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転生悪役令嬢の前途多難な没落計画   作者: 一花八華
第二章
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レクリエーション5/7

「ヴィクトリアさんは、孤児院出身者ってどう思う?」



どう思う?


いきなりの質問ですわね。


どう・・・・思うのかしら・・・・




トリフォリウムさんの質問に、私は頭を捻る。


「そうですわね。どう思うと言われても、どうも思わない。というのが私の答えかしら?」

「え?」

「思わない・・・・うーん。思えないというのが正しいですわね」


私の答えに、少し驚いたような様子を見せるトリフォリウムさん。嫌な思いをさせたかしら。


でも、仕方ないわよね。


「だって、私、孤児院の事を何も知らないんですもの」


 ウキペディアの情報だけであれば、何らかの事情で親元を離れ、こども達が集団で暮らしているという事はわかりますわ。

でも、私は本当のところは何も知らない。何かを思う事すらできない。私は、知らな過ぎる。


「・・・・可哀想とか、汚らしいとか、そんなの思ったりしないの?」


「何故ですの?そういった場所ですの?孤児院は」


 私の言葉に、トリフォリウムさんは慌てて首を振りましたわ。


「実際に目に出来れば良いのですが、私一人で孤児院を訪れるのはできませんの。だから、今まで知る機会がありませんでしたわ。こうやってトリフォリウムさんやハイドさんと出会えたのですから、教えて下さると嬉しいわ。」


 アクヤック家令嬢として、行動には制限がかけられていましたわ。年齢的にも一人で何処かを訪れる事はできませんでしたし、何よりお兄様がとても過保護でしたから・・・・孤児院の存在は知っていましたけれど、援助などもするとなると家のお金。私自身で稼いだものでないとそんな事できませんから・・・・。


知らないから、何も言えない。可哀想と思うのも違う。だから今は何も思えませんわ。


「ヴィクトリアさんは、偏見の目を持たないんだねぇ」

「偏見ですか?」

「うん。大体の人は、孤児って聞くだけで普通【可哀想・汚らしい】のどっちかでしょう?ヴィクトリアさんにはそれがないから」


「あら、でも一週間以上お風呂に入らない。とかなら可哀想とか汚いって思いますわよ?」

「ええ?そこはちゃんと清潔にしてるよぉ」


 あははと笑いながら、トリフォリウムさんは色々話を聞かせてくれましたわ。孤児院は、贅沢はできないもののしっかりとした施設であること。王家や教会からの支援がある事。職業訓練なるものがあり、そこで個々の適正によって才能を伸ばされていること。


「早くに才能を見い出された子は、貴族の方や教会に引き取られたりするんだよ。あと、オズワルド皇子やグレイ様も時々お忍びでいらっしゃってたなぁ」

「あら?オズワルド皇子とグレイ様が?」

「うん。魔法かなぁ?孤児院では違う外見だったけれど、ここに入学して二人をみてあー見た事あるなぁって・・・・僕、人の雰囲気というかオーラというか・・そういうのなんとなくわかるんだぁ」


「フィロスさんも、何処かであった事ある気がするんだけどなぁ」


 オズワルド皇子ったら、ずるいですわ。いつも我が家に突撃してきておいて、そういった事には私を混ぜて下さらないなんて。ああ、でも誘われてもオズワルド皇子とご一緒する気はありませんわね。ええ。そういったイベントはヒロインの役目ですわ。下手な事をすれば、己の首を締めてしまいますわ!


「フィロスが、誰かに似ているの?」


「うん。あの子に似てるんだよ」

「あの子?」

「ほんの少しの間だけ、一緒に過ごした子・・・・でもやっぱり違うなぁ。あの子の色は黄色だったから。うん。似てるだけで違う」


 こてんと小首を傾げながら話すトリフォリウムさん。フィロスが誰かに似ているって事ですのね。黄色?髪の色かしら?


「因みに、ヴィクトリアさんは桃色だよ。」

「はい?」


 えっ?それって頭の中がって事ですの!?んん?脳内桃色!?わっ・・・・私、破恋知な事は自重してましてよ!?むしろそういった事の被害者ですわ!レオニダスが主な元凶ですけれど!




ーぐいっ!


んん!?急に変な方向へと、引っ張られますわ!


「おっ!なんかかかった!」

「は?」

「え?」


やだ!すっ・・・・スカートに何かが!?ええっ!?


「この感触・・・・大物だな!?絶対釣り上げてやる!!おりゃあ!!」


「きゃあ!!!」


レオニダスの声と共に、捲りあがる私のスカート!


「レオニダス!私のスカートに針が!!!」

「んん?へ?あれ?お嬢が釣れた!?」

「外しなさい!早く!いいから早く外しなさい!!!」

「わわわわわっっごめっっ僕見るつもりなんてっっ」



 顔を真っ赤にして慌てるトリフォリウムさん。貴方が謝る必要はありませんわ!謝るのは、このボケナスの方ですのよ!


「わっはっはっ、お嬢、悪ぃ!」

「謝ってすむと思ったら大間違いですのよ!今日という今日は許しませんわー!!」



 バシバシと扇子ではたいても、まったく効いてませんわ!下手に頑丈過ぎですわよ!この筋肉お馬鹿!!


「おい。お前等・・・・あまり騒ぐとユニコーンどころか、他の魔獣も現れないぞ」



 遠くでハイドさんの呆れた声が・・・・


そう言われても、私の腹の虫は収まりませんわ!


「レオニダス!今日という今日は!!許しませんわよ!!」

「ててて!お嬢!悪かったって!ほら、静かにしないと周りの音が聴こえないぜ!抑えて抑えて!」


「周りの音って、特に気にする音など聴こえてきませんわよ!」



ユニコーンも出そうにありませんわ。ほら、静かな風の音しかしませんわよ。



耳を澄ませてみると、遠くの方で嘶きとバキッという大きな音が・・・・えっ?



「きゃあ!!」



それに、鈴の音のような高い叫び声が遅れて聴こえてくる。



「え?」

「今の声・・・・フィロスさん?」

「フィロスは、キノコを採取に・・」

「ちっ!急いで駆けつけるぞ!」





偏見フィルター、イケメンにのみ稼働

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