レクリエーション6/7
「きゃあ!!」
フィロスの叫び声。急いでそちらへと向かいますわ。
【風を纏いて、虚空を舞う、速度上昇!】
【其は影、其は闇、不可視にて不可侵・・・・対象隠匿・・】
ガサガサと森の中を翔ながら詠唱する二人。
レオニダスが、風魔法で皆の身体能力をあげましたわ。ハイドさんの魔法は・・・・
(隠密魔法だ・・・・念の為姿を隠す。声をなるべくだすなよ。相手が認識してしまえば意味がない。)
その言葉に、私達はこくりと頷き先を急ぎますわ。
◆◆◆
鬱蒼と茂る草木。濡れた落ち葉。音を立てないように慎重に足を進める。そうして息を潜め、目的の場所に目を見遣る。
草むらに身を埋め、様子を伺う私達の目に飛び込んできたのは・・・・
ブルルルルルル。
(そんな・・・・あれは・・・・)
倒れ込むフィロスの前に、立つソレ。薄暗い森の中、木漏れ日の光を反射する白くしなやかな肢体。波打つ星屑。零れる鬣。他を寄せ付けない神々しい雰囲気。そして象徴的な額にある角。
(嘘だろ!?)
ーユニコーン。
「フィ・・・・フィロス?」
そして、ブルルルと鼻息を荒らげるユニコーンの足元で蹲るフィロス。
(ユニコーンの角に血が!?フィロス・インカのか!?)
(そんな、ユニコーンは乙女を傷つける事なんてない筈だよ)
「そんな事はどうでもいい!フィロスを助けるぞ!」
(馬鹿!男の俺達がでても、ユニコーンの怒りに油を注ぐだけだ!)
飛びだそうとするレオニダスの腕を、ハイドさんが掴み抑え付けますわ。何故?どうして?フィロスが倒れているの?早く、早く助けないと。
(ユニコーンの気が立っているみたい。どうしよう。これじゃ下手に近づけないよ。)
トリフォリウムさんの震えた声。
(強制離脱は!?魔法具で帰還ができる筈ですわよね!?)
(・・・・だめだ、魔法具の発動範囲からフィロス・インカの位置が遠過ぎる。)
「だから俺があいつを助けに!」
ガサっと音が立ちますわ。ピクッ。ユニコーンがこちらに視線を投げ、ブルルルッと低い唸り声をあげてきます。
(お前までやられたらどうする!俺達の実力でどうにかできる相手じゃない!)
(・・・・僕、先生を探してくる!このポイントを担当してる先生が近くにいる筈)
トリフォリウムさんが踵を返し走り出しますわ。
(危険だが、俺がユニコーンの注意を引く・・その間にレオニダス・・お前がフィロス・インカを助けろ。)
「わっわかった」
ハイドさんの提案に、レオニダスが頷く・・・・
「私が行きますわ」
「は?」
「・・・・ユニコーンは、乙女を傷つけない・・・・そうですわよね?」
確かにそう聞きましたわ。
決意を胸に、二人を見る。
「ばっ・・・・見てわからないのか!?すでにフィロス・インカが倒れてるんだぞ!?」
即座にハイドさんが止めてくる
「倒れているだけで、ユニコーンに傷つけられたかなんてわかりませんわ。それに、貴方達が出ていけば、ユニコーンは更に暴れますわよ?」
これ以上、被害が大きくなるのはダメですわ。それに、フィロスの状態を確認しないと・・・・なら、私が行くのが一番でなくて?
カサリ。ハイドさんの静止を振り切り、ゆっくりとユニコーンの側へ足を進めますわ。大丈夫。怖くありませんわ。大丈夫。
ーブルルルルルル。
「驚かせてすみません。お友達が心配ですの。側に行っても宜しいですか?」
ーブルルル・・・・。
「貴方に危害を加えるつもりはありませんの。信じて下さい」
ーブルル・・。
(ユニコーンの雰囲気が・・・・)
(お嬢・・・・)
じっと瞳を見つめゆっくりと話かける。・・・・ユニコーンから感じられていた怒気が、和らぐのを感じますわ。血走っていた瞳も・・・・大丈夫。落ち着いてきているみたい。・・・・これなら、フィロスに近づいても・・・・
膝をつき、フィロスの側に。そっと肩に手をかけると「・・・・ん」身じろぐフィロス。良かった。怪我もないみたい。気絶していただけですのね。
ーブルルル。
なら、ユニコーンの角の血は?
「貴方・・・・もしかして・・・・怪我を?」
閲覧ありがとうございます。
魔法については、ツッコミなしでお願い致します。
ええ。恥ずかしいのです。




