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転生悪役令嬢の前途多難な没落計画   作者: 一花八華
第二章
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レクリエーション1/7

人気のないその場所で、その声だけが部屋に響く



『・・・・・・』

「はい。わかっています」

『・・・・・・』

「・・・・問題ありません。友人として側で・・・・」

『・・・・・・』

「はい。では・・・・」



ーチャリ。


掠れる金属音。

その音が、鎖のように心を縛り付ける。


「・・・・・・」


腕に繋がれた鎖。銀色の鈍い光を放つそれ。


「・・・・友人として・・・・か・・・・」



  暗闇の中、影は腕に繋がれたそれを見つめひとり呟く。その声は、闇に溶け沈み・・・・跡形もなく消えていった。




◇◇◇



青々と茂る草木。ビュウビュウと吹き荒れる風が、容赦なく私達の横顔をはたく。

舞い上がる土埃に、喉が少し土臭さを感じますわ。

本日は晴天なり。


紛うことなき、レクリエーション日和。



「レッッッッツ!!クリエーションだぁぁああぁああ!!!」


私達は今、学園から少し離れたフィールドにきていますの。


「レオニダス・・・・お黙りなさい。みっともなくってよ。」


  課外授業というだけで、お馬鹿わんこがはしゃぎ廻っていますわ。落ち着きがない。煩い。困りましたわ。ハンスは別の班だから、これの手網を私が取らなくてはいけないのよね?どうしましょう・・・・。


頭を抱える私を尻目に、興奮気味のレオニダス(駄犬)とフィロスが嬉々として、紙を広げますわ。地図とミッションの描かれた紙。


「ミッションは何があるの?どれからいく?」

「乙女の祝福を受けろってあるぜ!これなんの事だ!?」

「乙女の祝福?なぁにーそれ?」



「・・・・ユニコーンに会えって事だろ」


フィロスとレオニダスの会話に、同じ班のハイド・レンジアが投槍に答えましたわ。あら、この方喋れるのね。口数が少なすぎて、声を聞いたのは初めてですわ。


「え?ユニコーン!?」


「あー。ユニコーンってあれだよねぇ。女の子にしか懐かない聖獣。ミッションにあるって事は、会えるかもしれないって事だよねぇ。ユニコーンからの祝福かぁ。いいなぁ。うーん。僕も女の子だったら良かったのに」


  驚くフィロスに、私の横にいたトリフォリウムさんが、ほやんとした空気を纏いながら話しますわ。


「トリフォリウムさんは、ユニコーンが好きですの?」


「うーん。動物はなんでも好きだよぉ。魔生物の事を勉強して、魔獣医になりたいんだぁ」


  のんびりした口調でマイペースに歩くトリフォリウムさん。ふわふわしてて、なんというか癒し系ですわね。見ていて和むというか和まされるような・・・・ルビアナとはまた違った癒し系。


前世の記憶(ウキペディア)になんだか似た動物がいましたわ。あれは確か・・・・うさぎ・・・・そう!アンゴラウサギに似てますわ!そのフワフワとしていて重そうな前髪がまさにそれ!


あーその毛並み!わしゃわしゃと撫で回してみたいですわ!


相方のハイドさんはあれね、ひょろっと背が高くて無口で。教室での微動だにしない佇まいは・・・・そうね。ハシビロコウ?目元なんてクリソツですわ!正面から見ると、威圧感たっぷりで、ズモモモモモという効果音が聴こえてきそう!


フィロスは、元気で毛色の綺麗なチンチラね。レオニダスは狛犬?ん?シーサー?セイバー・・・・・・柴犬!柴犬のちっちゃい奴、豆柴ですわ!背も低いし、ちまっとしていて元気な感じが似ていますわ。あら、そうしたら私は何かしら?


「お嬢!!頑張ろーぜ!ハンス達に負けないようにしないとな!」

「えっ・・ええ!そうですわね!ハンスとルビアナに勝ちたいですわね!」


思巡していた私の傍に、いつの間にか豆柴が駆け寄ってきてましたわ。あーびっくりした。


  やる気なのは結構ですが、私の肩をバンバン叩くのはお辞めなさい。痛っ!ちょっと!いつも痛いっていってるじゃありませんの!!このお馬鹿わんこ!


