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転生悪役令嬢の前途多難な没落計画   作者: 一花八華
第一章
9/107

身に降りかかる不遇1


 式も終了し、新入生は教室へ戻るように促されましたわ。


ハンスったら、結局一度も式場に入りませんでしたのよ。ブルーテスお兄様の祝辞も聞かないなんて…なんて愚か者なんでしょう。


そこまで体調が悪かったのかしら…。

あのまま放置してしまって…悪い事をしてしまいましたわ。


  早くハンスの元に戻らないと…。


  急ぎ外へと駆け出す私の後方から、無遠慮な声が響きましたの。


「おい!お前!」


なんと横柄で傲慢な呼び掛けでしょう!?

ー私は、オマエという名前ではありませんから、きっと他の方ですわね。ああ、ハンス。大丈夫かしら。せめて救護室に連れて行っておけばよかったですわ…。


「おい!そこの金髪!」


まぁ!名前も呼ばず髪色で呼びつけるなんて…人格否定も甚だしいですわ!

金髪も数人いますもの。私の事では、なくってよ。それよりも、ハンスはどうしてるかしら?早くハンスの所に行かなくてわ。


「俺様の声が聞こえないのか!?このドリルツヴァイ!」

「うっさいですわね!聞こえてらしてよ!山猿皇子!!」


  金髪でドリル…私しかいないじゃありませんか!!

ええ、最初からわかってましてよ!

この声、この態度、この呼び方…


ドリルが2つでツヴァイ。ドリル使用者でドリル使い。私をそのように形容姿する阿保は、ひとりしかいませんわ!


オズワルド(山猿皇子)!!!

私の天敵!!!


「俺様を山猿と呼ぶな!このドリルツヴァイ!」

「私は、ヴィクトリアですわ!そのような名前ではなくってよ!!」

「なら、ヴィクトリアと呼んでいいんだな。ヴィクトリア!」

「何を勝手に呼び捨てにしてらして!?呼び捨てされる程、私、貴方と親しくなくってよ!」

「俺様は、お前の婚約者だ。親しみを込めてヴィクトリアと呼んで何が悪い!」

「婚約者候補ですわ!私、貴方の婚約者になる気はなくってよ!そして、その言葉遣いの何処に親しみが込められてまして!?憎しみしか感じられませんわ!!」


「当たり前だ!俺様は、お前を屈服させるために婚約者に指名してるのだからな!」


あーもー!!一年前とまったく同じやり取りに辟易しますわ!


  私が、山猿をひっぱたいてからというもの…オズワルド皇子は、私を屈従させようと、あれやこれやと絡んできますの!


 あの件は、お互いに謝って終わった筈ですのよ!?あの時、お互いにごめんなさいして、握手して、にこっと笑いあいましたわよね??


ですのに、何故かその後、顔を真っ赤にして怒りだし、事あるごとに我が家に襲来するようになりましたわ!?


かと言えば、何も言わずにじっと見つめてきて…炎魔法を込めた視線を寄越すものだから、私の髪が何度焦げ臭くなったか!!!


ほんっっと陰湿な嫌がらせばかりするのですわ!この山猿皇子は!!


「私の事が嫌いな癖に、何故私にいつもいつも絡むのです!嫌なら無視すれば宜しいのではなくって!?」


 イライラとし、オズワルド皇子を睨み付けますわ。ここは、アルファフォリス学園。皇子も貴族も平民も、身分差なく等しく学ぶ場。不敬罪などなくってよ!オホホ!


「嫌なモノ程、視界に入るからな。仕方ないだろ。」


むっきー!!なんですの!その人を見下し、馬鹿にした態度は!!


「嫌なモノなのでしたら、即刻、私を婚約者候補から外して下さって結構ですのよ!お互いの為にも、さぁ、すぐに!」


 王家からの申し入れには、私、眩暈がしましたわ!あんなにフラグをへし折ったというのに…何故、婚約者候補に!?どう頑張ってもシナリオの強制力が働き、私はこの山猿皇子の婚約者になってしまうのかしら?そして訪れる断罪イベント!!斬首!没落!追放!幽閉!


一体どれですの!?この残念ウキペディア!肝心な所で使えなくってよ!!


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