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転生悪役令嬢の前途多難な没落計画   作者: 一花八華
第二章
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レクリエーションsideHans3/3

 紆余曲折を経て、ハンス達は採掘場に着いた。切り立つ絶壁。ゴツゴツとした岩肌。ここに至るまで、ハンスが被った被害。はぐれ蜂の針×2。軍隊蜂の襲撃。飛來熊の張り手。トッコウウオの特攻×99。マダラヘビのシビレ毒。オルラカとナルキッススの巻き添えや、ルビアナを庇っての負傷だ。


 残り1時間。下手に動きまわらず、ハンス達はここでミッションをこなす事に決めた。



「道具がないと厳しいな。」

「うーん。鎖に何をエンチャントすればいけるかナ?ハーンスはナニを触媒にしたの?」

「ああ・・・・俺はこの手袋だな。」

「手袋?」

「執事の必需品だよ。俺はお嬢様の執事だからな。」


 少しくたびれた手袋をそっと撫でると、キュッとはめなおす。ハンスはそれに魔力を纏わせた。


武具強化(コーティング)。」

「ヒュー♪詠唱カットだネ。もしかして、無詠唱でいけたりするのかい?」

「いや、流石にそこまではできない。これは簡単なヤツだからカットできてるだけだ。」

「冗談だョ。無詠唱だなんて芸当、魔導師カイン様ですらできないんだろ?」


 意図して発動させる魔法には、言葉・・・(うた)が必要だ。それは、式であり過程。たとえ解があっていたとしても、途中式を抜かすと正しく発現されない。高度な魔法になればなるほど、その詩祈(しき)は長く重く多量の魔力を必要とする。


「鉱石の発掘か。下手に採掘すると岩が落ちてくる。オルラカとナルキッススは、今回手を出さないでくれ。」


 二人に釘を刺しておく。


「僕に相応しい見せ場を!」

「俺にまかせてくれれば、採掘なんてあっという間に!」



「手を」

「だ・さ・な・い・で・く・れ」


笑顔を消したハンスの低い声。


「あっ・・・・ああ。僕も少々疲れてきたようだ。ここは君に譲ってあげよう。」

「そうだな。俺もそれで構わない。」


 顔を引き攣らせ、大人しく見守る二人を背に、ハンスは岸壁に触れる。


「ハンスさん。ここにサザメ石と烈紅石、ミカゲ屑が埋まってます。」


 同じく岸壁に触れていたルビアナが告げる。


「すごいな。ルビちゃんはわかるのかい?」

「あっ。私の触媒は土なんです。小さい頃から土に触れてきたので、何がうまってるか大体わかるんです。」

「それは、便利な才能だネ。嫁に欲しいョ。」

「へ?」


「ハーンス。よければその手袋に風属性をエンチャントしてあげよう。」


 ルーファがハンスに声をかける。それに反応したのは、ナルキッススだった。


「風魔法だって?」


 そう叫ぶとハンスに駆け寄り、ルーファを押しのける。


「それなら僕に任せたまえ!この風の貴公子!ナルキッスス・バルボコディウム!美しく華麗な風の舞にて、君に優美なる愛を授けよう!!」

「いや、いい。ルーファがするから。ナルキッススは何もしないでくれ。」

「遠慮なんてよしてくれ。ほら、いくよ!」


 静止するハンスを無視し、ナルキッススは鏡を掲げ呪文を唱える。


「自由を纏いし荘厳なる蒼き風よ。天空の門を開きて我が前に現れよ。虚空を舞て音を奏で謳うがいい。・・・・彼の者に力を与えよ!風属付与(エンチャント)!」


 大気が震える、風が舞う。渦巻く空気がハンスに向かう。


「いや!おい!エンチャントでなんでそんな大業な(うた)を!」


「僕が魔法を使うんだ。美しく奏でるのは当然だろ。」


得意気にふんぞり返るナルキッスス。どんどんと風が強さを増す。


「しかも、アレンジしすぎデタラメだョ。これヤバイ。避難案件。みんなー逃げてョ!危ないョ!!」


 採掘場にいる他の班にも、ルーファが慌てて警告する。


「僕の華麗な魔法が・・・・何故こんな事に・・・・」


 荒れ狂う風を目にし、茫然自失なナルキッススに、オルラカが掴みかかる。


「なにやってんだよ!ナルシス!おめぇ!制御できてねーじゃねーか!」

「そっそんな風に言われてもっ!!」

「オルラカ、今はナルキッススを責めるな!それよりも避難だ!ルビアナ嬢、ここから離れるんだ!」



 術者の手を離れ、暴れる風。ハンスは、飛んでくる石を弾きながら避難を促す。土壁を作り、逃げ遅れた人を守ろうと防御に徹するルビアナ。


「ルビちん!上!!上だョ!!!避けて!!」


 ルーファの叫びに上を見上げるルビアナ。その頭上に特大の岩が・・・・


「ルビアナ嬢!」

「あっああっ・・・・」


ーズッドオオオオオオーーーン!!!


「ルビちん!」



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