「5人ずつに別れたもんねー。多くのミッションをクリアして、得点を競うんだっけ?負けてらんないよね♪」


  今回のレクリエーションで、Eクラスは二つに分かれましたの。各クラス4~5人毎のチームに先生方が分けたのですが・・・・できれば、私もハンスとルビアナと一緒が良かったですわ。何かと引っ付きたがるフィロスと、方向音痴&暴走風のレオニダスと一緒なのは・・・・不安しかありませんわ。はぁ・・・・。


「フィロスさんとヴィクトリアさんがいるから、ユニコーンのミッションは大丈夫そうだねぇ」


  あらっ。こんな所に癒しが・・・・トリフォリウムさん、貴方マイナスイオンが零れていますわ。流石Eクラスのアンゴラウサギ。


「・・・・ユニコーンは、清らかな乙女にしか懐かない」

「・・・・ハイドさん。私やフィロスが清らかでないとでも?」


 ぽつりと呟くハイドさんに、扇子を口元にあて、オホホホと笑いかけますわ。


  失礼ね。こんな清らかで清純可憐な乙女をつかまえて、その失言。・・・・・・私、看過できなくってよ?



「なぁなぁ!せっかく同じ班なんだからさ!そのさん付けとか辞めよーぜ。仲を深めるのが、レクリエーションの意義とかなんとかなんだろ?というわけで、ハイド、トリフォリウム。俺の事はレオって呼んでくれよな!」


 屈託のない笑顔で、レオニダスが笑いかけてますわ。相変わらずの人懐っこさですわね。


「・・・・たまたま同じ班になっただけだ。馴れ合うつもりはない」


「まぁ!ハシビロコウではなく一匹狼でしたのね!仲間なんて必要ねーぜ。俺は一人で生きていく。的な奴ですのね!ちょっとそれ、私も言ってみたいですわ!」


「は?」


「私は、ヴィクトリア・アクヤック。孤高の存在ですわ。馴れ合うつもりはなくってよ。私に近づくとこのドリルが牙を剥きますわよ!!ってどうです?ハイドさん!」


「は?どうです?って・・お前の方こそ・・・・その・・・・どうした??」


「お嬢~。ドリルは牙にはならないぞー。」


「そんな台詞言わなくても、ヴィーちゃんは充分唯一無二な(ある意味)孤高な存在だよ♪」


 あら、なぜかハイドさんが困惑していらっしゃるわ?頭を抱えて「・・・・この班・・・・大丈夫か・・・・」っと呟かれてますわね。


レオニダスとフィロスがいますものね。

ええ。私もその意見には同感ですわ。

先が思いやられますわよね。



「ユニコーンの生息地って言えば湖の畔だよねぇ」


我関せずなトリフォリウムさんが、地図とにらめっこして話ますわ。その重たく目を隠すように切りそろえられた前髪でも、きちんと見えますのね。


「うーん。地図ってよくわからないやぁ。サーチとかマッピング魔法が使えればいいのにねぇ」


クルクルと地図をまわし、首を傾げる。その仕草。萌えますわね。愛らしいですわ。


「そうですわね。魔法が使えればミッションも簡単ですわね。でも、私達はウィッツですし、使える魔法も限られてますわ」


「貸してみろ。トリフォリウム」


「あっハイド君」


「ここが現在地点だ。これが北を指してる。湖はこの森の中だ」


地図を指差しながら、ハイドさんが説明しますわ。瞬時に判断ができるなんて、凄いですわね。


「・・・・なんでもかんでも魔法に頼るな。すぐに魔力切れになるぞ。魔法無しじゃ何もできない奴は足でまといだ」


おおっ。ジャックナイフ!突き放すような言い方の中に優しさが!さすが孤高の狼ですわ!


「ハイドの言う通りだな!魔法はいざって時に使う最終奥義だ!俺は物理を極めるぜ!!」


・・・・レオニダス。貴方、仮にも魔法学園に通っていてそれはどうかと思いますわよ?せめて#魔法騎士__マジックナイト__#を目指すとか・・・・。物理一辺倒は私お勧めしかねますわ。


「やっぱり筋肉だよなー。うんうん。筋肉は裏切らない!」



・・・・だめな一言を口走っていますわ。筋肉は裏切らない!ってそれ何処のマッスルキングを目指してますの??乙女ゲームの攻略対象がコレでいいのかしら・・・・。




アンゴラうさぎは、モフモフで可愛いです。


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