウ、タクオを頼む」

「え? あ、はい…」

 サーニャは情緒不安定に陥っている卓生をキョウに託し、そして

「キリイ=タクオは精神的なショックで今は戦えない。だから、お前の精神が回復するまで私は戦う! 今度は私が相手だ!」

 サーニャはトラッシュとミュルに勝負の宣告をした。

今回はイキリオタクの心の弱さを描きました。実際に記憶が無い状態で暴走するのは恐ろしいことです(週1に2話以上の投稿を心がけています)

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